2017年04月25日

国境なき料理団・本道佳子さんが教えてくれた発酵“和ビーガン”、心のレシピ

「国境なき料理団」の団長を務め、日本古来の和のテイストを取り入れた「和ビーガン」料理を通じて世界を舞台に活動を続けている本道佳子さん。
4月27日(木)に、ビーガン料理75レシピが掲載された『疲れた胃腸を元気にする週末ビーガン野菜レシピ』(新潮社)も発売されました。

その優しい笑顔と、比類なき発想力、そして食材を見る確かな力で野菜料理を提案している本道さんのヘルスコンシャスなファンは多く、本道さんが講師として開催されるお料理教室はどこも満員御礼続出という人気です。
そんな本道さんは、どんな発酵食がお好きなんでしょうか?また、「国境なき料理団」や「和ビーガン」って??
その他、楽しいお話をたくさんお伺いしてきました!

本道佳子
(c)Quest Cafe

家庭の食卓が、世界平和へ続く思い
「和ビーガン」と「国境なき料理団」の活動

「いつか人種や宗教の違いを超えて、どんな人でも一緒に食事ができる平和な世界になってほしい」と言う本道さん。

確かに、世界の食事情を見渡してみると、宗教によって牛や豚や甲殻類などを禁じたり、信条によって動物性を食さない人や体質によるアレルギーの人がいたりと、意外と制限が多いことに気が付きます。

「でも野菜料理なら、世界のみんなが一緒に食卓を囲むことができる」

その思いからいつしか本道さんのお料理は「和ビーガン」と名付けられ、野菜を中心としたシェフならではの活動を開始されました。
”食のエッセンスが加えられたビーガン食で、平“”を導き、世界に調“”が訪れる。そんな思いが込められた呼び名です。

その思いからいつしか本道さんのお料理は「和ビーガン」と名付けられ、野菜を中心としたシェフならではの活動を開始されました。
(c)BIGTREE

個人それぞれが忙しく暮らす現代だからこそ、少しの工夫で同じ食事を一緒にとる家庭が増えたら、それはきっと”平和な家庭”への第一歩。

そんな家庭が世界各地に存在することこそが、世界平和への道のりだと思う、と本道さん。
和ビーガンシェフとして、そして、「国境なき料理団」の代表として、平和な食卓が世界に増える活動をされています。
素晴らしい野菜を生み出す生産者さんを応援し、食に関わる人たちをつなぎ、連日たくさんの方々へ、笑顔が生まれる野菜料理を作られているのです。

熊本地震の際には現地に赴き、地元の方々と一緒に炊き出しも行われました。

「国境なき料理団」の熊本地震活動内容はこちらから

 熊本地震の際には現地に赴き、地元の方々と一緒に炊き出しも行われました。
(c)amarie

「家庭料理ですから誰でも参加できるんです。ごはんを食べる人ならどんな人でも」
と優しい笑顔で微笑まれたらこちらまでついつい笑顔に。
こうして日頃からたくさんの笑顔を生み出しているんですね。

25歳でニューヨークへ!きっかけは「世界の料理を知りたい!」

世界の食事に目を向けた本道さんがニューヨークで飛び込んだのは、世界中から人が集まっている厨房でした。
アフリカ、中南米、中国、タイ、フランス、アメリカ…さらに移民や同性愛などマイノリティと呼ばれるグループの人たちも同じように働き、そしてお客様も世界中から集まってくる。文字どおりグローバルな場所で様々なことを学んだと言います。
「これからはどんな人も国境を超えて世界の人と働く時代が来る」
そう感じて以来、今も変わらずその視点は広く世界各地に向けられています。

本道さんに聞きました!

本道さんに聞きました!
(c)amarie

本道さんご自身がいちばんお好きな発酵食品は何ですか?

甘酒が好きですね。お酒は飲めないので、麹で作られている甘みが味わえるものが好きです。
そのままいただくのも大好きですし、素材としてお料理に使うこともあります。タルトを焼くときクリームとして使ったり、キウイなど酸味があるものと合わせてデザートをつくったりもします。

国内でも出掛ける先々で麹屋さんをチェックしています。
少し前に行った金沢でもすごくおいしい麹屋「髙木糀商店」さんとご縁ができて、麹とお水だけの甘酒を頂いたのですが、元の麹がおいしいだけあって甘酒もとってもおいしくて。
あとこの前は、新潟県の駅の中に甘酒が飲めるお店があって、フードコートで見回しても飲んでる人が多かったですね。
また、N.Y.でも甘酒を広めようと頑張っている山脇奈津子さんがいらっしゃいます。彼女はニューヨーカーたちの食生活に日本の発酵食品を提案しています。

ビーガン料理における発酵食とは、どんな役割になるのでしょうか?
(c)amarie

ビーガン料理における発酵食とは、どんな役割になるのでしょうか?

