米ぬかの歴史│五つ星お米マイスターのやさしい米ぬか講座 vol.1

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「ぬか漬け」や「ぬか床」など、発酵食品に欠かせない存在の米ぬか。お米が主食の日本人にとって、そして、発酵食品を愛する私たちにとって、身近な存在である米ぬかですが、ぬか漬けやぬか床以外にも様々な使い方があることをご存知でしたか?
そこでハッコラでは、東京は浅草橋にある老舗のお米屋さん「吉田屋」の5代目であり、五ツ星お米マイスター&お米アドバイザーの小林健志さんによる「米ぬか講座」を開講します! 第1回目の今回は、「米ぬかの歴史」について、小林さんに教えていただきました。米ぬかパワーを毎日の生活に取り入れて、健やかな発酵ライフを送りたい方にお届けします!


玄米を精米して「白米」にして食べ始めたのはなぜ?いつごろから?

お米・白米
撮影:小林健志さん

お米とともに発展してきた日本人

まず始めに、お米の歴史についてお話しますね。
日本に米作りが伝わったのは、縄文時代だと言われています。そこから現代まで、2000年もの長い間、私たちはお米のあるくらしを続けてきました。お米を食べることはもちろん、お米がお金に代わる価値を持って流通していた時代もありますし、稲わらや米ぬかなどは、生活資材として活用されていました。我々日本人は、お米とともに発展してきたと言っても過言ではありません。

白米を食べ始めたのは江戸時代から

白米を食べ始めたのは江戸時代から
白米を食べ始めたのは江戸時代から

精米の歴史は、古くは奈良時代からと言われています。しかし、玄米を手作業で精米する手間などから、精米された白米は、ごく一部の上流階級のみの贅沢品だったようです。
江戸時代後期の頃になると、精米技術の発達と、玄米よりも白米の方が炊飯に必要な薪が少ないことから、江戸などの大都市部の庶民でも白米を食べるようになりました。
私は一番の白米を食べる習慣が広まった理由は「白米が美味しかったから」だと思っています。
ちなみに今、お寿司で使われている「銀シャリ」と言う言葉ですが。昔は炊いた白いご飯の事を指していました。銀色に輝く炊きたての白いご飯は色々なおかずと相性も良いですので、想像しただけで食欲をそそられますね。

ぬか床で漬けたぬか漬けと「銀シャリ」は、もっとも素晴らしい和食

お米・白米
撮影:小林健志さん

白米と併せて発酵食品などを食べることで、我々日本人はバランスの良い食文化を育んできました。「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを見ても、健康面での有用性はもちろん、歴史や文化も含めて、日本食が世界に認められた証しです。
その根源となるのが「お米」。特に、米ぬかを使ったぬか床で漬けたぬか漬けと、ピカピカの白米「銀シャリ」なんて、もっとも素晴らしい和食なんじゃないかと思いますね。
 

当時、精米後の米ぬかはどのように使われていたの?

米ぬかの使用方法
米ぬかの使用方法

白米が広がった当時から、色々なぬかの使用法が生まれました。
食べる用途では、ぬか床。意外な使い方だとお風呂で使う方法ですね。布でぬかを包んだ「ぬか袋」を濡らした後のしぼり汁で体を洗っていたようです。
ぬか床をかき混ぜているおばあちゃんの手や、日本酒を造る杜氏の手は、すべすべでキレイだと言われますが、米ぬかやお米は、当時より肌を美しくする作用があることが知られていました。「ぬか袋」も、石鹸が登場するまでは石鹸代わりに使われており、米ぬかを販売していた銭湯もあったのだそうです。

現代における米ぬかの現状

現代における米ぬかの現状
現代における米ぬかの現状

現代では、ぬか床の他に食用では炒りぬかにして、カレーやヨーグルトなどに入れて、玄米を食べなくても玄米に近い栄養を摂取しようとする方も増えてきます。
生産現場では、田んぼや畑にまく肥料の材料の一つとして。また、家畜に与える飼料としても無駄なく使われています。また、
近年では、米ぬかから抽出した豊富な成分が注目され、米油が品切れになるほどの人気です。さらに、米ぬか成分配合の化粧品が作られるなど、米ぬかは大いに注目されています。

米ぬかの多彩な活用法は、お米の価値を知り、物を大切にする日本人の賜物

お米
撮影:小林健志さん

米ぬかの利用法がここまで多く生まれてきた理由は、日本人本来の「物を大事にする気質」と「お米が貴重品」だったからかも知れませんね。
現代は飽食の時代と言われていますが、お米に限らず食べ物の作られた背景を知って、味わって食べてみてください。
「新鮮な米ぬかが手に入らない!」という方は、お米と一緒に近所のお米屋さんに買いに行ってみてください。米ぬかの使い方や、美味しいご飯の炊きかたなども、丁寧に教えてもらえると思いますよ。

小林さまオススメ! 今食べたいお米は「福井県産『いちほまれ』」

福井県産『いちほまれ』
福井県産『いちほまれ』

私が今、食べたいお米は「福井県産『いちほまれ』」ですね。
特別栽培米と無農薬無化学肥料の『いちほまれ』は、米穀専門店のみの取り扱い銘柄です。噛むほどに溢れる甘みと柔らかさ、粒感が両立するバランスの良い品種ですので、当店でもリピートされるお客様が非常に多くいらっしゃいます。
令和元年産はより高品質を目指す取り組みを行っているとのことなので、非常に楽しみにしています。是非、お近くの米穀専門店へ足を運んでみてください。


東京・浅草橋の老舗米屋「吉田屋」

吉田屋

吉田屋オフィシャルサイト
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住所:東京都台東区浅草橋 1-22-13
電話番号:03-3851-5484

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