「甘酒」には、酒粕で作る甘酒と、麹とお水で作る甘麹の2種類がありますが、近年「飲む点滴」と呼ばれるほどにその栄養素が注目されているのは後者。なぜそれほどまでに栄養素が高いのか。そして、現代における甘酒の活用にはどんな可能性があるのでしょうか。
甘酒の作り方は様々。基本をマスターして自分なりの活用を。
米麹とお水を適温に保てば出来てしまう甘酒。
炊飯器や保温性の高いポット、もしくはヨーグルトメーカーなどを使って甘酒を作る方法も人気ですね。
今回は炊飯器での作り方をご紹介します。
甘酒の作り方
材料
・米麹(市販の乾燥タイプのものでOK)
・水(使う米麹の2~4倍程度)
作り方
1: 炊飯釜に米麹を手でほぐしながら入れる
2: 1に水を入れる
3: 炊飯釜にザルや濡れ布巾をかぶせる
4: 炊飯器のフタは開けたままにして、「保温」スイッチを入れる
「炊飯」スイッチを押さないように気を付けましょう
5: 3~4時間そののままにしておく
ときどき混ぜるとさらに◎です
6: 味見をしておいしくなっていたら出来上がり
できた甘酒は、そのまま飲むもよし、ミキサーでなめらかにするもよし、甘味としてお菓子づくりやお料理に使うのもオススメです。
もちろん市販の甘酒を買って飲むも良しですが、できればご自宅で作ってみると良いでしょう。なぜなら出来たての甘酒は、もう何にも例えられないほどに美味しいですから!
滋養こそ、発酵のなせる技。
旨みが引き出されたり、栄養成分を高めたりという、人間に有効的な働きをする発酵。
中でも、米を蒸して麹菌を繁殖させた「米麹」は、甘酒だけに限らず、醤油、味噌、みりん、酢、日本酒など、日本の食文化には欠かせない大切な存在です。
江戸の庶民による知恵は、現代人をも救う奇跡。
今のようにスイッチ一つで室温を快適にする空調がなかった江戸時代。夏の厳しさはわたしたちの想像が及ばないほどだったと聞きます。
夏の間に体力が落ちる人が多く、老人や病弱者の多くはひと夏を越えることも容易ではなかったとか。かといって栄養価の高い魚や肉を日常的に食べていたわけでもありませんし、庶民は必死で様々な工夫をしなければなりませんでした。
その結果生まれたのが甘酒であり、江戸だけではなく京都や大阪の街にも出てきた「甘酒売り」は夏の風物詩になったと言われているそうです。
東京農業大学にて長年指導にあたられていた小泉武夫先生は、1996年に出版された『発酵食品礼賛』のなかでこう書かれています。
私たちが今日、病院に入院すると、大概は点滴(輸液)をされる。栄養補給のために手の血管からブドウ糖液と必須アミノ酸類、ビタミン類の溶液が送り込まれる。しかしよく考えてみると、それは甘酒そのものなのだから驚愕する。発酵を経た滋養食品の奇跡が昔の生活のこんなところにも見られるのだ。
(*小泉武夫著、文春新書『発酵食品礼賛』より)
ぜひみなさんも甘酒を楽しんでみてくださいね!