乳酸菌

2018年07月18日

都市型ライフスタイルに自然発酵を取り入れる、COBOウエダ家の『自然発酵乳酸菌』とは?

横浜で「COBO Lab.自然発酵食研究所(コーボラボ)」という微生物の研究、商品開発、講座の場を主催されている「COBOウエダ家」さん。今年の2月3日、乳酸菌の日に開催された、麹文化研究家のなかじさんによる「発酵祭り」でも登壇なさっており、発酵に興味のある方々だけではなく、食品・医療・環境関係者からも注目を集め続けています。

無農薬の国産ササニシキを発酵させ、一番状態の良い乳酸菌をフリーズドライにしてパウダー化した、COBOウエダ家の『自然発酵乳酸菌』
無農薬の国産ササニシキを発酵させ、一番状態の良い乳酸菌をフリーズドライにしてパウダー化した、
COBOウエダ家の『自然発酵乳酸菌』

「ウエダ家さんのことをもっと知りたい!」という多くの方からのリクエストにお答えすべく、ウエダ家さんが普段はどんな活動をされているのか、などなど詳しくお話をうかがいました。

「COBOウエダ家」は、都市型ライフスタイルに発酵の智慧を取り入れたロールモデル

住まいや観光地として幅広い人気を誇る神奈川県の横浜市。田舎でも古民家でもない、意外なほど都市型の場所にCOBOウエダ家の“醸し場”があります。

「僕はもともとデザイナーという仕事をしています。今も制作物のデザインもするし、菌との暮らしもデザインしてるんです」

そう話してくれたのは、COBOウエダ家代表、夏雄(なつお)さん。グラフィックデザイナーの草分け的存在として、数多くのクリエイティブな広告を担当していた夏雄さんは、ある本の制作に関わってことで「菌」の世界に触れることになりました。

天然酵母の存在を世に知らしめた本『旬の酵母でつくるパンBook』の制作

2002年『旬の酵母でつくるパンBook(自然食通信社)』を制作。当時はまだ知る人ぞ知る存在だった天然酵母の本。
2002年『旬の酵母でつくるパンBook(自然食通信社)』を制作。
当時はまだ知る人ぞ知る存在だった天然酵母の本。

当時はまだインターネットの黎明期(れいめいき)であり、自宅で趣味として天然酵母を楽しんでいた方々がこの本の登場で横につながり、一気に天然酵母という存在が知ら示された1冊になりました。残念ながら現在では絶版となってしまいましたが、この本で酵母の起こし方を学んだ人や、今も大切に保存しているという方も少なくありません。

「菌」の世界に魅せられ、菌の活動を調べたり、酵母液を料理に使ったりなど、菌のある生活を楽しむ

当時、天然酵母とえば 「糖分を媒介にしてぷくぷくと発泡してきた液体を使ってパンを焼くこと」とほぼ同意だった時代ですが、夏雄さん自身は「菌の世界そのものに魅せられていった」そうで、菌の活動を調べたり、酵母液を料理に使ったり、そのまま飲んだりということを楽しみ始めました。

「そのまま飲んだ時は、周りはものすごいドン引きでしたね(笑)」
と笑って話すのは夏雄さんのご長女、亜弥(あみ)さんと、同じくご長男の遊(ゆう)さん。

「もともと周りのことはありまり気にしないんです。だから菌のことがもっと知りたいと思ったら、観察を続けました。知れば知るほど面白くなって、気づいたら家族みんながのめり込むように楽しみ始めましたね」(夏雄さん)。

菌の世界が面白くて、植田家は「ウエダ家」になった

「COBO Lab.自然発酵食研究所(コーボラボ)」にて乳酸球菌の説明をする遊さん
「COBO Lab.自然発酵食研究所(コーボラボ)」にて乳酸球菌の説明をする遊さん