発酵は、野菜が持っている本来のおいしさを最大限引き出してくれると思います。
ビーガンというと、生野菜ばかりをイメージする方はまだ多く、実際、北米などではサラダタイプのプレートも目立ちます。しかしそこに和食のエッセンス、特に発酵食の力を加えるとグッと深みあるおいしさにレベルアップしてくれるんです。

私はよくお醤油やお味噌を使いますが、生クリームやバターとは違うコクと風味が増します。近年、欧米のシェフたちの中には自分でお味噌を仕込んだり、発酵に興味を持っている人も出てきましたが、発酵本来のポテンシャルを考えたら、その活用はまだまだこれから発展していくように感じます。
そのせいか、私が外国に行って料理をすると、近くのシェフたちが見に来たりすることもよくあるんですよ(笑)

最近作られた、本道さんらしい発酵食品の活用法があったら教えてください。
(c)n.masa

最近作られた、本道さんらしい発酵食品の活用法があったら教えてください。

フラックスシード(亜麻仁)とお味噌の組み合わせを作りました。フラックスシードは水溶性と不溶性の両方の食物繊維が豊富なので、お水に漬けることでとろみを出すことができます。そこにお味噌を加え、食物繊維や酵素がたっぷりのドレッシングを作り、さやいんげんと合わせた料理が喜ばれました。

和え物といえば、日本では古くから好まれてきた調理法ですよね。ほうれん草の胡麻和えとか、ぬたとか、わたしたち日本人は和え物をたくさん食べてきました。

私はひとりでお料理するときに色んな空想をすることがあるんですが、「和え物」って、食材同士がボールの中で出会う食べ物だなぁと考えたことがあります。
和え物は「会えもの」、つまり、人と人を繋ぎつづけてきた料理なのかもしれないと思いました。

出会いやご縁は、食材も人も同じ必然のこと。
私がつくる和え物も、たまたまそこに並んでいた食材同士を和えて作ることがあります。それは、たまたま誰かが並べてくれたものだけど、きっと私たちの力が及ばない”出会い”として起きたこと。なら一緒に和え物にすればあうな、と想像するんです。

シェフによってそれぞれ、焼いたり炒めたり、またはパン作りなど、人によって調理技術の得意性を持っていると思うんですが、わたしの場合「自分の手は和え物に向いてるなぁ」と感じます。
そのせいなのか、周りが驚くような組み合わせをしても、いつもおいしい和え物料理としてまとまってくれるんですよ(笑)

本道さんのお料理は味だけでなく見た目、とくに色がきれいですよね。
(c)n.masa

本道さんのお料理は味だけでなく見た目、とくに色がきれいですよね。

できるだけ素材が持って生まれた色をきれいに見せたいと思っています。お醤油やお味噌で茶色くなりがちですが、そこに工夫やひと手間加えることで、かれらのそのままの姿が活かせる。その美しさを皆さんに見てもらいたいと思って作ってます。

日本の発酵食を食べたとき、海外の皆さんはどんな反応をされますか?
(c)BIGTREE

日本の発酵食を食べたとき、海外の皆さんはどんな反応をされますか?

喜ばれますよ。特に、元から知識として日本食を知ってる方はとても喜んでくれます。
それと、例えば召し上がる方が普段あまりしょっぱい味覚に慣れてなさそうであればお味噌を選ぶときにも甘目のお味噌にするなど、こちらも少し配慮しています。そのせいか、生まれて初めてお味噌を食べる人にも喜んでもらえますね。

海外でも私たちと同じように、発酵食品=食材をおいしくして健康に有用、という目線が浸透してきたのでしょうか?

