味噌

2017年02月15日

ニュージーランドで”都市的ヒッピー(Urban Hippie)”な味噌を発信中!【世界の醸し人】

さまざまな発酵食品が、ヘルストレンドとして各国のメディアで紹介されている昨今。
haccolaでは折にふれ、各地で発酵に取り組む「醸し人」をご紹介しておりますが、
今回はニュージーランドでお味噌を生産・販売されている「Urban Hippie」主宰の前田さんご夫妻の登場です。
どんなきっかけで醸し人になられたのか、お話をうかがいました。

板前からお味噌屋さんに!太陽の街にUrban Hippieが誕生!

今回はニュージーランドでお味噌を生産・販売されている「Urban Hippie」主宰の前田さんご夫妻の登場です。

ニュージーランドの南島北部に位置する街、ネルソン。
日照時間が長く、「サニーネルソン」と呼ばれるほど晴天率が高いその街は、ニュージーランド人にとっても休暇中の滞在やリタイア後に住みたい街として人気です。

そのネルソンでただ一人、いやいや、”ニュージーランドでただ一人”の味噌職人である前田 武人さん、美笑さんご夫妻にお話をうかがいました。

ローカルで、ヘルシーで、オリジナル!なネルソンのお味噌

お味噌をつくるシーン

どんなきっかけで、ニュージーランドでお味噌屋さんになられたのでしょうか?

「日本では日本食の板前をしていました。ニュージーランドに来てからも7年間、和食を中心に料理に携わる仕事をしてきましたが、発酵食に興味を持ちはじめてからは趣味の一つとして始めました。天然酵母でパンを焼いたり、キムチを漬けたり、ビールを仕込んだり。
お味噌もその一つでしたが、ちょうどその頃、このネルソンの近くで大豆を作っている農家さんと知り合ったのが大きなきっかけになりました。
地元の大豆でお味噌が作れたら、日本の伝統的な食文化をこの街でも楽しんでもらえるんじゃないかと思ったんです。」

地元の大豆!
それはまた、地元の皆さんの心をグッと掴みそうですね!

「なるべく地元食材にこだわりたいと思っていますが、ニュージーランドには田んぼがないので、麹用のお米だけはオーストラリア産。あと海塩はニュージーランドのものを使っています。」

麹用のお米

前田さんの味噌工房では、米麹を作る麹室も完備。

ニュージーランド流・お味噌の食べ方は必見!

ニュージーランド人に愛されるMiso

Urban Hippieで販売されている商品は現在4種類。
お味噌、味噌ドレッシング、塩麹(商品名は”ウマミソルト”!)、そして、ミソマイト。

ミソマイト?!
もしかして、あの、イースト発酵の「ベジマイト」と何かつながりがあるのでしょうか??

「ニュージーランドでは、ベジマイトやマーマイトはトーストに塗って食べるのが一般的です。いかにして味噌をニュージーランド人に楽しんでもらうかと考えたら、やはり同じように食べられるものを作ろうと思いました。」

お味噌と同じ材料で割合を変え、白味噌のような仕込み方で作られているというミソマイト。
独創的で且つ、とてもキャッチー。思わず手に取ってしまう地元の方々が想像できるようですね。

「私のお気に入りはミソマイトと一緒に、カマンベールチーズ、アボカドをのせたトースト。毎朝食べている、我が家の定番の朝食メニューです。」

「私たちはよくキャンプやバーベキューをするのですが、おにぎりにミソマイトを付けて、炭火で焼いた焼きおにぎりも最高ですよ。」

おにぎりにミソマイトを付けて、炭火で焼いた焼きおにぎり

なんておいしそう!この味を想像しただけでヨダレが出そうです(笑)

「ニュージーランド人のお客様は、うちのお味噌をキャセロールという伝統的な煮込み料理やローストビーフ用のグレービーソースに入れたり、塩味代わりにマッシュポテトに使うなどして、お味噌汁以外にも活用してくれているようです。」

健康食の流行が、発酵食品への理解をブーストする!

誠実な前田夫妻

Urban Hippieを始められてから6年。その間には日本もニュージーランドも色んな変化があったのではないでしょうか?

