くらし

2017年03月28日

在来大豆&寒仕込みで「手前味噌」づくりにトライ!

“寒仕込み”と呼ばれる、寒い時期の味噌づくり。実はとてもシンプルな材料と作り方で、とてもおいしい「手前味噌」が作れます。
はじめてお味噌づくりにチャレンジする場合、ご家族やお友達と一緒に挑戦してみるほか、ワークショップ形式のイベントに参加するのも良いでしょう。以前「ぬか床クリニック」でご紹介した農家、おだやか家では今年も「味噌作りの会」が開催されると聞き、編集部がお邪魔しました。

在来大豆を使った味噌がおいしい理由

この日の参加者は全部で7名。味噌作りの経験や、味噌に対する興味関心もそれぞれでしたが、開始早々、女将であるはるさんの話に引き込まれている様子がうかがえます。 それもそのはず。 実はおだやか家は、「津久井在来大豆」という相模原市の津久井地方に昔から伝わる在来大豆の農家なのです。

この日の参加者は全部で7名。味噌作りの経験や、味噌に対する興味関心もそれぞれでしたが、開始早々、女将であるはるさんの話に引き込まれている様子がうかがえます。
それもそのはず。
実はおだやか家は、「津久井在来大豆」という相模原市の津久井地方に昔から伝わる在来大豆の農家なのです。

在来大豆とは

在来大豆とは、各地方の風土に合う形で発育してきた大豆で、原種から種を繋ぎ続けている大豆で、別名「地大豆(じだいず)」と呼ばれています。

大豆は古くから日本食に用いられている一方で、品種改良が進み、現在ではその多くを輸入に頼っています。対して「在来種」は近年全国的に注目され始め、各地で消えかけていた伝統の品種が復活し始めているのだとか。

在来大豆の特徴は、まずそのおいしさ。大豆本来の味がしっかりと感じられ、そのままはもちろん、味噌や豆腐といった加工品に用いられても深い味わいが続くと言われています。また、長年繋いできた種は各地方の気候風土に適しているため、無農薬・無肥料栽培も可能。「おいしい」上に「健康的」で、さらに「地球環境」にも優しいというのが在来大豆の魅力といえます。

「利き味噌」で日本全国の味噌の特徴を知る

座学の後は、参加者の皆さんにとって初めての体験となる「利き味噌」の時間。 女将が用意してくれた14種類もの味噌をそのまま味わい、それぞれの違いを感じていきます。

最初の座学では、「豆味噌」「麦味噌」「米味噌」といった味噌の種類のほか、各地方による特徴などを習います。さらに色や甘さの違いが何によって生まれているかなど。
後に待つ味噌仕込みにも繋がる内容と、経験から裏付けされた女将のお話はどれも興味深いことばかり。
手作りの楽しさ、毎日の食事に活かすアイディアや暮らしの知恵など、みんなたくさんメモを取っていました。

続いては、参加者の皆さんにとって初めての体験となる「利き味噌」の時間。 女将が用意してくれた14種類もの味噌をそのまま味わい、それぞれの違いを感じていきます。

少しずつ自分の手元に取って味わう皆さん。
少しずつ自分の手元に取って味わう皆さん。

感じた味覚をメモして、あとでみんなとシェアします。
感じた味覚をメモして、あとでみんなとシェアします。

味や甘みの感じ方、硬さや香り、調理されたときのイメージなど。味噌ひとつずつをゆっくり味わいながら「自分の味覚」と向き合う参加者の皆さん。
十分に感じる時間を持ったあとで感想をシェアし合い、女将からそれぞれの味噌の特徴を聞きつつ、自分が感じた感覚を振り返ります。

味覚に意識を向けること。日常生活ではなかなかできないこの体験は、味噌に対する概念や認識を変えるものになりそうです。
味覚に意識を向けること。日常生活ではなかなかできないこの体験は、味噌に対する概念や認識を変えるものになりそうです。

味覚に意識を向けること。日常生活ではなかなかできないこの体験は、味噌に対する概念や認識を変えるものになりそうです。

味噌仕込み、在来大豆をつぶす、切る、まぜる。

味噌仕込み、在来大豆をつぶす、切る、まぜる。

大豆を茹でるためには少し時間がかかるため、女将が前もって準備してくれた大豆が運ばれてきました。もちろんおだやか家で作られた自然栽培の津久井在来大豆です。
「味見してみて」と言う女将の言葉で、少しずつ大豆をいただく皆さん。

