ヒトの腸壁に生息している細菌群「腸内フローラ」。生息する菌の種類やそのバランスによって、健康状態が左右されるといわれています。でも、私たち一般人が腸内フローラの状態を見ることなんてできるのでしょうか?
それが、できるんです! しかも、自宅にいながら気軽に検査できるというから驚きです。
今回は、編集部員が次世代型腸内フローラ検査サービス「マイキンソー」を体験してみました!
※「マイキンソー」については、MY腸内環境を調べて健康づくりに活かす検査キット「マイキンソー」ってなに?をチェック
ネットで申込み、届いた採便キットで便を採取して返送。約6週間後にお知らせメールを受け取り、Webサイトにログインするとそこに検査結果がアップされていました。
「マイキンソー」の検査結果は、Web上でログインして確認できます!
検査結果を受けて、「マイキンソー」を提供している株式会社サイキンソーに取材へ行って詳しく解説していただくことに。さて、腸内フローラを知ることで、どんなことがわかるのでしょうか?
教えてくれたのは、CSO(サイエンス責任者)竹田綾さんと、ヘルスケアスペシャリストの志田結さんです。
腸内細菌のタイプ
腸内細菌は血液型のようにB型、P型、R型 の3種類に分類できるといいます。「バクテロイデス属」の細菌が多い人はB型、「プレボテラ属」の細菌が多い人はP型、「ルミノコッカス属」の細菌が多い人はR型と分類されます。中には2種類の混合型の人もいるそうです。
日本人は圧倒的にB型が多い!?
「生まれながらの性質やどんなものを食べてきたによってタイプが決まります。ちなみに、日本人は圧倒的にB型が多いですね。これは、マイキンソーを始めて、研究を進めていくうちにわかった新事実なんです。これまでは、日本人はR型が多いと言われていたのですが、データを集めていくとR型は1%いるかいないかというくらい少なかったんです」(竹田さん)。
B型の人の食生活
「バクテロイデス属は、いわゆる日和見菌と言われており、腸内環境の状態によって良くも悪くも働く菌です。ただし、日和見菌が極端に少なくなると、腸内細菌のバランスが崩れていると考えられ、様々な病気にかかるリスクが上昇してしまうため、注意が必要です。
腸内環境の状態は、便の観察をするだけでも把握できます。理想的な便は、色が黄色に近く、形はバナナ状、水に少し浮き、残便感がなく、規則的な排便がある状態です。発酵食品や食物繊維、オリゴ糖などをバランスよく取り入れながら、便の観察で自分の腸内環境を把握することが大切です。」(志田さん)。
太りやすさ
マイキンソーでは太りやすさをFB比で示してくれます。FB比とは人間の腸内細菌の主要な門である「ファーミキューテス門」と「バクテロイデーテス門」の比率のことです。肥満度が高い人ほど「ファーミキューテス門」の比率が大きくなるといいます。
欧米人の肥満度は日本人の約10倍!?
「日本人の平均値は1前後で3以上の人はレアなのですが、欧米の肥満体型の人だとこのFB比が10とかまでいくといわれています。
FB比は継続的にチェックして、生活習慣などを振り返るきっかけにしていただければと思います。健康な人は数値が安定傾向にあるので、上下が激しかったりする場合は少し健康を気にした方がいいですね」(竹田さん)。
腸内細菌の多様性
「腸内細菌の多様性が高いほど、様々な外的要因や環境要因に強く、アスリートや自然に近いライフスタイルを持つ国の原住民などは多様性が高いといわれています。」
腸内細菌の種類は多い方がいい! でも少ないと…?
逆に大腸がんの方や自閉症の子どもなどは多様性が低いというデータも。ただ、自閉症の子どもの場合、食べるものに偏りが生じる傾向がありそれが関係しているという話もありますけどね」(竹田さん)。
また、いろんな菌の数的バランスがきちんととれている必要があるといいます。
善玉菌が多ければいいってもんじゃない!?
「善玉菌といえども多ければ多いほど良いというわけではありません。1つの菌が多く占めてしまえば、それだけ他の菌が少なくなります。どれか1つが多すぎてしまっても良くないんです」(竹田さん)。
腸内の菌のバランスを整えるための食生活
「腸内細菌は私たちが食べた食べ物をエサにしています。さらに、腸内細菌が作り出した短鎖肪酸は私たちの腸のエネルギー源となります。細菌によって何をエサにするかはそれぞれなので、偏った食事をすると腸内細菌のバランスも偏ってしまい、私たちの腸の働きも悪くなってしまいます。その為、バランスよく、なるべく色々な種類の食材を摂ることが大切です。和食料理を中心にすると、自然とバランスのとれた食事に繋がります。外食の際も単品料理にならないよう、定食ものを選んだり、スープやサラダなどの副菜も一緒に頼むのもポイントです。」(志田さん)。
ビフィズス菌
「ビフィズス菌の量には人によって大きく異なります。検出できず0と表示される人も珍しくありません。
『毎日ヨーグルト食べているのに0だなんて』と驚かれる方もたまにいらっしゃるのですが、実は食べることで得られる菌は腸に定着しないんです」(竹田さん)。
ヨーグルトを食べてもビフィズス菌は腸に定着しない!?
定着しないならヨーグルトを食べる意味がない! と思ってしまいそうですが、定着しないだけで効果は期待できるといいます。
「腸内に生きて届くので、体の中を通っている間に良い作用をしてくれるんです。腸内にいるのが数日だとしても良い作用をもたらしてくれるので、継続的にサプリにやヨーグルトなどでビフィズス菌をとると良いですよ!」(竹田さん)。
乳酸菌
「おそらく、乳酸菌は3分の1くらいの人は検出できないのではないかと思います。数値的には0.01~0.1の人が多いといわれていますね」(竹田さん)。
乳酸菌が少なくても心配ない!?
