かつての紅茶キノコが「コンブチャ」として流行し、世界でもすっかり定番となりました。コンブチャと同様に欧米では一般的なのが「ウォーターケフィア」。家庭で作れる乳酸菌飲料として親しまれているそうですが、一体ウォーターケフィアとはどんなものなのでしょう。ニューヨーク在住の料理家、山脇 奈津子さんのワークショップにお邪魔しました。
自然発酵飲料「ウォーターケフィア」って?
ニューヨーク在住14年の奈津子さんは、長年マクロビオティックや健康食を学ばれ、現在はプライベートシェフやケータリング、クッキングクラスなどを通して日米のヘルシーフードを発信する料理家。
日本滞在中、都内で行われたワークショップでは、まだ日本ではなじみの薄い「ウォーターケフィア」の魅力をたくさんの方に伝えてくれました。
「ウォーターケフィア」1グラムあたりの乳酸菌は8800万個!
まずは整腸作用に関するミニクイズで基礎知識を学び、ウォーターケフィアの特徴や性質を学びます。
「ケフィアグレインズ」と呼ばれる種菌から作るウォーターケフィア
ウォーターケフィアとは、「ケフィアグレインズ」と呼ばれる種菌をもとにして水分を発酵させたもの。構成成分は乳酸菌、酵母微生物、ビタミンB、ビタミンCなど私たちの体に欠かせない栄養成分です。
上手に日常生活に取り入れることで整腸作用を促し、その結果、代謝促進や疲労回復といった健康メリットを感じる人が多いことも人気になった理由のようです。
別名ジャパニーズクリスタルとも呼ばれる半固形物「ケフィアグレインズ」
ナタデココのような見た目をした種菌のケフィアグレインズは、別名ジャパニーズクリスタルとも呼ばれる半固形物で、このグレインズがないとウォーターケフィアは作れません。今回のワークショップでは奈津子さんがグレインズを含む一式を用意しくれていましたが、インターネットなどで購入可能とのこと。(奈津子さんのグレインズも2017年10月より販売予定)
ケフィアグレインズ。金属が苦手なので木製もしくはプラ製のスプーンで
「ミルクケフィア(ヨーグルトケフィア)」とは全く別物の「ウォーターケフィア」
また、数年前に流行ったミルクケフィア(ヨーグルトケフィア)とは全く別のもの。ミルクケフィアは生乳に含まれる乳糖を栄養源にした微生物による発酵プロセスですが、ウォーターケフィアは水分に含まれる糖質が欠かせません。このグレインズをミルクに入れてもヨーグルトはできませんのでご注意くださいね。
本邦初公開。奈津子さんのスペシャルレシピ
ワークショップでは必要なものが一式全て用意されていたとはいえ、ウォーターケフィアはかなり簡単に作れる発酵ドリンクといえます。さらに今回はhaccola読者のために特別に、ミネラルや糖質量のバランスが考慮された、奈津子さんのレシピを教えていただきました!
Natsuko流 ウォーターケフィアの作り方
必要なもの
・ウォーターケフィアグレインズ 大さじ2
・砂糖 大さじ3~4
・ミネラルウォーター 750ml
・容量1000ml(32オンス)の蓋つきガラス容器
・容器の底まで届くサイズのマドラー
・ストレーナー
・ボウル
※マドラー、ストレーナー、ボウルは金属製を避けること。グレインズは金属製や抗菌作用が施されたものが苦手です。おすすめはプラスチック製もしくはシリコン製。また、抗菌作用が施されたものは避けましょう。
ケフィアグレインズはミネラル分を好むため、お水はミネラルウォーターが望ましいですが、水道水も煮沸や汲み置きなどの工夫次第で使用可能。
糖質にはグレインの栄養に効率が良いとされる未精製のものを選びましょう。ワークショップではオーガニックのきび砂糖やココナツシュガーを奈津子さんがブレンドしてくれていました。
さらにオプションとして、pH値を下げる効果のためにレモンスライス(皮ごと使えるオーガニック)1枚や、ミネラルを含む糖質としてレーズン 大さじ1を入れることも良いそうで、この日はお茶パックに包んだレーズンが用意されていました。
作り方
1. 煮沸消毒済みのガラス容器にお水と砂糖を入れマドラーでよく溶かす。
2. 砂糖が完全に溶けたらケフィアグレインズ、(オプションの)レモンやレーズンをいれる。
作り方はここまで(なんて簡単!)
