すごく使える!発酵コスメ『紅』こそ忙しい女性にオススメ【中嶋マコトの発酵コスメビューティ】

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江戸時代の発酵コスメ『紅』、その秘伝の発酵技法とは?【中嶋マコトの発酵コスメビューティ】」に続いて、「伊勢半本店 紅ミュージアム」訪問レポートの後編をお届けさせていただきます。紅は発酵を経て作られていること、伊勢半本店の歴史などを前半ではご紹介しました。後編では、実際に紅はどのように使われてきたのか、そして、現代でもかなり優秀な、“使える”発酵コスメであることをレポートします。

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すごく使える!発酵コスメ『紅』こそ忙しい女性にオススメ【中嶋マコトの発酵コスメビューティ】

江戸時代の化粧は三色だけだった

マコトさん:現代のコスメは、アイシャドウにアイライナー、マスカラやチークと、どれも色とりどりですが、江戸時代に化粧に用いられた色はたった三色だけだったんですね。

阿部さん:そうなんです。その色は紅の赤、おしろいの白、眉墨とお歯黒 の黒のみ。唯一の有彩色であった紅は、唇だけではなく、頬・目元・爪にまで用いられることもあったほど重宝されていました。

江戸時代に化粧に用いられた色はたった三色だけ。紅の赤、おしろいの白、眉墨とお歯黒の黒のみ。
「当世美人合踊師匠」・香蝶楼国貞画 国立国会図書館蔵

マコトさん:女性の顔に彩りを添える大切な「利かせ」の色だったのですね。

阿部さん:こちらの浮世絵の女性の下唇をご覧ください。少し緑色っぽく見えませんか?

彼女は紅をおちょこの半分くらい使い、何度も塗り重ねて下唇を玉虫色に光らせています。これを「笹紅」と言い、高価な紅をふんだんに使えた遊女や芸者といった花柳界の女性達のステイタスのあらわれだったんです。
「今様美人拾二景 てごわそう」・溪斎英泉 画  伊勢半本店 紅ミュージアム蔵

彼女は紅をおちょこの半分くらい使い、何度も塗り重ねて下唇を玉虫色に光らせています。これを「笹紅」と言い、高価な紅をふんだんに使えた遊女や芸者といった花柳界の女性達のステイタスのあらわれだったんです。江戸の女性たちの憧れの紅は、玉虫色に輝く高級な紅。美人の代名詞である小野小町の名前にあやかり「小町紅」と呼ばれ、一点し(ひとさし)が「三十文」。今で言えば500円程度もする高級品でしたから、一般庶民は到底「笹紅」のような贅沢ができるわけはなく、墨と安価な紅を重ねることで真似をしていたと言います。

マコトさん:なるほど、今でいうプチプラコスメの走りとも言えるかもしれませんね!

実際に紅を体験してみました!

「伊勢半本店 紅ミュージアム」では、伝統的な紅を実際に点(さ)すことができます。せっかくの機会ですので、マコトさんにも紅を点していただきました。

「伊勢半本店 紅ミュージアム」では、伝統的な紅を実際に点(さ)すことができます。せっかくの機会ですので、マコトさんにも紅を点していただきました。

阿部さん:リップやグロスが付いている場合には、油分の水はじきで紅がムラになってしまうため、まずはしっかりと落とします。適度に水を含んだ筆で5mm四方程度を溶き、下唇の中央から唇全体に塗っていきます。

マコトさん:付け心地は思いのほか、サラッとしていますね。

阿部さん:乾くのが早く、油分がないのでその後はカップやマスクにも付きにくいですよ。また、人の唇の色に合わせて発色をするので顔なじみがとてもよく、同じ紅を点しても人によって全然印象違うんですよ。マコトさんはとても美しく発色していらっしゃいますね。玉虫色の輝きも一段と引き立っています。

マコトさん:紅に合うくちびるなのでしょうか(笑)。重ね塗りすると色も変わってくるのですか?

阿部さん:塗り重ねる回数によって、透明感のある淡い桜色から鮮やかな紅色、そして江戸時代に流行した玉虫色の笹紅にまで、様々な色合いが楽しめるのも紅ならではです。その日の気分や、和・洋装、カジュアルなファッションからフォーマルまで、ひとつの紅が幾通りにも発色するので、TPOに合わせて使えるんですよ。

紅を手の甲に塗り置いて即席チークにも! 忙しい現代女性こそ『紅』を使いこなそう

マコトさん:紅をアイカラーやチークなどとしても使っている方もいらっしゃいますね。忙しい朝などは、手の甲などに紅を取って家を出るそうです。紅は乾きやすいので服の袖にもつきにくいので安心なんだとか。そして、日中のお化粧直しのときに水で濡らした指で手の甲の紅をなぞり、頬に乗せると即席チークに! また、耳たぶに乗せてあげると健康的な印象にもなって重宝しているのだとか。

