毎日の食卓に欠かせないみそ汁。認知症予防の観点で「安心みそ汁」を考案された管理栄養士の村上祥子さんに、脳と体を守るみそ汁のポイントをお聞きしました。さっそく試したくなる4つのレシピをどうぞ!
高齢化社会でもっとも危惧されているのが認知症です。10年後には現在の1.5倍になるともいわれ、認知症の予防に注目が当たっています。認知症の発症リスクは遺伝、糖尿病、メタボ、喫煙などのさまざま要因がありますが、食生活もその一つ。
今回は、『安心みそ汁365 認知症予防にはコレ!』の著者で管理栄養士、福岡女子大学客員教授の村上祥子さんに認知症予防によいみそ汁の作り方を教えてもらいました。
みそ汁が認知症予防によいわけとは?
日本人に馴染みの深い昆布やかつお節のうまみ。「だしのうまみの効いたみそ汁を食べると、脳が活性化される」と村上さん。これがみそ汁が認知症の予防に大きな役割を果たす理由の一つです。
一方、九州大学医学部大学院が50年間にわたって福岡県久山町で疫学調査をした結果、糖尿病が認知症の引き金になることを突きとめました。
「現代の日本人の食生活で不足しがちなミネラル、微量成分のマグネシウムを摂り、まず糖尿病の予防・改善。そして、認知症の予防に進む。このマグネシウムはみそに含まれていることをキーポイントとして、脳細胞を活性化する食材と合わせて、“安心みそ汁”を提案しました」と村上さんは話します。
著書では、みそ汁+認知症の発症リスクを下げるとされている様々な栄養素や成分を組み合わせたみそ汁レシピをご紹介しています。
安心みそ汁のポイントは減塩+だし
安心みそ汁1人分の基本構成は以下のようになっています。
たんぱく質食材 50g
野菜 100g
だし 100㎖
みそ 小さじ1
上記を見てもわかるように、認知症予防のみそ汁のポイントはだしを使った減塩です。
「市販の顆粒だしには40%の塩分が含まれています。そこで、『濃いだし氷』を提案。『濃いだし氷』は濃いめのだし汁を製氷皿で冷凍したもの。これをポンと加え、後は水を足すだけで、塩分控えめでもおいしさ十分のみそ汁を作ることができるようにしました」(村上さん)。
塩分の摂り過ぎは高血圧を招き、動脈硬化を進行させます。それが血管性認知症の引き金になるだけでなく、アルツハイマー型認知症の発症リスクも高めることが最近分かってきたのです。
成人の1日の塩分の目標量は男性8g未満、女性7g未満です。高血圧の人は6g未満を目標にしたいところ。
村上さんのみそ汁レシピはたっぷりのだしで塩分平均1g以下(一人分)の減塩みそ汁となっています。
認知症にはコレ!みそ汁レシピ4選
1、白菜とさば缶のみそ汁~脳の老化を予防するDHAが効率よくとれる
白菜(100g)とさば(水煮缶1/4缶50g)の赤みそのみそ汁。
「鮮度が高いうちに加工されたさば缶には、神経伝達を改善するDHAがたっぷり。白菜に含まれるイソチオシアネートは、動脈硬化の予防に役立ちます」(村上さん)。
2、なめこと納豆のみそ汁~食物繊維豊富な組み合わせで味もGood!
なめこ(水煮100g)とひきわり納豆(50g)の組み合わせで腸内環境の改善にも役立ちます。
「納豆は認知症に移行することが多いといわれる糖尿病の改善に重要な、マグネシウムを豊富に含んでいます」(村上さん)。
3、大根と卵焼きのみそ汁~加熱すると甘くなる大根は卵と相性ぴったり
大根(100g)と卵1個分の卵焼きを入れた白みそのみそ汁。
「卵はコレステロールを上げるといわれていましたが、コリンも多く、大脳皮質の情報伝達の役目を果たす大切な脂質の供給源として見直されています」(村上さん)。
4、なすと豚ひき肉のみそ汁~汁に溶け出たナスニンを逃さず摂取
輪切りにしたなす(1本100g)と炒めた豚ひき肉(50g)のみそ汁。
「なすの皮に含まれるアントシアニン系色素のナスニンは、活性酸素を抑制します。良質たんぱく質の豚肉と合わせて、動脈硬化の予防改善にも。血流がよいと、栄養成分の補給、酸素の供給がスムーズで、脳の活性化にも貢献します」(村上さん)。
みそ汁は日本食とは切り離せないものですが、反面、塩分が気になる、栄養が十分に摂れないといったこともあげられます。その点を解消したのが「安心みそ汁」。実際に村上さんの料理教室でも減塩みそ汁をメニューは生徒さんに大好評だとか。
『安心みそ汁365 認知症予防にはコレ!』では食欲をそそるような色どり豊かなみそ汁が並びます。みそ汁のレパートリーを増やしたい方も必見。これまでのみそ汁の作り方を見直してみませんか?
【参考書籍】
村上祥子著『安心みそ汁365 認知症予防にはコレ!』セブン&アイ出版 本体 1,280円(税別)