「こちらで発酵食品といえばチーズとヨーグルト。わたしたちが味噌を販売し始めた2011年当時は、まだ味噌を知る人も少なく、反応もいまひとつだった時期がありました。しかし健康ブームによって発酵食品が注目され始め、味噌やキムチが知られるようになり今ではコンブチャも流行っています。」

味噌がなんだか知らないという人に知ってもらうのは、きっと大変なご苦労でしたね。

「販売にあたり保健所などに申請する際、担当の人が味噌を知らないので苦労したことはありました(笑)。でも規則を守り、精神誠意ビジネスに取り組んでいると、こちらの人はみんな応援してくれます。ニュージーランド人は基本的に地産地消を好む傾向にありますし、自分のお気に入りを熱心にサポートしてくれますね。」

前田さんのおかげで『人生で最初に味わう味噌がUrban Hippieの味噌』、というニュージーランド人がどんどん増えていることでしょう。それほどまでに前田さんご夫妻の、誠実な取り組みが信頼を得ているんだと感じます。

「スーパーなどの棚に自分の味噌が並べられているのをこの目で見たときは、本当に感動しました。今でも、小さなお子さんやお年寄りが味噌汁を好きと言ってくれるのが、とっても嬉しいです。」

将来の夢は広がるばかり。ニュージーランドで”ソウルフード”の提供を目指して。

オーガニックで大豆栽培

ニュージーランドにおける味噌のパイオニア的アイコンになった前田さん。何か新しい取り組みも計画されているのでしょうか?

「今年から自分でも、オーガニックで大豆栽培を始めました。ニュージーランドには大豆農家がさほど多くないため、万が一、大豆が確保できないという事態を避けるためです。まだ試行錯誤中ですが、今年うまくいったら来年は少し広げるなどしていきたいと思っています。」

それはすごい。どんどん広がりますね!

「商売を大きくする、というよりは美味しくてちゃんとしたものを届けたい。
うちの商品は、出汁を取らなくても、少しの野菜だけでおいしいお味噌汁になります。かつての日本ではどこの家でも作っていたような、大豆の粒が少しだけ残り、麹が香る味噌。それを、私たちがちゃんと手作りしているんだと伝わるように届けたいんです。」

アーティストの街・ネルソンで、心豊かに、顔が見える関係性を。

前田さんは、”作り手の顔が見えるようにしたい”ともおっしゃいます。

「Urban Hippieを始めて以来、毎週土曜日は必ずネルソンマーケットという地元のマーケットに出店しています。」

昔からアーティストが多く暮らすというこの街の名物、ネルソンマーケット。
オーガニック野菜やフルーツ、さまざまな食材や料理のお店、ハンドクラフトやアート作品、ミュージシャンなど、市民たちの生活を支える大切な市場です。

「そこではお客さまと直接話すことができるんです。感想や意見など、まさに生きた言葉でフィードバックしてもらえるので、すごく参考になるんです。
将来、たとえどんなに忙しくなったとしてもネルソンマーケットには出続けたいですね。」

最後に、将来についてうかがいました。

「日本ほど歴史が長くないニュージーランドでは、何代も商売が引き継がれるということがあまりありません。だからこそ将来を長く見据えて、ここでUrban Hippieを続けていきたい。
それと、現在一部だけのオーガニック食材を、いつかは全てオーガニックに。そして大豆も全て自家栽培できるように頑張りたいと思っています。」

優しい笑顔の前田さんご夫妻。今後の更なるご活躍が楽しみですね。

オーガニックな大豆の若葉

Urban Hippie(販売はニュージーランド国内発送のみとなります)

http://www.urbanhippie.co.nz
info@urbanhippie.co.nz
https://www.facebook.com/urbanhippiemiso

Rongorongo(こちらでも購入できます)

Urban Hippie / Miso & Shio-Koji
https://www.facebook.com/RongorongoNZ/

やなぎさわ まどか

やなぎさわ まどか

フリーライター/ 通訳翻訳コーディネーター/ 農家見習い 10代後半から20代前半の海外生活後、英会話学校のマネージメントやコンサルティング企業に勤務。2011年3月の震災を機に、兼ねてから興味のあった農的な暮らしへの移行を求めて退職。現在はフリーランスにてライターやマネージメントの活動をしつつ、自然との繋がりを深める暮らしの実践中。心はいつでも旅人のままであり、自由と安定のバランスを模索する日々。 Instagram

関連タグ

この協力者の他の記事を見る

このライターの詳細へ

最新記事

もっと見る

SERIES 連載

More

CATEGORIES カテゴリー