紅を手の甲に塗り置いて即席チークにも! 忙しい現代女性こそ『紅』を使いこなそう
©Ryoichi Toyama

阿部さん:携帯用の「板紅」もあるので、上手に使い分けていただきたいですね。

マコトさん:これは便利ですね! お化粧ポーチもコンパクトになって一石二鳥です。

見ているだけでうっとり♡ 伊勢半本店の「小町紅」

紅は「伊勢半本店 紅ミュージアム」やオンラインショップで購入することができます。成人式や還暦祝いにプレゼントされる方も多いのだとか。中でも人気のある3品をご紹介します。

「小町紅 季ゐろ」

小町紅 季ゐろ
©Ryoichi Toyama

「小町紅 季ゐろ」は、匠の技によって抽出された「紅」を有田焼のお猪口に刷いた逸品です。お猪口の柄はさくら、しゃくなげ、きくの三種類。帯をあしらった化粧箱に入っており、飾り座布団も付いています。
・「小町紅 季ゐろ」 税込:12,960円(使用回数の目安/40〜50回)

「小町紅 『手毬』」

小町紅 『手毬』
©Ryoichi Toyama

「女のお子様が初めて点す口紅には、本紅を」という思いから、小ぶりでかわいらしい手毬をデザインした有田焼の器に入った紅です。通年で販売されている柄の他、雛祭りと七五三を控えた春と秋に期間限定の柄も販売されます。「毬つき」には魔を祓う意味があり、初節句や婚礼の際には、母から娘へお手製の手毬が贈られたそうです。大切な節目に小町紅「手毬」のプレゼントはいかがでしょうか。
・「小町紅 『手毬』」 税込:9,720円(使用回数の目安/20〜30回)

「小町紅 『板紅』 宿り木」

「小町紅 『板紅』 宿り木」
©Ryoichi Toyama

「小町紅 『板紅』 宿り木」は、外出先でも便利な鏡付きの口紅。江戸時代の女性が板紅を携えて外出したように、付属の布袋に入れて持ち歩くことで、紅をいつでも楽しむことができます。また、紅を入れ替えられるリフィルもあるのでいつまでも長く使うことができます。宿り木は欧米ではリースやブーケにして飾られ、宿り木の下でキスをすると幸せになれる「恋愛成就」のシンボル、日本では「長寿」の意味で万葉集に詠まれ、祝い事に飾られてきました。そして左右で対のデザインには、抱きの家紋が持つ「子孫繁栄」の意味が込められています。
・「小町紅 『板紅』 宿り木」 税込:19,440円(使用回数の目安/約20回)

江戸時代から受け継がれる『紅』の伝統を継承する伊勢半本店さん。その歴史や製造プロセスを教えていただくことで、発酵という技法が食品だけではなく女性の文化にも大きな影響を与えていたことを知りました。

「紅点し指(べにさしゆび)とは、薬指のこと。力が入りにくくあまり使わない指だからこそ、くちびるに触れてもやさしく衛生的で安心とされてきたそう。もちろんそのような意味もありますが、紅を点(さ)すという女性だけの特別な行為のために薬指が存在すると思ってみると、背筋が伸びる気がします。そんな『紅』が発酵の技法を使って誕生したのですから、日本が誇る発酵文化のありがたさを感じずにはいられません」(マコトさん)。
(text:まつながなお

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お話をお伺いしたのは…

中嶋マコト モデル ビューティジャーナリスト アロマセラピーアドバイザー 気学鑑定士

中嶋マコト
モデルとして雑誌·広告·CMなどで活躍。その経験から培った知識をいかし、ビューティジャーナリストとしても 雑誌·web·イベント·TV·ラジオ等、多方面にて活躍中。繊細な感覚から生まれる、カラダにやさしい美容·食·ファッションの提案や連載には定評がある。アロマセラピーアドバイザーや気学鑑定士の資格を活かし、セミナー講師をするなど仕事の幅を着実に広げている。
http://www.ipsilon-japan.com/profile/makoto/

伊勢半本店 紅ミュージアム
©Ryoichi Toyama

伊勢半本店 紅ミュージアム
所在地:〒107-0062 東京都港区南青山6-6-20 K’s南青山ビル1F
TEL:03-5467-3735
開館時間 :10:00~18:00(入館は17:30まで)
※ただし、企画展開催中は開館時間に変更が生じる場合があります。
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日または振替休日の場合は、翌日休館)、年末年始
http://www.isehanhonten.co.jp/index.html

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