国産ワインと日本ワイン、「メイド・“イン”・ジャパン」と「メイド・“バイ”・ジャパン」の見分け方

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2月21日(火)、サンルートプラザ新宿のイタリアンレストラン「ヴィラッツァ」にて、ワインメーカーズディナー「勝沼醸造甲州ワインとイタリア料理のマリアージュ」が行われました。

2月21日(火)、サンルートプラザ新宿のイタリアンレストラン「ヴィラッツァ」にて、ワインメーカーズディナー「勝沼醸造甲州ワインとイタリア料理のマリアージュ」が行われました。

ワインの生産者を招いて、解説を聞きながらイタリア料理とワインのマリアージュを楽しむという新宿サンルートプラザの人気企画「ワインメーカーズディナー」。第2回目となる今回は、勝沼醸造の営業課長・有賀淳さんを招いての開催となりました。
当日の様子をレポートしつつ、甲州ワインの魅力をお届けしたいと思います。

国産ワインといっても、必ずしも日本のブドウを使っているわけではない!?

最近、注目を集めている国産ワイン。ヴィラッツァの松本行弘料理長も「10年前ほど前と比べて、日本ワインのレベルが格段に上がっていると感じています。ブドウ作りから醸造までこだわったメーカーさんが増えていて、中でも勝沼醸造さんは本当に真摯にワイン造りに取り組んでいらっしゃるんですよ」と話していました。

この日、いただいたワインは、なんと6種類すべて白ワインでした! でも、なぜ白ワインなのでしょう?

「私たちは、白ブドウ品種である甲州種に特化したワイン造りをしているんです」と有賀さん。勝沼醸造では、“メイド・イン・ジャパン”の国産ワインにこだわっているそう。

“国産ワイン”と“日本ワイン”の見分け方

でも、国産ワインなのだから、“メイド・イン・ジャパン”なのは当たり前なのでは!?

「実は、日本の原料をすべて使っている“メイド・イン・ジャパン”のワインも、海外から原料を輸入して作っている“メイド・バイ・ジャパン”のワインも、ひとくくりに“国産ワイン”と呼ばれてしまうんです。
あえて“メイド・バイ・ジャパン”という英語にない表現を使うのは、国産のブドウなどを使った“国産ワイン”と、海外のブドウなどを使った“日本で作られたワイン”の違いをわかりやすく説明させていただくためなんです」(有賀さん)。

では、“メイド・イン・ジャパン”と“メイド・バイ・ジャパン”はどのように見分ければいいのでしょうか?

「2013年からは、基準をクリアした山梨県産ワインにGI表示(地理的表示)ができるようになりました。山梨県産のブドウを100%使用していることが条件にあるため、このマークが付いていれば確実に“メイド・イン・ジャパン”ですね」(有賀さん)。

甲州ワインには、味噌や醤油、ワサビが好相性!

「勝沼醸造さんのワインは、繊細で日本的なエレガントさが魅力です。だから、今回はイタリアンに和のテイストを取り入れてみました」と、松本料理長。

では、この日、楽しませていただいた甲州ワインとイタリア料理のマリアージュをご紹介しましょう。

アルガーノ ゴッタシデロシオ(露の滴)×菜の花のクロスティーニ

アルガーノ ゴッタシデロシオ
アルガーノ ゴッタシデロシオ

菜の花のクロスティーニ
菜の花のクロスティーニ

さっぱ りとした甘口で、ブドウ本来の味が楽しめる華やかなワイン。ほろ苦い菜の花のピューレを塗ったトースト「菜の花のクロスティーニ」とともにいただきました。春らしく華やいだ気分になります。

アルガブランカ ブリリャンテ(燦然と輝く)×軽く炙った魚介類とクスクスのサラダ仕立て トラパニ風

アルガブランカ ブリリャンテ(燦然と輝く)
アルガブランカ ブリリャンテ(燦然と輝く)

軽く炙った魚介類とクスクスのサラダ仕立て トラパニ風
軽く炙った魚介類とクスクスのサラダ仕立て トラパニ風

シャンパンと同じ瓶内二次発酵のスパークリングワイン。甲州ブドウの優しい味わいと
弾けるような爽やかさが魅力です。料理は、クスクスと魚介の出汁とトマトソースで合わせて、軽く炙った魚介類を添えた一皿でした。

アルガブランカ クラレーザ  ディスティンタメンテ(明澄)×フォアグラのカペレッティ 鴨のコンソメに浮かべて

アルガブランカ クラレーザ  ディスティンタメンテ(明澄)
アルガブランカ クラレーザ  ディスティンタメンテ(明澄)