基本的に欧米の発酵食は動物性が多く、恐らくチーズやヨーグルトが一般的だと言えますが、”健康食”という意識を持っている人はまだごく一部。大抵は味の好みを優先してチーズを選んでいると思います。
いつかアメリカ人の一般家庭でも麹の働きが常識化して、彼らが好むローストチキンとか、鶏肉を漬けとくだけで柔らかくておいしくなると知れたら、きっとすごいことになるでしょうね。

とはいえ今は昔に比べたら多様性が出てきました。海外で日本の発酵食を広めようとしている方々も各地にたくさんいます。発酵の面白さを感じる海外の方も増え、現地で発酵食フェアを主催してくれるなど、少しずつ世界での広がりが見えてきたように感じています。

まるで菌の多様性みたいですね。
(c)BIGTREE

まるで菌の多様性みたいですね。

まさしくその通りです。
人生で初めて味噌汁や甘酒を口にするとしたら、その人の腸内で多様性が生まれますよね。おそらく初めて入ってくる微生物に体内の菌たちも大喜びしてるはず(笑)
わたし自身、海外で初めて知る食べ物に出会うと、いつもそんな風に体で感じることがあります。人はきっと、知らない発酵食を食べれば食べるほど腸内が多様化するような気がしますね。

歴史を振り返ってみても、発酵が発見された以降、人類は色んな意味で変わりました。発酵を食文化として確立できた国は、他の分野でも進化しやすい。
国で捉えず、個人でも同じことが言えると思います。発酵食を含めて食事への好奇心が旺盛な人は、他のことにもフロンティアスピリッツが高い傾向がある。世界中でフードトレンドに敏感な女性たちを頼もしく感じるのも同じことが言えるでしょう。

逆にどこの国でも、知らない食べ物に対して保守的な人はいますが、食文化の発展=個人の発展だと考えると、それは実にもったいない。ぜひ初めて知る食べ物に出会ったら、どんどん食べてみて欲しいと思います。

逆にどこの国でも、知らない食べ物に対して保守的な人はいますが、食文化の発展=個人の発展だと考えると、それは実にもったいない。ぜひ初めて知る食べ物に出会ったら、どんどん食べてみて欲しいと思います。
(c)n.masa

haccolaの読者さまだけに…!本道さんの発酵レシピ紹介

本道さんがhaccolaをご覧のみなさまだけに教えてくれたレシピはこちら↓から
≫【ココナッツ塩麹シャーベットのせフルーツサラダ】本道佳子さんの発酵“和ビーガン” レシピ

お話をうかがった方

本道佳子さん
東京都生まれ。高校卒業後、フードコーディネーターの道に進み、25歳で単身ニューヨークへ。高級レストラン「Hudson River Club」で修業後、現地のVIPが集う「野村エグゼクティブダイニング」でスーシェフ(副料理長)に抜擢。その後、ロサンゼルスへ。ケータリングを手がけながらオーガニックやマクロビに触れる。2000年の帰国後、フリーの料理人として、映画の撮影現場やコンサートツアーの帯同シェフを務める。2010年、「国境なき料理団」を立ち上げ(2013年にNPO認定)、その本拠地として植物性の食材だけを使った野菜料理のレストラン、湯島食堂をオープン(2014年にクローズ)。自然災害被災地での炊き出し、そして医療施設などで、出張料理人としても活躍する。著書に、『湯島食堂 ちからがわく野菜の100皿 大人気野菜レストラン』『夢を叶える精進料理 湯島食堂のミラクルごはん』など。
和ビーガン:http://bes-planning.tokyo/wavegan/
国境なき料理団:https://www.cook-ambassador.com/

書籍詳細

本道佳子/著『疲れた胃腸を元気にする 週末ビーガン野菜レシピ』(新潮社) 1,404円(税込)

本道佳子/著『疲れた胃腸を元気にする 週末ビーガン野菜レシピ』(新潮社) 1,404円(税込)

関連リンク

髙木糀商店:http://takagikouji.com/
山脇奈津子(Natsuko Yamawaki)さん
・英語サイト:http://www.natsukoyamawaki.com/
・日本語サイト:http://www.natsukoyamawaki.com/jp/index.html

やなぎさわ まどか

やなぎさわ まどか

フリーライター/ 通訳翻訳コーディネーター/ 農家見習い 10代後半から20代前半の海外生活後、英会話学校のマネージメントやコンサルティング企業に勤務。2011年3月の震災を機に、兼ねてから興味のあった農的な暮らしへの移行を求めて退職。現在はフリーランスにてライターやマネージメントの活動をしつつ、自然との繋がりを深める暮らしの実践中。心はいつでも旅人のままであり、自由と安定のバランスを模索する日々。 Instagram

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