長野県木曽町に伝わる「すんき」という漬け物をご存知ですか?
すんきとは、
✔塩を使っていない
✔複数の乳酸菌が作り出す
漬け物です。
木曽はとても山深く、海からもとても遠い町です。そのため木曽では昔「米は貸しても塩はかせるな」と言われていたくらい塩が貴重なものでした。
しかし冬を越すためには保存食も欠かせません。そんな土地と先人の知恵が詰まったすんき作りを「はっこうのがっこう」のプログラムの中で体験してきました。
木曽のすんきのおいしい秘密
すんきは初めて食べると酸っぱくてびっくりします。私も正直最初は何これ!?と苦手でした。
でもかつおぶしとしょうゆをたらしたり、冬の木曽ですんきの入った暖かいそばを食べるうちにどんどんはまっていきました。
ではすんきのおいしい秘密は何なのでしょうか?
「コハク酸」のうま味成分
すんきの中には色々な種類の乳酸菌が存在するのですがその中の「ファーメンタム菌」が作る「コハク酸」にその秘密があるようです。
コハク酸ナトリウムは貝汁のうま味成分であり、清酒中にも含まれる有機酸の1つでもあります。
このコハク酸がうま味と酸味をうまく兼ね備えていることからすんきのおいしさを作り出しているのです。
健康にも作用するすんきの機能性
すんきを食べると、アレルギー症状が軽減されたり、胃潰瘍の予防になったり、感染症の予防になったり、快便になったり、悪玉菌が排除されたりといううれしい機能性がたくさんというのが東京農業大学と信州大学の共同研究からもわかっています。
すんきが食べられる時期は限られている
すんきは一年中あるわけではなく、11月中旬から12月上旬までに漬けたすんきが売り切れてしまったらまた翌年まで食べることができません。
その機能性などからも毎年どんどん人気になっていって売り切れるタイミングも早くなってしまっているように感じます。
すんき作りの名人から学ぶすんき作り
木曽町では毎年12月にすんきコンクールが行なわれており、町のみなさんが腕をふるって作ったすんきの中から達人や名人が決まります。今回のすんき作りはそのすんきコンクールで何度もすんき達人、名人となってきた中村美智子さんと野口広子さんが講師となってすすめられました。
1.赤かぶの葉とかぶを切り分ける
すんきは、木曽町で昔から育てられてきた在来種の赤かぶの王滝かぶ、開田かぶ、黒瀬かぶから作られます。
まず、赤かぶの葉とかぶを切り分けます。(今回はもう切り分けてくださっていました)
✔POINT:かぶの頭の部分が葉のほうに少し残っていることが重要なんだそうです。ここに乳酸菌のエサであるビタミンB12がたっぷり入っているのだとか。
今回の葉っぱはとても立派でしたが、少し、しんなりしているくらいのほうがうまくできるそうです。そのため、収穫後1日置いたものを使うことも多いそうです。
2.葉と茎をザク切りにして、洗う
汚い葉はよけながら、葉と茎を1センチくらいにザク切りにしていきます。
かぶの頭の部分は別にして刻んでちょっとしっかりめに洗います。
✔POINT:でも洗い過ぎてもいけない、この加減がちょっとした味の加減に影響していくのでしょう。
3.前年のすんきと一緒に漬け込む
まず、漬け物用の樽や今回は発泡スチロールに厚手のポリ袋を入れて、中に前年のすんきを冷凍したものか、その年に上手く漬かったすんきをタネとして入れておきます。
✔POINT:タネのすんきは全体量の2割くらいが目安なのですが、冷凍したすんきや漬けてから時間がたったすんきをタネにする時には3割くらいに増やしたり調整をするそうです。
そして、大鍋に65度くらいのお湯を用意し、ザルにいれたすんきの茎を湯通しして、そのタネの上に入れていきます。(タネと茎を交互に入れていきます)
ちなみに、65度というのは手を入れてみてずっとは入れていられないのがその温度なのだとか。
✔POINT:ちなみに70度以上になってしまうと乳酸菌が死んでしまうので、ずっとお湯を沸かしておくのではなく温度が下がってきたらまたお湯に火をかけてと繰り返して作業をすすめていきます。
4.空気に触れないように密閉する
容器いっぱいになったらギュッと紐でしばります。
そして冷めないように新聞をのせてフタをします。
新聞は保温の意味と、あふれてきたすんきの液を吸ってくれる働きもあるのだそうです。
✔POINT:すんきの乳酸菌は空気が嫌いなので空気に触れないように、しっかりとしばりましょう。
✔POINT:発酵をしてガスが出てくるのでしばった袋の口は上にむけておきます。
翌日、すんきの食べ比べ
4班に分かれて作ったすんきは、中村美智子さんのおうちで一晩寝かせていただきました。そして翌日皆で開封!
同じ調理室で同じ環境で同じ時間に作ったのにも関わらず、全然違う仕上がりに。皆でどれが一番好きか、投票しました。
A班のすんきは8名、B班のすんきは0名、C班のすんきは12名、D班のすんきは9名という結果になりました。野口広子さんの講評としてはC班のすんきが複雑さがあっておいしいけれど、まだここから日にちが変わると味が変わることもあるとのことでした。アルケッチャーノの奥田シェフからはD班のものがワイン的でおいしいという講評がありました。私はA班に参加させていただき作らせていただいたのですが、手前味噌ながらA班すんきが一番好きでした!
すんきも映える木曽の漆器「おてしょ(お手塩皿)」
すんきをいただいた食器も木曽の漆器です。
「おてしょ」とか、「お手塩皿」とか呼ばれている、とても使いやすい大きさの器でした。
木曽は漆器も有名で現在も漆器屋さんが数軒あり、ちなみに私も帰りに漆器屋さんで素敵なお箸を購入して帰りました。
自宅ですんきを楽しむには、通信販売や、タイミングによっては東京銀座の長野県のアンテナショップでも購入することができますので、気になる方はぜひ召し上がってみてくださいね。
また、すんき名人野口廣子さんの滋味溢れるすんき漬けを食べてみたい方は、下記「夢人市」までお電話もしくはFAXでご購入頂けます。
すんきは季節限定の郷土食となります、4月頃までの販売を予定していますが品切れとなる場合もございますのでご了承ください。
・すんき 200gパック:480円
・すんき 100gパック:250円
夢人市 代表 野口廣子
〒397-0002 長野県木曽郡木曽町新開8418-1
電話:0264-27-6330 FAX:0264-27-6330
すんき作りを教えてくれた方
中村美智子さん
野口廣子さん
関連記事
✓すんきメニューベスト3はコレ!長野県木曽町「はっこうのがっこう」レポート
✓明日から取り入れたい3つの発酵習慣。長野県木曽町「はっこうのがっこう」レポート