経験豊富なシェフであると同時に、ホリスティック・ヘルス・コーチとして様々な「食と健康」を追求している浅沼秀二さん。通称Jayさんとして、世界の大都市ニューヨークから日本の発酵食を紹介し続けています。
今回は、haccolaでも「ニューヨーク発!ホリスティックシェフJayさんの発酵レシピ」を連載中のJayさんにお話を伺いました。
Jayさんに会ったことがある人なら誰もが、彼が身にまとう柔らかなオーラを否定できません。この優しい人が、あの生き馬の目を抜くようなニューヨークで、日本の伝統食を紹介し続けているなんて。
一体どんな理想や目的を抱いているのか尋ねてみました。
Jayさんに聞く「ホリスティック」とは?
ホリスティック・ヘルス・コーチとはずばり、ホリスティックな健康法をコーチングすること。でも一体「ホリスティックヘルス」とは何を意味するのでしょうか?
「簡単に言うと、様々な健康法の “いいとこ取り”です。」
なるほど。
確かに holisticという英単語を調べてみると、辞書には『全体的』『全体論的』と書かれています。
「“Bio-individuality (人は個々ですべて違う)”。これは、ホリスティックヘルスの概念で柱となる言葉です。例えば “Aの健康法が正しくてBは間違っている” というような頭からの否定をせず、様々な健康法を俯瞰(ふかん)します。例え正反対のセオリーを持つ健康法であっても知識として自分の引き出しに入れておき、体調に応じて使い分ける。広い視線で健康を捉えるメソッドですね。」
世に溢れる様々な健康方法を総合的に見ることで、「全体が調和」している状態を作り出す。そして個人個人の状態に最適な食事や健康法を提案するそうです。
確かに近年では、数年に一度のサイクルで新しい食事方法や健康法が流行るという「ヘルストレンド」の波がくるもの。それまで良いとされてきたことから、新しく良いといわれるものへ乗り換える。それを繰り返すだけで健康になれるとは限りません。また、個人の体質によって、相性の良い健康法だってあるはずです。
しかしニューヨークで三ツ星が付くような日本食、やフレンチレストランにいたJayさんが、食と健康を伝えるようになったのは何故なのでしょうか。
本当に大切なのは美味しさと、「お客様の健康」だった。
「ニューヨークの様々なレストランでの経験はとても興味深いものがありましたが、ある頃から本当に自分の目指している料理とは少し違うんじゃないかと感じ始めました。
お客さまのことを考えれば、美味しいことも大切ですが、それよりもまず『健康的な食べ物』というのが前提になるということです。
そこで数年間悩み抜いた後にレストランの仕事から離れ、伝統的な日本の発酵食品の研究を始めました。それと同時に、ホリスティックヘルスの勉強をし、ヘルスコーチとしての資格を取りました。」
本当にお客様のことを思った時に見えてきたものが「健康になる食事」だったというJayさん。世界の中心とも言えるニューヨークで真理に辿り着いた料理家は、「食と健康」の伝道師として歩み始めます。
「今では健康セミナーや料理教室、執筆や講演会をしています。また、今も発酵食品の研究をしているので、オーガニックで高品質な納豆、甘酒、麹食品などを作って提供しています。」
なんと、ニューヨークにいても冷凍輸送ではない本物の納豆が食べられるとは!
それにしても寿司やラーメンばかりが一人歩きしている海外での日本食。ニューヨーカーたちに「日本の発酵食」はどのように映っているのでしょうか。
次回、続けてJayさんに聞いてみることにしましょう。