11月12日(土)から2日間にわたり行われた「発酵食品サミットinやまなし」。初日の取材レポート、後編をお届けします。
まだまだあります!山梨の美味しい発酵食品
前編では、「よっちゃばれ広場」の物産展ブースを中心にご紹介しましたが、こちらでは、山梨県庁前の「発酵レストラン」エリアから注目の発酵食品をレポートします。
しょう油麹
手作り味噌のお店『みそ工房の郷』の『しょう油麹』。米麹としょう油で作った『しょう油麹』は、しょう油と同じように使います。「いつも使っているしょう油を、『しょう油麹』に変えるだけで、手間なく麹が摂れるようになるんですよ」と店主の磯部さん。豆腐や納豆にかけると美味!
ベースとなっている味噌は、『みそ工房の郷』をお一人で切り盛りされている磯部さんの手作り。嫁ぎ先で食べた味噌の美味しさに感動し、この製法を受け継ぎ、味を残したいと思ったのがこのお店の原点だそう。
その年に収穫した新鮮な青大豆を釜で煮て、麹をたくさん入れて、煮汁を混ぜ込んで……、昔ながらの製法で作っているそうです。
茹でた青大豆も販売されていました。富士山麓で作られた青大豆で、甘味が強いのが特徴です。さっそく食べてみると、噛むほどに甘みが感じられ……、止まらない美味しさ!
発酵食品弁当
駅弁の「丸政」では、『発酵食品弁当』を販売していました。テレビなどでも話題になった大人気のお弁当ということで「ぜひ食べたい!」と意気込んでいましたが、残念ながら夕方に訪れた時は売り切れていました。でも、ぜひみなさんにご紹介したいということで、お店の方に写真をお借りしました。
柔らかくするためにヨーグルトに漬けこんで、さらに味噌漬けにして焼いた鶏、芳醇な香りの酒麹に漬けこんで焼いた鮭、甘みを増して食材の味が引き立つように麹で煮込んだカボチャなど、発酵づくしのお弁当です。ゴボウの赤ワイン煮込みや、らっきょうのワイン漬けなど山梨らしいお菜も嬉しいですね。
全国から発酵食品が一堂に!
発酵食品サミットでは、全国の発酵文化がさかんな地域からの出展もありました。その一部をご紹介したいと思います。
横手発酵文化研究所
今回で9回目を迎える『発酵食品サミット』の記念すべき第1回が行われたのが秋田県・横手市でした。横手市は昔からの米どころで、麹の文化が伝わっています。写真は、全国でも珍しいという“生麹”。漬物によく使われるそうです。
こうざき発酵の里協議会
千葉県で一番小さな町・神崎町。古くから発酵・醸造文化が盛んで、西の酒どころ灘に対して、「関東灘」と呼ばれたそうです。現在、発酵をテーマに町おこしをしていて、町内には「発酵の里こうざき」という道の駅もあるんですよ!
写真左は、乳酸菌が働く発酵甘酒『マイグルト』。酵母菌が働く前の状態なのでノンアルコールです。真ん中は、酒粕と米粉、油、塩で作った粉チーズ風の『酒粕ちいず』。チーズのようなコクがありながら、軽やかな口当たりです。右は『仁勇』という蔵元で作った『甘酒飴』。とろ~りしていて優しい甘さです。
海から山まで白山発酵街道
霊峰白山を水源とする豊かな伏流水に恵まれ、肥沃な大地が広がる石川県・白山市。こちらも伝統的に、日本酒や味噌、醤油、酢など発酵文化が盛んな地域です。
なかでも面白い発酵食品は「ふぐの卵巣の糠漬け」!
ふぐの卵巣には猛毒が含まれているのですが、伝統製法で塩漬けにして糠漬けにすると毒が消えてしまうそう。驚いたことに、そのメカニズムは科学的に証明されていないそうです……。おそるおそるいただくと、明太子をこっくり濃厚にしたような珍味。これは、日本酒が進みそうな味です。
もちろん、私は食べても生きています! 出荷の際に毒性検査をして安全を確認しているそうなので安心してください。
山梨といえばお酒!甲州ワイン&日本酒を試飲
山梨といえば甲州ワイン! サミット当日は、あちこちで県内のワイナリーの出展がありました。また、あまりイメージがなかったのですが、山梨は日本酒も充実しているんです!
まるき葡萄酒
数あるワイナリーがある中で、特に気になったのは『まるき葡萄酒』。可愛らしい羊が描かれたワンカップワインに誘われてしまいました。聞けば、こちらのぶどう畑では羊が飼われているそう!
「畑をできるだけ自然な状態で、人の手を入れずにぶどうを栽培する“不耕起草生栽培”を行っていて、サスティナビリティを大切にしています。その一環で羊を飼っているんです」とまるき葡萄酒のマーケティング担当・内田さん。羊は日々、雑草を食べて地表を掘り起し、良質な肥料(=糞)を作ってくれるんそうです。
こちらでは、「日本ワインコンクール2016」で銀賞を受賞した『ラ フィーユ 樽甲州』を買って帰りました。
フルーティーな香りで力強いアタックのフルボディ。辛口で食事との相性もよかったです。
山梨県酒造組合
山梨といえば、ワインが有名ですが、実は、美味しい日本酒もたくさんあるんです。なぜなら、良質な水源に恵まれているからだといいます。
「山梨は、富士山、南アルプス、甲斐駒ケ岳、八ヶ岳、御坂山系、秩父山系と水源が豊富なのです。だから、地域によって個性が違うお酒ができるんですよ。例えば、八ヶ岳の硬水と、河口湖の軟水を使ったお酒を飲み比べると口当たりがまったく違うんです」と、県内15蔵が加盟する山梨県酒造組合の事務局長・小宮山さん。
こう言って、全蔵のお酒を試飲させてくださいました。味比べを楽しみながら美味しくいただきましたが、10蔵を過ぎたあたりからほろ酔いに……。
前編・後編にわたってお送りしてきた『発酵食品サミット』の取材レポート、いかがでしたか?
来年は、記念すべき10回目! 東京・日本橋で開催が決まりました。まだ見ぬ発酵文化に会いに行ってみませんか? 開催が決まったら、haccolaでもお知らせします!
>【取材レポート】「発酵食品サミットinやまなし」に行ってきました!【前編】
関連リンク、データ
発酵食品サミットinやまなし
http://hakkou-yamanashi.com
みそ工房の郷
http://misokoubou.com
横手発酵文化研究所
http://www.city.yokote.lg.jp/tokusetsu/hakkou
こうざき発酵の里協議会
http://hakkou.org
一般社団法人 白山市観光連盟
http://www.urara-hakusanbito.com
まるき葡萄酒
http://marukiwine.co.jp
山梨県酒造組合
http://www.yamanashi-sake.jp