こうしていつの間にか家族の中心に鎮座してしまった菌たち。まるで導かれるかのごとく「COBOウエダ家」としての活動を開始され、菌の研究だけでなく、同じ世界を知りたいというお問い合わせに応えるための講座を開講。文字通り全国から受講生が集まる場所が誕生しました。場所を都内から横浜市に移し、「COBO Lab.自然発酵食研究所(コーボラボ)」となった現在も、毎回たくさんの受講生が参加される人気の講座を多数続けています。

COBOウエダ家による『自然発酵乳酸菌パウダー』の開発と発売

2008年、ウエダ家は『自然発酵乳酸菌』というパウダー状の乳酸菌を商品化しました。(特許出願中)

無農薬の国産ササニシキを発酵させ、一番状態の良い乳酸菌をフリーズドライにしてパウダー化した、COBOウエダ家の『自然発酵乳酸菌』
COBOウエダ家の『自然発酵乳酸菌』

ササニシキを発酵させ、一番状態の良い乳酸菌をフリーズドライにしてパウダー化した『自然発酵乳酸菌』

無農薬の国産ササニシキを発酵させ、そのプロセスを観察。その中で初期段階における乳酸菌と酵母のバランスの良さ、雑菌の少なさに注目し、この一番状態の良い乳酸菌をフリーズドライにしてパウダー化したものが『自然発酵乳酸菌』です。

『自然発酵乳酸菌』は完全無添加、サラサラした顆粒のパウダー

通常のフリーズドライ食品を製造するためには、デキストリンという食品添加物が必要になりますが、ウエダ家が培養していた乳酸菌は「乳酸球菌」と呼ばれる種類であったために、天然のデキストリンを生み出していることが判明。そのおかげで完全無添加、サラサラした顆粒のパウダー化に成功することができました。

『自然発酵乳酸菌』の食べ方・使い方

『自然発酵乳酸菌』は、そのままいただいたり、お味噌汁やスムージーに入れたり、塩と一緒に野菜にもみ込んで浅漬けにしたり、ぬか床に入れたりと、様々な使い方で手軽に乳酸菌を取り入れることができます。

「COBO Lab.自然発酵食研究所」の講座では、『自然発酵乳酸菌』を使ってリンゴをセミドライ化し、素材本来のおいしさを引き出すという課題が出されることも。

『自然発酵乳酸菌』でセミドライ化したリンゴを試食する受講生のみなさん
『自然発酵乳酸菌』でセミドライ化したリンゴを試食する受講生のみなさん

また、「COBO Lab.自然発酵食研究所」で一番人気なのが、『自然発酵乳酸菌』を加えたニンジンとリンゴのジュース。乳酸発酵によって引き出された素材の甘みにより、甘味料も水も使わずにおいしい野菜ジュースが作れます。

『自然発酵乳酸菌』を加えたニンジンとリンゴのジュース
『自然発酵乳酸菌』を加えたニンジンとリンゴのジュース

天然の乳酸菌、自然発酵とのタッチポイントとなる『自然発酵乳酸菌』

忙しい現代人や、都会暮らしのライフスタイルの場合、天然の乳酸菌を取り入れた暮らしにハードルの高さを感じる方々も多いのではないでしょうか。『自然発酵乳酸菌』は、そんな方々にとって、自然発酵とのタッチポイントになってくれるアイテムとして親しまれています。もちろん常日頃から発酵に触れている方々にとっても、幅広く活用できる便利なパウダーです。

自然発酵に触れることのメリットとは?

微生物の研究、商品開発、講座の場「COBO Lab.自然発酵食研究所(コーボラボ)」
自然発酵に触れることができる「COBO Lab.自然発酵食研究所(コーボラボ)」

文字通り菌が中心にある暮らしをしているウエダ家のみなさんは、「こうした古来の食文化を楽しむ手段はどんなライフスタイルであってもできることで、日常生活に落とし込むと得られるものは大きい」と言います。
具体的にはどんなことなのでしょうか?

