ヤマロク醤油の山本康夫さんとともに「木桶職人復活プロジェクト」を立ち上げた、三宅工務店代表の三宅真一(みやけ しんいち)さんにお話をうかがいました。
三宅工務店代表 三宅真一さん
「木桶造るけど、やる?(山本さん)」、「え、ほんまに?(三宅さん)」。木桶職人復活プロジェクトはここから始まった
小豆島で三宅工務店の代表として大工をやっています。
ヤマロク醤油の五代目、山本康夫さんの妹さんと自分が同級生で、山本さんのことは昔からよく知っていました。山本さんから、「木桶造るけど、やる?」と声がかかったときは、最初は「え? 何を言いよん? ほんまにやるん?」と戸惑いましたけれど(笑)。まずは山本さんと、山本さんの同級生の坂口さんと自分の3人で、大阪府堺市の木桶屋さんに修行に行きました。
大工として家を建てるときは水平垂直が基本、でも木桶は曲線の組み合わせ。それが新鮮だった
普段から大工をしているので、家を建てるときは垂直水平が基本中の基本。でも、木桶は直線ではなく曲線の組み合わせです。家を建てるのと同様に木を扱うものの、木桶造りは大工としてはありえないことをするんです。自分としては初めてのことだったので、新鮮でしたね。でも実は、そのときもまだ「ほんまにするんかな…?」なんて思っていたんですけどね(笑)。
木桶造りに正解はない。そこが難しくもあり、面白いところ
木桶造りを習ってからは、自分たちで何個も造って試行錯誤しました。造る木桶の精度は上がってきていると思うのですが、木桶造りには正解がありません。木桶の寿命は100~150年、その間には必ず修繕が必要になってきます。こう造れば絶対に大丈夫、という造り方はないので、そこが難しくもあり、面白いところだと思います。
普段は違う仕事をしている者同士が集まって、みんなで木桶を造ることが、楽しみであり喜び
木桶職人復活プロジェクトに参加している「きしな屋」の岸菜賢一(左)さんと三宅さん(右)
このプロジェクトに参加している方の中には、初めて木桶を造る、という方もいらっしゃいます。でもみなさんとても熱心なので、すぐに上手になりますよ。
普段は違う仕事をしている人たちが、プロジェクトの期間中にここに集まって、やったことのない木桶造りをする。それが楽しいんだと思います。自分も、みなさんに木桶造りを教えるのがとても楽しいですし、頼ってくれるのはうれしいですね。
毎年、年末年始の木桶職人復活プロジェクトの時期は、自分の仕事は少しゆるめて、木桶造りに集中します。2012年から木桶を造っていますが、今でもワクワクしながら作業現場に出かけています。
三宅工務店
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