「立春」なのにまだまだ寒いのはなぜ?:発酵ワクワク大使の二十四節気のお話

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東京・表参道にある、発酵をテーマにした居酒屋「発酵居酒屋5(ゴ)」の料理長を務める発酵料理人であり、“発酵わくわく大使”として発酵文化を伝える活動を行っている鈴木大輝さんに、「立春(りっしゅん)」について聞きました。

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春の始まり!紅白お椀『立春大吉豆富』でおめでたい門出を│二十四節気の立春レシピ


2018年の二十四節気「立春(りっしゅん)」はいつ?

2018年の「立春」は2月4日です

梅の花

初春の候、晩冬の名残り。立春は春への第一歩

新春のお喜びを申し上げます。
土用も明けまして、春立ちぬ吉日をみなさまとお迎えすることができて、嬉しさでいっぱいでございます。

「暦の上では春ですが、まだまだ寒いですね。」というフレーズを、この時期よくニュースで耳にします。

それもそのはずで、四立(しりゅう)と呼ばれる、立春立夏立秋立冬の前日は、季「節」の「分」かれ目で節分と呼ばれていまして、立春というのは、冬のピークから春に転ずる転換点を表しています。

「立春(りっしゅん)」でも、まだまだ寒い!

木の枝雪  梅 紅梅

冬の寒さは、2月3日の「節分(2018年は2/4が立春なので、その前日の2/3が節分)」で頂点を迎え、「立春」から季節は春に向かっていくものの、立春は冬のピークである節分のほんの“翌日”。なので、気候は冬将軍の猛威にいまださらされているわけなのです。
ですが、“春に向かっている”という明るい心持ちが、三寒四温(寒い日が3日程度続くと、その後、比較的暖かい日が4日程度続くという寒暖の周期)のリズムに乗り、本格的な春の訪れに向けて心と体を解してくれます。

三寒四温のリズムに乗りながら春爛漫を迎える初夏の節分

同じことが、次の季節である夏にも言えます。「立夏(りっか)」が約3ヶ月後の5月5日ですので、5月4日が初夏の節分で春爛漫のピークといえます。
春爛漫を謳歌するにはあと3カ月ほどかかるのですが、それまでにも三寒四温のリズムが初夏を感じさせてくれることもあります。また、本格的な春が始まる仲春までのこの初春の候に、日本人は小さな春を見つけることで、春の温もりを心に宿してきました。
この原稿を書いている時も、木蓮の蕾が日に日に大きくなってきていたり、早咲きの梅の花が春の兆しを教えてくれています。

春の山菜が、1年の始まり、命の始まりを感じさせてくれる

ふきのとう

春の山菜は、その萌えている芽吹きの様が、1年の始まり、命の始まりを感じさせてくれますね。また、春の山菜は冬の間に溜め込んだ脂や、強張った体を解きほぐしてくれる働きがあります。

冬眠から目覚めたクマが最初に食べる初春の山菜「ふきのとう」

冬眠から目覚めたクマが最初に食べるのは、初春の山菜の代表格「ふきのとう」だそうです。溜まった老廃物を排出し、冬の体から春の体へとスムーズに移行させるための知恵。私たち人間も苦味のある山菜や、心身の変化を促す発酵食品をいただき、溜まった脂を洗い流しスッキリとした心と体で春を迎えましょう。

初春の山菜や発酵食品で溜まった老廃物を排出、スッキリと春を迎える

発酵の本質は「変化」、生命の本質も「変化」だと私は考えております。初春は新しく芽吹く生命の蕾が膨らんでいく姿を愛でて、自分の中にも芽吹き始めた情熱の蕾を大事に育てていきましょう。

立春のすぐ後に訪れる旧正月では、冬至から2回目の新月が元旦にあたる

旧正月

そして、この立春付近に、いわゆる旧正月が訪れます。韓国や中国では、春節ともよばれる旧正月こそが本当のお正月でした。正確には、冬至から2回目の新月が元旦です。月の周期の1日目(朔日:さくじつ)を元旦とするため、旧正月は月のリズムで迎えるものでした。

立春と旧正月が重なる年「朔旦立春(さくたんりっしゅん)」は大変めでたい年

太陽の暦である二十四節気の立春と、旧正月が重なる年は「朔旦立春(さくたんりっしゅん)」と呼ばれ、大変おめでたい歳とされています。次回の朔旦立春は2038年。どんな世界になっているでしょうか。

朔(さく)は「月」を表し、一旦止まるといった意味を秘める

「朔(さく)」は、「月」を「逆(さ)」かのぼると書き、「月」を表しています。「旦」は地平線から「日(太陽)」が登っている象形文字の様にも見えます。また、「一旦」という言葉や、タンタンタンタン、、、とリズムを打っている様な語感からも、一旦止まるといった言霊を秘めています。
月のリズムは捉えづらく、女性の神秘を感じさせてくれます。逆に太陽は毎日朝日が昇る一定のリズムなので、わかりやすいですね。
元旦とは、新しい春夏秋冬、つまり1年を始めるために、一旦仕事の手を止めて、大事な家族と年初めの新月を祝う日とも言えるでしょう。

「明ける」とは、「日」と「月」が同時に昇る新月の朝日を表す

新月は、太陽の光が強すぎて肉眼では捉えられませんが、月と太陽が朝に同時に同方向から昇ります。明けましておめでとうございます、の「明ける」とは、「日」と「月」とが同時に昇る新月の朝日を表しています。

今年の旧暦元旦は2月16日。今年1年の想いを見つめ直そう

新月

今年の旧暦元旦は2月16日です。
新暦の元旦と違い、静かな新月の日に、今年1年の想いを今一度見つめ直し、御来光を拝んだり、神社にお参りをしたり、新月の集いをするのも良いかもしれませんね。
活動的な上半期の始まり、春分まであと少しです。次回は雨水。雪は雨にとけ始め、いよいよ山菜達が本格的に目覚め始めます。

新しい春の始まりに。
新春、おめでとうございます!

【立春】に食べたい発酵レシピ『立春大吉豆富』

発酵ワクワク大使・鈴木さんがお届けする今回のレシピは、『立春大吉豆富(レシピページにリンク)』です。

立春大吉豆富

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