「それは、誰かが決めた価値観や基準に合わせる必要はない、ということに気づきやすくなることです」(夏雄さん)

菌の世界に学び、菌のように自分の役割にコミットし始めると、自らの価値基準を信じる力が付く

忙しい社会を生きるわたしたちは、いつの間にかメディアや誰かの情報を判断基準にしたり、自分が本当に望むことに素直になりきれないで暮らすことも多く、少しずつストレスとして溜め込みます。
しかし、菌の世界に学び、菌のように自分の役割にコミットし始めると、自らの価値基準を信じる力が付くというのです。

菌に教わった、「人生を楽しくする基盤をクリエイトすること」の大切さ

現実社会では、年齢や性別は問わずとも「自己承認の低さ」がストレスや社会課題とつながることもあります。だからこそ、自らの価値基準に自信を持って、人生を楽しくする基盤をクリエイトすることが大切なのだと思います。

「ウチだって今でも発見の連続です。まだまだ菌の世界を楽しんでいたいですね」(夏雄さん)

発酵学類の“教授”として「世界を農でオモシロくするウェブマガジン The CAMPus」で『ハッピー微生物ライフ学』を連続中のCOBOウエダ家

現在もCOBOウエダ家は数々の講座を開催中。単発開催のほか、しっかり学びたい方への連続講座も多数主催されています。また「世界を農でオモシロくするウェブマガジン The CAMPus」では、発酵学類の“教授”として『ハッピー微生物ライフ学』を連続掲載中です。

都市型のライフスタイルにも、菌を取り入れた暮らしをする。これを楽しむところから、健やかに生きるヒントが見つかりそうですね。

COBOウエダ家

(写真左から)代表の夏雄さん、ご長男の遊さん、ご長女の亜弥さん、ご次女の好(よしみ)さん。そして夏雄さんの奥様である道子さんがオーガナイズする「ウエダ家」のCOBO Lab.にて。
(写真左から)代表の夏雄さん、ご長男の遊さん、ご長女の亜弥さん、ご次女の好(よしみ)さん。
そして夏雄さんの奥様である道子さんがオーガナイズする「ウエダ家」のCOBO Lab.にて。

COBOウエダ家(COBO Lab.自然発酵食研究所)
COBO=酵母をはじめ、微生物のはたらきによって作られる天然発酵食品の研究開発、および微生物を基準としたライフスタイルの提案を行うクリエイティブチーム。
チーム長はベストセラーとなった『旬の酵母でつくるパンBook』(自然食通信社)を2002年に出版し、時代に先駆けて菌の世界に着目したデザイナーの植田 夏雄(うえだ なつお)氏。チームメンバーは、レシピ開発を中心とした奥様・道子(みちこ)さん、講座企画や広報的な役割をご担当する長女・亜弥(あみ)さん、ラボで研究に取り組み講師もされる長男・遊(ゆう)さん、道子さんのレシピを教える次女・好(よしみ)さんというまさにウエダ家の面々と、製造に関わるスタッフの方々。
消費が主流になった食卓へ、先人から伝わる循環型の自然の智慧を届けたい、と安全な食の提供と情報発信・セミナーなどを開催し、世界各地に多くの”醸し人”たちを誕生させている。
『酵母ごはん』(2006年)、『新しいごはん』『酵母スイーツ』(共に2007年)(いずれも学陽書房)『COBO 野生酵母と出会う』(2008年 エスプレ)『ウエダ家のえがくスープ』(2011年 学陽書房)など多数。
自社開発商品「ウエダ家の自然発酵乳酸菌」「におわないぬか床」他多数、全国の食材店などで販売中。今夏からはコーポレイトサイトでのネット販売も開始予定。

やなぎさわ まどか

やなぎさわ まどか

フリーライター/ 通訳翻訳コーディネーター。10代後半から20代前半の海外生活後、英会話学校のマネージメントやコンサルティング企業に勤務。2011年3月の震災を機に、兼ねてから興味のあった農的な暮らしへの移行を求めて退職。現在はフリーランスにてライターやマネージメントの活動をしつつ、自然との繋がりを深める暮らしの実践中。心はいつでも旅人のままであり、自由と安定のバランスを模索する日々。 Instagram

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