味噌汁は地域のカラーが色濃く出る料理のひとつですよね。使っている味噌も違えば、入っている具も違っておもしろいですよね。
というわけで、今回は個性豊かな日本全国のご当地味噌汁を8つご紹介したいと思います。
1:サンマのすり身汁(岩手県)
サンマをすり鉢で潰して丸めた団子入りの味噌汁「サンマのすり身汁」。岩手県・大船渡市で食べられる郷土料理です。
昔はイワシですり身を作っていましたが、60年程前から三陸沖でサンマが大量に獲れるようになり、サンマで作るようになったそう。サンマのダシが汁に溶け出して美味!
基本は味噌味で食べますが、醤油味で食べることもあるそうです。
2:納豆汁(山形県)
すり鉢で潰した納豆を入れる、とろみのある味噌汁。山形県ではかつて、各家庭で納豆を作っていて、それを使っていたそうです。
ネギや芋ガラなども加えて、ビタミン類も一緒に摂れるようにしていたといいます。食べるとポカポカと体が温まるので、寒い東北の冬にぴったりです。
山形県では1月7日の七草に食べる風習があるそうです。
3:どぶ汁(茨城県)
茨城県といえば、あんこうの水揚げが多いことで知られています。そんな茨城県の名物といえば「どぶ汁」です。ぶつ切りのあんこうと野菜から出る水分だけで作ります。船上で調理する際、水を節約するために生まれた漁師料理が起源だそうです。
味付けは肝の風味と味噌だけですが、とにかく味が濃厚でコクがあります。
4:スキー汁(新潟県)
冬のスポーツ“スキー”の名前を冠した新潟県の名物味噌汁。上越地方は日本で初めてスキーが伝わった場所でした。その後、スキー民謡などスキーに関係した文化が発展していく中で「スキー汁」が生まれます。
名前の由来は「スキー場で売られていたから」「スキー演習を行っていた陸軍の団長が命名した」「スキーブームから名付けられた」など諸説あります。
一般的な「スキー汁」は、豚肉やニンジン、ゴボウ、つきこんにゃく、そしてサツマイモを入れます。豚汁に似ていますが、ジャガイモではなくサツマイモが入るのが「スキー汁」ならではです。また、昔は豚肉の代わりにキジやウサギの肉を使うこともあったのだとか。
スキー汁は体が温まるため、スキー客にも大好評です!
5:うち豆汁(福井県)
福井県は、浄土真宗が栄えた地域で、宗教と暮らし関わりが強い土地柄です。うち豆汁はお寺の精進料理の1つでした。
「報恩講(ほうおんこう)」という仏事の時期が大豆の収穫時期と重なるため、法要の席で「うち豆汁」がふるまわれたそうです。
具材は、大豆を潰して乾燥させた「うち豆」と油揚げ、ダイコンやサトイモ、ニンジンなど野菜がたっぷり入っています。
小判状に潰れた状態で乾燥した「うち豆」は保存に適しており、水戻しも短時間でできて、火も入りやすいという便利な保存食です。
6: シジミ汁(島根県)
島根県の宍道湖はシジミの産地として有名。そこで獲れるヤマトシジミを使用したのが、島根県の郷土料理「シジミ汁」です。味噌仕立てと醤油仕立てがあります。
宍道湖のしじみは薫り高くて粒も大きく、プリッとしていて食べ応え満点。味噌汁にはシジミの旨味が溶け出して滋味深い味わいが楽しめます。
7: 薩摩汁(鹿児島県)
「薩摩汁」は鶏肉の入った味噌汁で、鹿児島県を代表する郷土料理です。名前の由来は、さつま鶏を使用していることにあるといいます。
始まりは、薩摩藩の武士が闘鶏で負けた鶏を野菜と一緒に煮込んで食べたことだったそうです。骨付きの鶏肉のぶつ切りを使うため旨みたっぷり! 濃厚な味噌の味わいと相まってコク深い味わいが楽しめます。
8:みそじる(沖縄県)
「味噌汁」と書きますが、「みそしる」ではなく「みそじる」と読みます。違うのは読み方だけではありません。私たちは、味噌汁は椀物という感覚ですが、沖縄ではメインディッシュになりうるおかずなのです!
決まったレシピはありませんが、とにかく具が多いのが「みそじる」の特徴。ゴーヤーチャンプルーが入っていたり、もやしやかまぼこ……、ポークランチョンミートまで入っていることがあります。まさに、“チャンプルー文化”の沖縄らしい味噌汁ですね。
食べてみたい味噌汁はありましたか? 全国には、まだまだユニークなご当地味噌汁が存在します。旅行で訪れた時は、ぜひその土地の味噌汁をチェックしたいですね!