「わーっ!おいしい!」
という歓声が上がり、みんな一気にテンション高まりました!
さぁ、いよいよ仕込みです。

まずはこの大豆を丁寧に潰すことから。

ゆでた大豆を各自のボールに移します。
ゆでた大豆を各自のボールに移します。

ボールに入った大豆をマッシャーやすり鉢でつぶします。
ボールに入った大豆をマッシャーやすり鉢でつぶします。

大豆をこの状態までペースト状にします。
大豆をこの状態までペースト状にします。

ペースト状になった大豆をひとつの大きなボールに集めます。
ペースト状になった大豆をひとつの大きなボールに集めます。

おしゃべりを楽しみながらも、手は着実に進み、どんどんペースト化した大豆ができあがっていきます。

続いて、麹と塩を合わせる「塩切り」の工程へ。

続いて、大きめの入れ物を使って、麹と塩を合わせる工程へ。 これは、あらかじめ麹と塩を均等に混ぜておく「塩切り」と呼ばれる大切なプロセスなのだそう。

続いて、大きめの入れ物を使って、麹と塩を合わせる工程へ。
これは、あらかじめ麹と塩を均等に混ぜておく「塩切り」と呼ばれる大切なプロセスなのだそう。

麹と塩をムラのないように混ぜ合わせます。
麹と塩をムラのないように混ぜ合わせます。

参加者全員で「塩切り」を行います。
参加者全員で「塩切り」を行います。

そしてそこに、さきほど潰した大豆が加えられ、混ぜていきます。

塩切りした麹の中につぶした大豆を加えます。
塩切りした麹の中につぶした大豆を加えます。

つぶした大豆に麹がまんべんなく行き渡るように、丁寧に混ぜます。
つぶした大豆に麹がまんべんなく行き渡るように、丁寧に混ぜます。

十分に混ぜたら、味噌玉を作っていきます。

塩切した麹とつぶした大豆を双方が均等に行き渡るように混ぜ合わせたら、それを丸めて味噌玉を作ります。
塩切した麹とつぶした大豆をムラのないよう混ぜ合わせたら、それを丸めて味噌玉を作ります。

味噌玉を投げ入れて樽詰めします。

そして最後は樽詰めです。
丸めた味噌玉を文字どおり”投げ入れる”ことで、空気を抜きながら樽に詰めていきます。その理由は、空気が入ると気泡が中に残り、そこにカビが入りやすくなるため、それを防ぐために投げ入れるのだそう。
こういった、伝統の中の細かな知恵を見聞きすると、先人たちがいかに研究熱心だったかと思わされますね。

樽の中に味噌玉を投げ入れて行きます。
樽の中に味噌玉を投げ入れて行きます。

投げ入れることで樽の中に空気が入ることでできるカビを防ぎます。
投げ入れることで、樽の中に空気が入ることでできるカビを防ぎます。

平らにした表面に昨年の味噌を使って「味噌蓋」をします。

仕上げは表面を丁寧に平らにし、その上に昨年の味噌を使って蓋をします。今まで様々な味噌樽の蓋の仕方を試した女将が、近年選んだ「味噌蓋」というこの方法。カビがつかずに良い熟成が進むそうです。

表面を丁寧に平らにすることで空気の侵入とカビを防ぎます。
表面を丁寧に平らにすることで空気の侵入とカビを防ぎます。

秘技?おだやか家の味噌蓋。こうして自身の学びを惜しげなく共有してくれる女将の味噌作りの会は、今年もすぐ満員でした。

この日仕込んだお味噌は15kg。別の日に開催される全8回の味噌作りと合わせて、今年おだやか家ではなんと約120kgものの味噌を仕込むそう。
完成は12月。大きな樽の中で約10ヶ月、ゆっくりゆっくりと、しかし確実にちゃんと、菌による発酵が進み熟成された味噌が作られていきます。

樽開けは「むすびの会」と呼ばれ、参加者たちが再会して味噌を分け、一層ご縁がむすばれる日。なんとも待ち遠しい気持ちを胸に、閉じられた樽に挨拶をして仕込みが完了しました。

大豆の煮汁で作った野菜たっぷり水炊き鍋

大豆のゆで汁で作った野菜たっぷりお鍋

お昼にいただいた、大豆の煮汁で作った水炊き鍋。
各自お椀に少しずつ味噌を溶き入れながらいただくという、おだやか家の逸品です。

伝えたいのは伝統的な「手前味噌の文化」

「常在菌」は、健やかに暮らす各々の体に存在する微生物のこと。一人ひとり異なる手から、常在菌たちが味噌に移り、その熟成に個性が出る。
つまり同じ材料で作っても、作り手によって、そしてもちろん熟成期間の環境によって、味噌の仕上がりに違いが出るのです。

各ご家庭で味噌を仕込むと、そのご家族にぴったりの味噌ができると言われており、それこそまさに「手前味噌」です。

朝の集合時とは全くちがう、明るい表情で笑いあっている皆さんを見て、味噌が人と人を繋ぐんだと感じました。改めて、手前味噌の大切さを目の当たりにした思いです。
つい数十年前まで日本の各地でふつうに行われていたこの素晴らしい食文化、これからもずっと繋いでいきたいですね。

関連リンク

おだやか家:http://odayakaya.com/

やなぎさわ まどか

やなぎさわ まどか

フリーライター/ 通訳翻訳コーディネーター/ 農家見習い 10代後半から20代前半の海外生活後、英会話学校のマネージメントやコンサルティング企業に勤務。2011年3月の震災を機に、兼ねてから興味のあった農的な暮らしへの移行を求めて退職。現在はフリーランスにてライターやマネージメントの活動をしつつ、自然との繋がりを深める暮らしの実践中。心はいつでも旅人のままであり、自由と安定のバランスを模索する日々。 Instagram

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