味噌

2017年10月23日

創業100年超「マルカワみそ」は社会を優しくする発酵企業

福井県越前市。創業100年を超える老舗のお味噌屋さん「マルカワみそ」は、“味噌屋らしからぬ味噌屋”として全国にたくさんのファンがいる“愛され企業”。『人に良い食べ物を提供する』ことを社是としたマルカワみそに迫ります。

創業100年超「マルカワみそ」は社会を優しくする発酵企業

情熱で実現した、マルカワみその無農薬の味噌づくり

創業1914年、大正3年から味噌を作るマルカワみそ。
時代の流れと共に、原材料である大豆や麹をつくるためのお米には農薬を用いる慣行栽培が世の主流となりました。
しかし現社長でいらっしゃる4代目、河崎宏(かわさき ひろし)さんは、早い段階から無農薬の味噌を作る!という強い決意を胸に自社入社され、以降夢の実現に向けて駆け巡ります。
当時なかなか無農薬の作物が入手できず、原材料のお米と大豆を栽培するところから始められました。宏さんの情熱は尽きることなく、だんだんと増えた県内外の無農薬栽培農家とご縁がうまれ、1995年にはJASのOCIA認定を所得。無農薬のお味噌づくりが実現しました。
しかし最初の頃は、無農薬へのこだわりや、他の味噌より高い値段の理由が思うように伝わらず、無農薬味噌の売れ行きはそこそこに。今ではたくさんの方が求める同社の味噌ですが、世間の認知よりだいぶ進んだデビューだったのですね。

マルカワみそ外観

紆余曲折を経ながらも、次世代のため・人様の身体のためになる有機食品を届けたい、と必死に努めてこられてきたマルカワみそ。その思いは今も変わることなく、むしろ、ゆるやかに勢いを増しながら、味噌を通した伝統的な食文化を発信し続けています。

土からして違う!日本で唯一の天然麹菌による、マルカワみその味噌づくり

マルカワ味噌の天然麹菌による味噌づくり

原材料にこだわるマルカワみそでは、麹を作るお米も、主原料の大豆も、土にこだわり無農薬で栽培されたものを使用。また、福井という自然豊かな土地で育まれるのは作物ばかりではく、お味噌を仕込む時の水も、自然ろ過された天然の地下水を利用されています。(水質検査済み)
さらに大切な麹も「蔵付きの菌」からつくる自家製の麹。明治以降の発展により技術が進み、様々なことが分業化され、蔵元であっても麹は購入することが一般的となった現在では、こうした昔ながらの自家採種をする味噌屋さんはマルカワみそが唯一の存在のよう。
さらにお味噌の熟成は、歴史ある木桶のなかでの「天然醸造」。つまり、人の手によって加温したりせず、菌たちの熟成を優先させた、じっくり時間をかける製法を選択。これらのこだわりによって、あの味わい深い風味が生まれていくんですね。

他の味噌屋とひとあじ違う!マルカワみそ独自のマーケティングがファンを獲得

マルカワみその紘一郎さん

同社専務の紘一郎さんは、優しい笑顔と柔らかな語り口調でマルカワみその魅力を拡大されています。その一つは全国各地で開催される「味噌作り教室」。紘一郎さん自ら全国を駆け巡り、お味噌の作り方を伝授される毎回人気のワークショップです。
しかし「ただ単に味噌の作り方を伝えたいわけではないんです」という紘一郎さん。実は味噌作りを通して一番伝えたいことは、お味噌作りの「楽しさ」にある、と教えてくれました。

ひとことでお味噌を作るといっても、そこには様々な学びや、ひとの心を豊かに育む側面がたくさんあるということ。
たとえば、材料は誰がどんな思いで育てて、どこから来たのか、仕込む時の割合をどう考えるのか、仕込んでから熟成までにかかる時間のことなど。味噌ひとつにも思いを巡らせるポイントがたくさんある。味噌を作るということは、人生を考えることなのかもしれません。

マルカワみその社是がステキ。もの作りの考え方

マルカワみそのホームページに掲げられた、ひとつの概念。

マルカワみそのホームページに掲げられた、ひとつの概念。

この図は、土が育ててくれた作物を体内に取り入れて、心身の健康を保つことこそが、充実した人生をつくるということを教えてくれます。だからこそ、経済活動だけを優先するのではなく、人々の体と環境に配慮した味噌作りをされているマルカワみそ。これまでうかがった同社のこだわりの一つ一つがここに集約されていて、社会と真剣に向き合う大きな愛情を感じさせてくれました。

『一杯の味噌汁が社会を変える』に込められたマルカワみその愛

『一杯の味噌汁が社会を変える』に込められたマルカワみその愛

マルカワみそのホームページ上でも、発酵食品のレシピをたくさん紹介している紘一郎さん。わかりやすい解説の動画は、だれでも手軽に発酵食の料理ができると伝えてくれており、実際に「発酵食にハマったきっかけはマルカワみその動画」という人も多い、人気のコンテンツ。
では、マルカワみそのワークショップや動画を通して、発酵の力や食文化の奥深さを感じた人が増えると、社会にはどんな影響があるのでしょうか?その答えに、紘一郎さんは同社の優しさと思いを教えてくれました。

優しい人が増えると思います。弊社代表はよく『一杯の味噌汁が社会を変える』と言いますがそこに込めた思いと同じで、“満たされてない人を満たす”、それが味噌汁の持つ力です。
毎日のニュースでも政治、戦争、いじめ、環境問題といった悲しいことが溢れている現代。悲しいニュースを見聞きするたびに、あぁ満たされていないんだなぁ、と感じます。
お味噌は体を温めてくれますが、同時に心も温めてくれるもの。味噌汁を飲んだ時のホッとする気持ちや安心感は、隣の人に優しくなれる魔法です。優しくされた人が、優しい家庭を作り、優しい家庭が増えていくことが、社会を変えると信じています。

現在、同社の味噌は海外からのオーダーも増え、世界中から求められています。
20年前に売れなかったという味噌に、やっと社会が追いついたのかもしれません。これからもずっとずっと、優しい味を食卓に届けてほしいです。

マルカワみそ

http://marukawamiso.com/

やなぎさわ まどか

やなぎさわ まどか

フリーライター/ 通訳翻訳コーディネーター/ 農家見習い 10代後半から20代前半の海外生活後、英会話学校のマネージメントやコンサルティング企業に勤務。2011年3月の震災を機に、兼ねてから興味のあった農的な暮らしへの移行を求めて退職。現在はフリーランスにてライターやマネージメントの活動をしつつ、自然との繋がりを深める暮らしの実践中。心はいつでも旅人のままであり、自由と安定のバランスを模索する日々。 Instagram

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