この後は発酵のプロセスになるため、空気が取り込めるようにコーヒーフィルターやキッチンペーパーで蓋をして、直射日光の当たらない20〜29度のところで24〜48時間キープします。
24時間経過したら蓋を開けて発酵具合をチェックしましょう。
発酵完了の目安は、水分にほのかな酸味があること。またレーズンを入れた場合は水面に浮かんでいて全く甘みが抜けています。
ストレーナーでケフィアを濾し、ボウルに残った水分が「ウォーターケフィア」、完成です!
濾して残ったグレインズは軽くすすぎ、また繰り返しウォーターケフィアを仕込むことが可能。さらに、繰り返し作り続けるとグレインは目に見えてわかるほどに増えていくそうです。小さな小粒が増えて、徐々に成長する姿は愛おしい存在に感じられそうですね。
グレインズが大さじ4以上の量になったらこの容器では多すぎるため、別の容器に移しましょう。そのときお友達にシェアするのも良いかもしれません。
また、植物に栄養としてあげたり、グレインズそのものを食べることも可能。スムージーに入れるも良し、サラダのトッピングも良し。ワークショップ当日、奈津子さんのサポート役をされていたお母様は「酢のものに使うと合いますよ」と教えてくださいました。それぞれの楽しみ方ができるのも嬉しいですね。
ウォーターケフィアをフレーバーリングしてみよう
ぷくぷくと発泡してきたウォーターケフィアはそのまま飲むもヨシですが(出来たてフレッシュなケフィアはとってもおいしいです!)奈津子さんのオススメは「フレーバーリング」。生のフルーツやドライフルーツなどの糖質を入れて風味や味わいを加えることです。
この日のためにご用意くださったのは、ハイビスカス、マンゴー、クコの実で風味や鮮やかな色味まで付いたドリンク(写真:手前)と、パイナップル、キウイ、柑橘で爽やかな味わいのドリンク(奥)という2種類。
どちらもすっきりとした味わいと、まるでフルーティーなシャンパンのような口当たりがとってもおいしかったです。
この炭酸は、酵母が糖質を餌にして二酸化炭素を発生させ、しっかり蓋ができるボトルを使うことでウォーターケフィア内に二酸化炭素が入りこみ、シュワシュワっとしたファジーなドリンクができるとのこと。
(ボトルの蓋はゆっくりガスを抜きながら開けるようにして、爆発しないように気をつけましょう)
この炭酸飲料なら、炭酸がキツく感じたり、あとからガスがこみ上げて苦しく感じるようなことがありません。それも自然発泡であるためなのかもしれませんね。
※発酵が進むとアルコール度が高まることがありますので、冷蔵庫に保存し、数日を目安に飲みきるようにしましょう。
早速自宅で完成したウォーターケフィアをフレーバーリング。
ニューサマーオレンジ4房だけで約1Lのおいしい炭酸飲料ができました
おいしさと健康は自宅で作ろう
心と体の健康が密接な関係にあるとはよくいわれることですが、奈津子さんも「お腹の中が健康になると、幸せを感じやすくなる」とお話ししてくれていました。
簡単に豊富な乳酸菌をふだんの暮らしに取り入れられたら、それは幸せへの近道ともいえそうです。それぞれのペースで、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
関連リンク
Water kefirで幸腹ライフ:https://www.facebook.com/lovewaterkefir/
ケフィアグレインズの購入および山脇奈津子認定ウォーターケフィアマイスターによるワークショップ開催などお問い合わせは上記まで。
山脇奈津子:Hakkoan@gmail.com