発酵レストラン

2018年01月08日

江戸の「麹の名産地」が復活!文京区本郷の醸し場『発酵するカフェ 麹中-Koujichu-』

文京区本郷に新たな発酵スポットが誕生! 樹齢600年超の大きなクスノキに見守られていただく「85(発酵)定食」が大人気のお店、その名も『麹中(こうじちゅう)』へお邪魔しました。

麹中店内
撮影:木内和美

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本郷弓町のクスノキが目印の『発酵するカフェ 麹中 –Kojichu-』

どことなく落ち着いた歴史の空気を感じる文京区。本郷三丁目駅から5分ほどの本郷弓町(ゆみまち)を歩くと、かの文豪、司馬遼太郎が週刊朝日で連載した歩き旅シリーズ「街道をゆく」にも登場して有名になったクスノキが現れます。
2017年11月にオープンした『発酵するカフェ 麹中 –Kojichu-』は、その天を仰ぐほどに大きいクスノキの正面に位置しています。

司馬遼太郎が週刊朝日で連載した歩き旅シリーズ「街道をゆく」にも登場して有名になったクスノキ
撮影:木内和美

“発酵”にちなんで“850円”の「85(ハッコウ)定食」でパワーランチ

“発酵”にちなんで“850円”の「85(ハッコウ)定食」

ランチ営業の『麹中』では、自然栽培を中心としたオーガニック食材で一汁一菜のランチプレートがいただけます。

内容は、ふっくらとおいしく炊き上げられたご飯、ボリュームたっぷりの具沢山なお味噌汁、しっかりとした味付けの“ご飯のお供”になるミニ惣菜3品。
こだわりの食材をお店で手作りしているにも関わらず、発酵にちなんだ850円という良心的な価格がうれしい「85(ハッコウ)定食」です。

お櫃(ひつ)からご飯をよそう。「85定食」で“食事に自ら関わっていく”体験を

ご飯は自分でお櫃(ひつ)からよそう

個性的なのは、ご飯は自分でお櫃(ひつ)からよそうこと。レジで85定食をオーダーしたあと、好きなお茶碗を自分で選び、お櫃を開けてご飯をよそいます。お櫃を開けた時にフワッと立ち上がるご飯の香りがちょっとした非日常感を演出してくれます。

これは、自分でご飯をよそうことで、シンプルな食事に自ら関わっていく体験をしてもらいたい、と考えられたことなんだとか。
そう教えてくれたのは、メニュー開発をはじめとする運営担当の石橋 直樹(いしばし なおき)さん、平野 智子(ひらの ともこ)さんのおふたり。

「すごく大盛りにする方もいらっしゃいますけど(笑)それはそれで嬉しいです」とさわやかな笑顔を見せてくれました。

「麹中」の黒板のメニュー

この日のご飯のお供3品
この日のご飯のお供3品。なめ味噌はご飯に乗せて食べるほか、お味噌汁に溶いて味の変化を楽しむのもオススメ

『麹中』のある本郷は、実は江戸時代から「発酵の町」だった

麹中をオープンされたのは、カフェに併設して設計事務所を構える崎谷 浩一郎(さきたに こういちろう)さん。学生時代からずっとご縁の深い場所だという本郷に、なぜ発酵カフェだったのでしょうか?

「本郷という町は、実は江戸時代から麹室(こうじむろ)がたくさんある場所だったんです。今ではあまりそのイメージはありませんが、古い建物を立て直すときに地下の室が見つかったりしているんですよ。」

麹中店内

麹屋が多い時代があった本郷や湯島エリア

今では残念ながらあまり知られていませんが、18世紀に書かれた江戸時代の書物『続江戸砂子』(えどすなご)にも「本江麹、本郷湯島より江府の酒、みそ麹多く出る」と記されているように、かつて本郷や湯島エリアには麹屋さんが多い時代があったのです。

江戸から明治時代は、味噌の製造業者と麹の製造業者が本郷区に集中

明治41年に行われた東京の市勢調査の資料でも、当時、味噌の製造業者の約40%、麹の製造業者の約75%が本郷区に集中していたといわれており、江戸から明治にかけた長い間、このエリアが麹や発酵の町として栄えていたことがわかります。

(参考文献:東京市役所統計課 / 東京市役所 一九一一『明治四一年施行東京市市勢調査、職業別現在人口表 附いろは別職業名索引』)

お米にもこだわって作られた自家製の甘酒
人気のドリンクメニュー、お米にもこだわって作られた自家製の甘酒。
カフェは朝8:50から営業しているので、始業前の“朝イチ甘酒”もできる。

発酵の町・本郷に関わる人たちが集う場所になりゆく『麹中』

まるで発酵の町・本郷が時を新しくして復活したような『麹中』。これからどんなお店になっていくのでしょうか。

「この町に関わる人たちが気軽に集える場所になりたい。人と人が出会って何かのアイディアを交換しあうときって、まるで発酵されたみたいな感じになりますよね。」
と崎谷さん。発酵に魅せられた人ならではの表現で語ってくださいました。

『麹中』ではセミナーやイベントなども開催予定

店名の通り“発酵中”の『麹中』では、現在さまざまな企画が予定されているそうです。ランチ営業後や週末の閉店時を活用した発酵食セミナーやイベント、石橋さんによるオリジナルメソッドの食育セミナーなど、どれも興味深い企画ばかり。また、オープンしたてのフレッシュなこのカフェを一緒に盛り上げてくれるメンバーも募集中です。

麹中のメンバー。左から崎谷さん、永澤さん、石橋さん、平野さん、大喜多さん。
左から崎谷さん、永澤さん、石橋さん、平野さん、大喜多さん。

本郷のクスノキに見守られ

前途のクスノキについて、司馬遼太郎の「街道をゆく」にはこんなくだりがありました。

江戸初期にはすでに樹齢200年以上だったろうからこの木は家康の江戸入りから幕府瓦解までをたっぷりながめてきたことになる。

この土地で新たにはじまる『麹中』の物語を、江戸時代と同じようにクスノキは静かに見守っていくのでしょう。そんなことを考えながらクスノキを見上げると、心なしか嬉しそうに見えてきました。

『麹中』がどんな場になるのか、本当に楽しみです。

✔『発酵するカフェ 麹中 –Kojichu­』のフードディレクター、石橋直樹さんに聞きました!
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写真・取材ご協力:発酵するカフェ 麹中 -Koujichu-

発酵するカフェ 麹中 -Koujichu- Facebookページ
営業時間:土日祝日を除く平日 8:50〜17:00(ランチ 11:00〜14:00)
住所:東京都文京区本郷2-35-10
電話:03-5615-8540

やなぎさわ まどか

やなぎさわ まどか

フリーライター/ 通訳翻訳コーディネーター。10代後半から20代前半の海外生活後、英会話学校のマネージメントやコンサルティング企業に勤務。2011年3月の震災を機に、兼ねてから興味のあった農的な暮らしへの移行を求めて退職。現在はフリーランスにてライターやマネージメントの活動をしつつ、自然との繋がりを深める暮らしの実践中。心はいつでも旅人のままであり、自由と安定のバランスを模索する日々。 Instagram

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