昔からお米のとぎ汁はさまざまに活用されてきました。今、お米のとぎ汁を発酵させた「お米の発酵水」のパワーに脚光が当たっています。発酵水の力、簡単な作り方、活用法を伝授します!
昔から生活の中で活用されていたお米のとぎ汁。それを進化させたのがお米の発酵水です。お米のとぎ汁からつくる発酵水は、今、にわかにブームになっています。
今回は、発酵生活研究家の栗生隆子さんの著書『体も家もピカピカになる「お米の発酵水」』から詳しく見ていきます。
お米のとぎ汁の隠れたパワーとは?
「とぎ汁を酸化還元電位計で計ると、もともとプラス250ほどあった酸化還元値が12~24時間経つとマイナス500前後になりました。つまり、1日置いて発酵したことによって菌の数が増え、還元力が高くなることがわかったのです」と栗生さんは説明します。
酸化還元値とは水中の酸化還元状態を表す数値で、酸化状態ではプラス、還元状態ではマイナスなります。還元とは元に戻す力のことでマイナス値になると、体においては細胞が元気になるといわれています。
さらに、東京農業大学の前橋健二先生に菌の状態をチェックしてもらうと、お米の発酵水の中には乳酸菌がたくさんいることもわかっています。
このように発酵水は還元力が高く汚れが落ちるので、お掃除にも使えますしさまざまなメリットがあります。
カンタン!発酵水の作り方
とぎ汁で3種類の発酵水を作るのがポイント。それではさっそく発酵水の作り方です。
1:ボウルにお米をいれ、ゴミやお米の表面の雑菌を洗い流すために、お米に水を注いで、ざっと2、3回かきまぜてから、その水は捨てます。
次に500ml程度の水を加え、お米を研ぎます。両手でおがむように優しくお米を研ぐ、「観音洗い」を推奨。
2:そのとき水を容器に入れ、これを「1とぎ水」と呼びます。
3:容器にふたをして夏場は6~12時間、冬場は12~24時間、常温で置いて完成。
4:1のボウルに同様に500ml程度の水を加え、お米を研ぎ、とぎ水を別の容器に入れます。これが「2とぎ水」。さらに500ml程度の水を加え、お米を研ぎ、とぎ水を別の容器に入れます。これが「3とぎ水」。
それぞれ、同じように3の要領で保管します。
5:それぞれ1~2日中ににおいが出る前に使いきります。
以下のように、「1とぎ水」、「2とぎ水」、「3とぎ水」を使い分けましょう。
「1とぎ水」はにおいがでやすいので、水で流すものに使います。ふきん・排水溝の消臭、トイレ掃除、浴室の掃除など。
「2とぎ水」は1と同様に水で流すものに使いますが、体により身近なお皿洗いやキッチンの汚れ、洗濯などに使います。
「3とぎ水」は還元力が一番高く、毎日の拭き掃除などに使います。
汚れ落とし&消臭!発酵水でお掃除をマスター
「1とぎ水」「2とぎ水」「3とぎ水」をそれぞれスプレーボトルに入れ、シュシュといつでもどこでもお掃除。合成洗剤を使う場合はその後の水拭きが必要ですが、お米の発酵水は害がないので、水拭きの手間がかかりません。
キッチン
油汚れがつきやすいキッチン周りは、調理後にささっと拭き取るだけで、その日の油を浮かして、汚れを落とします。洗剤なしでキレイをキープ。
鍋のこげつきや油汚れは、鍋をレジ袋など大きな袋に入れ、「1とぎ水」か「2とぎ水」を加えて、2時間ほど浸します。その後メラミンスポンジで磨き、汚れが落ちないところは重曹を使えば驚くほどキレイに。
リビング
テーブルには「3とぎ水」を入れたスプレーを吹きかけ、雑巾で拭きます。油汚れもキレイに落とし、いつでも清潔に。
椅子やソファ、カーテンにも「3とぎ水」を吹きかけ、ファブリックの消臭をしましょう。洗濯するのが難しい布地の汚れ落としや消臭にも使えます。
洗濯
洗濯では「1とぎ水」か「2とぎ水」を主に使います。汚れを落とすだけでなく、消臭効果もあるので、においがつきやすいタオルや靴下の洗濯におすすめ。
靴下の場合は洗い桶に「1とぎ水」か「2とぎ水」を入れ、靴下を5~10分つけ置きします。その後、水でさっとすすいで絞り、干して乾かします。
布ナプキンの洗濯にも使えます。「3とぎ水」を入れ、経血が付着した布ナプキンを15分つけ置きします。水ですすいで絞り、干して乾かします。アルカリウォッシュ(セスキ炭酸ソーダ)をプラスしてもOK。
もともとは、栗生さんが主宰するフェイスブックの「TGG豆乳ヨーグルト同好会」でたびたび話題となっていた発酵水。同会はメンバー1万2000人、ヨーグルトだけでなくさまざまな発酵を楽しむ会ですが、情報交換するうちにこの発酵水の効果がすごいということにメンバーさんが反響を寄せるようになったといいます。
「お米の発酵水」は、アレルギーや小さなお子さんのいる家庭で家中のお掃除に用いても安心です。詳しい使い方はぜひ栗生さんの著書をご覧になってくださいね。
参考書籍
栗生隆子著『体も家もピカピカになる「お米の発酵水」』扶桑社 定価:972円(本体900円+税)