乳酸菌は多い方がいいような気がするのですが……、少なくても問題ないのでしょうか?
「乳酸菌は小腸に多い菌なんです。だから、便から検出されなくてもあまり心配する必要はありません。逆に、20~40%出る人がいるのですが、こちらの方が心配です。そういう人は消化管の上の方の機能が弱くなってしまっていて、そこに住んでいた菌が大腸まで流れてきた可能性があります」(竹田さん)。
乳酸菌のバランスを整えるための食生活
「乳酸菌は、発酵食品に多く含まれています。特に、漬物やキムチ、味噌などに含まれる植物性乳酸菌は、胃酸に強く、生きたまま腸に届きやすい、と言われています。ただ、ビフィズス菌と同様、腸に長くは定着はしないので、チーズやヨーグルトなどの動物性乳酸菌と、漬物などの植物性乳酸菌を含む発酵食品を毎日一品は取り入れられると理想的です。」(志田さん)。
酪酸産生菌
風邪をひきにくくするなど、免疫系で重要な働きをするといわれる酪酸産生菌。腸管内の細胞のエネルギー源にもなるそうです。
「酪酸産生菌は1つの菌ではなくて、複数の酪酸を作ることができる菌の合計の数字を出しています。たくさんもっている人は、それだけ多く酪酸を作れます」(竹田さん)。
血液中に酪酸が多いと太りにくい!?
また、酪酸が血液中に循環していると、脂肪細胞が取り込みにくくなるそう。そう聞くと、酪酸を増やしたいと思いますが、どうすればいいのでしょう?
「酪酸産生菌のエサである水溶性食物繊維とレジスタントスターチを積極的に摂りましょう。水溶性食物繊維は、納豆やオクラ、めかぶ等のネバネバ食品や大麦に特に多く含まれるので、主食は押し麦入りご飯にするのもオススメです。レジスタントスターチは、冷えた炭水化物に多く含まれます。炭水化物はダイエットの敵と思われがちですが、おにぎりやポテトサラダなど、温かい状態でなく冷ました状態で食べるとカロリーも抑えられ、一石二鳥です。」(志田さん)。
エクオール産生菌
「大豆を食べると体にいいといわれますが、実は、腸内にエクオール産生菌がいないと意味がありません。大豆に含まれるイソフラボンを腸内細菌がエクオールに変え、そのエクオールが肌や女性ホルモンに働きかけてくれるんです。」(竹田さん)。
大豆だけ食べても女性ホルモンに影響しない!?
しかし、3分の1くらいの人がエクオール産生菌を持っていないといわれています。では、エクオール産生菌が少なかったり、いなかったりする人はどうしたらいいの?
エクオール産生菌を増やす方法
「エクオールのサプリを摂りつつ大豆を摂ると良いですよ。エクオール産生菌は増やすことが難しいと言われています。エクオール産生菌がなかったとしても、大豆製品自体には、ビフィズス菌の増殖作用があります。その他にも、がんや脂質異常症等の生活習慣病予防、肥満予防にも繋がるので、エクオール産生菌の有無に関わらず大豆製品は積極的に摂りましょう。納豆や豆腐は勿論ですが、無調整豆乳をコーヒーのミルク代わりに入れたり、料理に使うのも簡単でオススメです。」(志田さん)。
腸内細菌の組成
マイキンソーの調査によると、日本人の平均的な菌組成は以下のようになっているといいます。
■バクテロイデーテス門……48.7%
(腸内免疫に重要な影響を与えている)
■ファーミキューテス門……41.2%
(善玉菌の乳酸菌のグループや、悪玉菌の代表格・ウェルシュ菌など)
■アクチノバクテリア門……2.3%
(善玉菌の代表格・ビフィズス菌など)
■プロテオバクテリア門……5.3%
(大腸菌やピロリ菌、カンピロバクターなど)
■その他……2.5%
「あくまで、こちらは日本人の平均的な菌組成のデータであって、これが理想のバランスというわけではありません。『腸内細菌の組成』は継続してデータを取って、その推移を指針に生活習慣を考えていただくのに活用していただきたいですね」(竹田さん)。
腸内環境の検査は継続的に行ってこそ
自分の腸内フローラを知ると、腸内の細菌たちに愛着が湧いてくるから不思議です。定期的に検査して、彼らがどう変化していくのか観察していきたくなってしまいました。自分の健康状態と対比しながら、観察を続けていくとおもしろそうですね!
腸内細菌のスペシャリストたちの発酵生活
最後に、腸内細菌のスペシャリストが日常生活でどんなことに気を遣っているのか知りたい! お二人ともお肌がキレイで……、これはきっと何か秘訣があるに違いない! ということで、竹田さんと志田さんに聞いてみました。
「腸内細菌のエサになるネバネバ系は1日1回は摂るようにしていますね。あと、発酵食品は冷蔵庫に常備しています」(志田さん)。
「納豆は常にストックしています。あとは、食物繊維を摂りやすいようご飯に大麦など雑穀を混ぜています」(竹田さん)。
こちらも、参考にさせていただきます!
教えてくれた人
株式会社サイキンソー 取締役/Ph.D.分子生物物理学・竹田綾さん
ヘルスケアスペシャリスト/管理栄養士・志田結さん
サービス詳細
マイキンソー:」https://mykinso.com/