「発酵居酒屋5(ゴ)」料理長“発酵わくわく大使”に聞く発酵の魅力と楽しみ方!

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東京・表参道にある、発酵をテーマにした居酒屋「発酵居酒屋5(ゴ)」。料理長を務める発酵料理人の鈴木大輝さんは、“発酵わくわく大使”として、麹作りのワークショップを開催したり、イマジン盆踊り部として『発酵盆唄』を発表したり…、発酵文化を伝える活動を幅広く行っています。

発酵わくわく大使・鈴木大輝さん
発酵わくわく大使・鈴木大輝さん

「“発酵わくわく大使”として、麹菌に「大」いに「使」われています(笑)」と鈴木さん。よく、“神様は自分で動くことができないから、自分の代わりになってくれる人を見つけて動かしている”なんていいますが、鈴木さんは麹菌に魅入られ、麹菌の思し召しで動いているのかも!?

さて、今回はそんな「発酵居酒屋5(ゴ)」の料理長であり、“発酵わくわく大使”の鈴木さんに、発酵の魅力や楽しみ方について教えていただきました。これから開催される、ピースフルな発酵イベントも紹介してくれましたよ!

生きた力をそのままいただけるのが発酵食品の素晴らしさ!

――“発酵わくわく大使”として活動し始めたきっかけを教えてください。
鈴木さん:高校時代から料理の世界に入ったのですが、はじめは獲れたて、締め立てのフレッシュな食材がもっとも生命力に満ちていると思っていました。

でも、地元・鎌倉で、醗酵培養宙造研究所の所長との出会ったことで、発酵食品こそが最も力強い食べ物だと思うようになったんです。発酵食品には微生物がすんでいて、発酵が進むと増殖していくわけです。そして、生きた増えていく命の力をそのまま体に取りこめるのですからね。

もともと、幼少期から発酵食品は身近にあったので実感があったのかもしれません。父が韓国人で、父方の祖母がよくキムチを漬けていました。韓国も発酵大国ですから。水キムチの作り方なんかも、祖母から教わりましたね。水キムチって、米のとぎ汁を乳酸発酵させて作るんですよ。

豊臣秀吉が天下を取れたのはふな寿司のおかげ?

豊臣秀吉が天下を取れたのはふな寿司のおかげ?


――郷土料理の研究もされているそうですね。最近は、どんな料理を研究しているのですか。

鈴木さん:ここ4年くらい毎年、滋賀県の彦根に足を運んで、師匠にふな寿司の作り方を教えてもらっています。師匠は88歳の田中花さんという友達のおばあちゃんなんですが、とても研究熱心で、毎年進化し続けているんですよ。

ふな寿司を作る時、えらの内側を丁寧に洗わなければならないんですね。師匠、最初は普通のたわしを使っていたんですよね。でも、翌年は真鍮のたわしを使うようになり、さらに翌年は高圧洗浄器を使っていて! 伝統の製法を守りつつも、よいものは取り入れて、より美味しいふな寿司を作りたいという師匠の姿勢に感銘を受けました。

師匠直伝のふな寿司は、琵琶湖で獲れたふなを丁寧に洗って、半年以上かけて熟成発酵させて作ります。“ふな寿司は臭い”というイメージがありますが、このふな寿司は上質なチーズのような芳醇な味が楽しめるんですよ。不定期ですが、「発酵居酒屋5(ゴ)」でも出しているので、ぜひ食べにいらしてください。

それに、ふな寿司は体にもいいんです。滋賀の方は「秀吉が天下を取れたのはふな寿司のおかげ」とよく言われます。栄養価が高いというのはもちろんですが、昔は“薬食い”として重宝されていたそうなんです。お腹を壊した時は、ふな寿司についた米麹をお湯に溶いて飲むとよいといわれています。あとは、バイ菌が入らないよう傷口に塗るといいなんて話もありますね。

2月27日には、 「ふなの日」とかけて、滋賀県の彦根市でふな寿司イベントも開催します。食と音楽のイベント「ギブミー・ベジタブル」とのコラボ企画です。「ギブミー・ベジタブル」では、参加者の入場料が野菜で、プロの料理人達がそれを調理し振る舞い、それが出演アーティストや料理人への出演料になるのですが、今回の開催では自分で作った“おらがふな寿司”も持ち寄ろうと。昨年も行い、大盛況でした。

発酵愛ゆえに、『発酵盆唄』で盆踊り!?

――「イマジン盆踊り部」という活動もされていると伺いました。どんな活動をされているのでしょうか。

鈴木さん:“盆踊りで平和の輪を描きたい”というコンセプトで、地元・鎌倉の仲間たちと「イマジン盆踊り部」を結成して、鎌倉を中心に各地で踊ってきました。韓国の済州島でも、国の壁を超えて輪になって踊ったんですよ。

CDも作っちゃいました! 『炭坑節』や『東京音頭』などお馴染みの盆踊りソングはもちろん、300年以上の歴史を持つ酒蔵、寺田本家伝統芸能部とコラボした『寺田本家 酛摺り(もとすり)唄』や、盆踊り部オリジナルの『発酵盆唄』なんかも収録しています。

『炭坑節』や『東京音頭』などお馴染みの盆踊りソングはもちろん、300年以上の歴史を持つ酒蔵、寺田本家伝統芸能部とコラボした『寺田本家 酛摺り(もとすり)唄』や、盆踊り部オリジナルの『発酵盆唄』なんかも収録

“酛摺り唄”というのは、酒蔵で米と麹を櫂で丹念にすりおろす“酛摺り”の時に唄うもの。唄いながらリズムに合わせて酛摺りを行うことで蔵人の息が合いムラがなくなるそうです。

『発酵盆唄』は、寺田本家と鎌倉の発酵仲間たちから集めた“発酵ワード”をもとに、民謡歌手であり盆踊り部の唄い手である山口愛さんが作詞・作曲を手掛けました。「発酵、発酵ぐーるぐる♪」という唄に合わせて踊っていると、体の中からふつふつと発酵していきます(と語りながら、曲をかけて踊ってくれました!)。

イマジン盆踊り部の発酵音頭

3月12日に、寺田本家のある千葉県神崎町で行われる「酒蔵まつり」で寺田本家裏の特設ステージでトリを務めさせていただきます。みなさんもぜひ一緒に踊って、発酵しませんか?

“発酵わくわく大使”をもっと増やしたい!

――最後に、読者のみなさんにメッセージをお願いします!
鈴木さん:“麹を愛して欲しい! これにつきますね。みんなが麹を作れるようになればいいなと思っていて、麹作りのワークショップなんかもやっているんです。

麹屋がどんどんなくなってきているわけですけど、小さな麹屋が増えていくとステキだなって思って。“発酵わくわく大使”を増やしていくのが私の使命だと思っています!

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