東京・表参道にある、発酵をテーマにした居酒屋「発酵居酒屋5(ゴ)」の料理長を務める発酵料理人であり、“発酵わくわく大使”として発酵文化を伝える活動を行っている鈴木大輝さん。
「麹菌に“大”いに“使”われています(笑)」という鈴木さんによる二十四節気に沿った発酵料理のレシピをご紹介します。
春分とは?
春分の日とは、年度の始まりであり、農始(のうはじめ)の時期でもあります。
また、桜の蕾がほころび、春夏秋冬が始まり、一年の起点となるおめでたい日です。
2019年の今年は、3月21日(木)が春分の日となります。
春分の日は、昼と夜の長さがほぼ等しく、真東から日が昇り、真西に日が沈むバランスの良い日でもあり、ペルシャやマヤなど太陽の暦では元旦に定められています。
中庸を重んじる仏教では、春分の日の前後を含めた7日間のことを「彼岸」とし、今ある自分を紡ぎ上げて頂いた故人に感謝して、法事や彼岸踊りを捧げる風習があります。
浄土宗では西方に極楽浄土があるといい、この日、真西に沈む夕日に向い、今ここにいる自分、それを作ってくれた過去に感謝し、これから訪れる一年度の目標を語りかけると神様・仏様も応援してくれることでしょう。
自然をたたえ生物を慈しむ国民の祝日。
さあ活動的な上半期のはじまりです!
桜鯛と菜花の菊花あんかけ
桜の時期にとれる天然の真鯛はその色にちなんで桜鯛とよびます。
菜花は人の心を満たしてくれる花と言われています。
菜花の苦みと繊維質が冬にこわばった体をほぐし、菊の花は目の疲れをいやしてくれます。
始まりの季節、お花とともに祝福を。
春分、おめでとうございます。
桜鯛の周りを黄色くてかわいいお魚が取り囲んで踊っているような、ワクワクするお椀です
材料・分量(4人前)
・桜鯛(真鯛) 1尾(1kgほど)
・水 1000ml
・葛粉(でんぷん) 約40g
・菜花 1把
・昆布 少々
・菊花 2輪
・塩糀 適量(塩糀を切らしている方は、彼岸にお披露目する雪糀と塩とで下味をつけてみてください。)
・塩 適量
・うすくち醤油 少々(著者のおすすめは「ヒガシマル特選丸大豆うすくちしょうゆ」)
作り方
1.桜鯛の鱗をとり3枚におろし、腹骨を取り除く。
2.身は一口大に切り、塩糀をまぶし30分ほど置いて糀菌の働きを待つ。
POINT:この間に塩糀が鯛の身のたんぱく質を旨味に変化させ、消化をしやすくしてくれます。(半日程おくとより味に深みが出ます)
3.待っているあいだに、鍋に鯛のアラと昆布で出汁を取る。
頭はタテ半分に割り、良く洗ってから水から煮出す。
アラ300gに対して水1000mlを目安に、昆布と酒を30cc入れ、沸騰したら弱火で20分ほど煮出して出汁をとる。
POINT:もっと丁寧に出汁を取りたい方は、アラに軽く塩をふり20分程おき、余分な水を除き、かるく炙ると香りが立った出汁がとれます。しかし、新鮮な鯛ならこの行程がなくても十分に美味しい出汁がとれます。
4.出汁を塩と薄口醤油で味を整える。
POINT:塩で8割くらいの塩分を決めて、残りの2割を薄口醤油で整える配分です。
5.出汁に菜花を入れ、菊の花は花びらだけを花弁から引き抜いて入れる。
6.菜花に火が通ったところで、葛粉(以下、なければ片栗粉などのでんぷんで可)でとろみをつける。
7.鍋にお湯を沸かし、塩を少々入れ、塩糀で下味をつけた鯛の切り身を入れ、火が通りすぎないように気をつけて、サッとひきあげる。 ゆで終わったゆで汁も、5の出汁に入れ、とろみを調整する。
8.お椀に湯がいた鯛を盛りつけ、菜花を飾り、菊花あんをかけてできあがり。
発酵わくわく大使・鈴木さんのワンポイントアドバイス
ご家庭で作る場合は、カブや白菜などをいれて野菜のあんかけにすると簡単で滋味溢れる一皿になります。
桜鯛の風味だけを楽しみたいなら、菜花や菊花を別ゆでする方法もありますが、滋味という点ではおすすめいたしません。
余った菊の花は干して菊花茶にして保存したり、おひたしなどにして召し上がるのもおすすめです。
発酵居酒屋5
鈴木さんが料理長を務める「発酵居酒屋5(ゴ)」は、発酵をテーマに、無添加であること、手作りであること、そして、気兼ねなく毎日通えることにこだわった居酒屋です。全てに発酵食材を用いたお酒が進むお料理をラインアップ、また、創り手の思いが伝わるワイン、日本酒、マッコリ、国産レモンの酵素シロップを使った薬膳レモンサワーやオリジナルブレンドの漢方茶なども取り揃えています。
・発酵居酒屋5:http://www.cafecompany.co.jp/brands/hakko5/
・発酵居酒屋5 Facebookページ:https://www.facebook.com/hakkoizakaya5/