フォアグラのカペレッティ 鴨のコンソメに浮かべて
フォアグラのカペレッティ 鴨のコンソメに浮かべて

ワインと澱をゆっくり接触させるシュール・リー醸造法を用いているそう。その名の通り、すっきりクリアな味わいの辛口ワインです。「味噌や醤油、ワサビにも良く合うんですよ」と有賀さん。この日の「フォアグラのカペレッティ」は、味噌漬けにしたフォアグラがパスタに包まれていました。

アルガブランカ イセハラ(イセハラ圃場)×桜海老とフキノトウのサルサポモドーロ よもぎを練り込んだタリオリーニ

アルガブランカ イセハラ(イセハラ圃場)
アルガブランカ イセハラ(イセハラ圃場)

桜海老とフキノトウのサルサポモドーロ よもぎを練り込んだタリオリーニ
桜海老とフキノトウのサルサポモドーロ よもぎを練り込んだタリオリーニ

笛吹市伊勢原地区の単一畑で収穫した甲州種のみで醸造したワイン。「甲州種はテロワールの違いが出やすいんです。だから、あえて作り込まず、自然そのものの味わいを生かしました。イセハラならではのトロピカルなニュアンスを楽しんでください」(有賀さん)。

よもぎを練り込んだ生パスタに、桜海老とフキノトウのソースを絡めた一皿とともにいただきました。エビの甘味とフキノトウの苦み、ヨモギの香りが春を運んでくれます。

清々しいヨモギやフキノトウの風味と、トロピカルなイセハラ。個性を引き立てあう、素敵な組み合わせでした。

アルガブランカ ピッパ(樽醸造)×岩手県産ホロホロ鶏モモ肉のソットリーオ 実山椒のサルサヴェルデ

アルガブランカ ピッパ(樽醸造)
アルガブランカ ピッパ(樽醸造)

岩手県産ホロホロ鶏モモ肉のソットリーオ 実山椒のサルサヴェルデ
岩手県産ホロホロ鶏モモ肉のソットリーオ 実山椒のサルサヴェルデ

肉料理も、もちろん白ワインとともに。フレンチオーク樽内で熟成させた「アルガブランカ ピッパ」は、味わいが濃く肉料理にも負けません。

「ワイナリーに併設したレストランの看板メニュー“ローストビーフ”は醤油とワサビで提供しているのですが、それとピッパを合せてお召し上がりいただいています。ワサビと相性が良いんです。今回も、シェフにお願いして、実山椒のソースを添えていただきました」(有賀さん)。

アルガブランカドース(甘口)×デコポンのセミフレッド

アルガブランカドース(甘口)
アルガブランカドース(甘口)

デコポンのセミフレッド
デコポンのセミフレッド

果汁を冷凍して氷を除去して濃縮させる「凍果汁仕込み製法」を用いた極甘口のワイン。ハチミツのようなナチュラルな甘さとしっかりとした酸味が魅力。

柑橘系の優しい酸味と相性が良いということで、この日のデザートは「デコポンのセミフレッド」。

「デコポンの花からとったハチミツを使ったデザートと合せました。ソースもデコポンの果肉で作っています」(松本料理長)。

樽醸造の「アルガブランカ ピッパ」は、有賀さんの父である三代目社長が「世界に通用するモンラッシュのようなワインを作りたい」という思いから作り始めたワインなのだそう。いつ、モンラッシュと肩を並べてもいいように、ブルゴーニュボトルに瓶詰しているそうです。

作り始めた頃は、誰からも見向きもされないどころか、非難されることさえあったといいます。
しかしついに、2003年に『第9回ヴィナリーインターナショナル2003』で「甲州特醸樽発酵1999」が、翌年には『第10回ヴィナリーインターナショナル2004』で「勝沼甲州樽発酵2002」が銀賞を受賞されます。甲州ワインで初の快挙でした。
また、2004年の受賞をきっかけに、受賞ワインの名称を現在の「アルガブランカ ピッパ」に変更されました。

今、勝沼醸造は、有賀さんが営業を、お兄さんが醸造を、弟さんがブドウ栽培を担っているそうです。有賀さんは、「私たち四代目は、ピッパはもっと良くなると思っています。まだまだこれからです」と言います。三兄弟がつくるピッパの行く末が楽しみです。

「ぜひ、ワイナリーに、私の兄弟に会いに来てください。そして、1本のワインに込めた私たちの想いを分かち合っていただけたらと思います」と、有賀さんは笑顔でお見送りしてくれました。

ワイナリーツアー(要予約)も行っています。栽培や醸造に携わるスタッフや、時には社長や有賀さんご兄弟が案内してくれるそうです。

サンルートプラザ新宿「ヴィラッツァ」

〒151-0053
東京都渋谷区代々木2-3-1
営業時間:10:00-22:00
TEL:03-5352-6318
公式サイト:http://villazza.jp/shinjuku

勝沼醸造

〒409-1313
山梨県甲州市勝沼町下岩崎371
TEL:0553-44-0069
公式サイト:http://www.katsunuma-winery.com/

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