「ぬか漬け」や「ぬか床」など、発酵食品に欠かせない存在の米ぬか。「やさしい米ぬか講座」の第5回目では、いよいよ「ぬか床」や「ぬか漬け」についてご紹介します。ぬか床で食品をぬか漬けにするメリットや、ぬか床の作り方、ぬか床を毎日かき混ぜる理由や足しぬかの方法、ぬか床は再利用できるのか、おすすめのぬか漬けアレンジレシピなどを、東京は浅草橋にある老舗のお米屋さん「吉田屋」の5代目であり、五ツ星お米マイスター&お米アドバイザーの小林健志先生に教えていただきました。
失敗しないぬか床の作り方や足しぬかの方法、ぬか漬けアレンジレシピ│五つ星お米マイスターのやさしい米ぬか講座 vol.5
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ぬか床で食べ物をぬか漬けにするメリットは?
ぬか床に漬けた野菜は、ぬか漬けという漬物になります。ぬか漬けは植物性乳酸菌を多く含む発酵食品で、熟成されたぬか床には10億単位の乳酸菌が含まれていると言われています。また、漬けた野菜の栄養価が増したり、旨みが増すことも期待されます。
ぬか床の作り方
ぬか床の作り方
材料
・生ぬかが1kg程度の入る容器
・生ぬか 1kg
・天然塩 130g
・水 1L
・昆布、唐辛子、野菜くず 適量
作り方
1. 水と天然塩を鍋で火にかけ、食塩水を作り冷まします。
2. 容器に生ぬかと1で作った食塩水を少量ずつ入れながらよく混ぜます。
3. 混ぜ込みながら、均一に食塩水が馴染んでいるか、握ったりして確認します。
4. 昆布・唐辛子や、お好みで旨み用の食材を埋め込みます。
5. 野菜くずをぬか床の中に入れます。
6. 数日間、野菜くずを取り出して、ぬか床を底からかき混ぜ、また新しい野菜くずを入れるのを繰り返します。
日本米穀小売商業組合連合会お米マイスター全国ネットワークによる動画「ぬか床の作り方」もぜひチェックしてみてくださいね!
ぬか床作りのポイント・注意点Q&A
Q1:生ぬかと炒りぬか、どちらを使うといいの?
A1:生ぬかに含まれるビタミン類は熱に弱く、炒ると少なくなる可能性がありますので、新鮮な生ぬかが手に入るようでしたら、生ぬかから作り始めるのがオススメです。生ぬかの方が同条件下で発酵が早く、炒りぬかの方は発酵が弱くなります。
夏の暑い時期や(冷蔵庫外での保管)、2~3日間ぬか床をかき混ぜられないことが多いようでしたら、炒りぬかを多めに使用しても良いと思います。
Q2:ぬか床完成の見極めのコツは?
A2:ぬか床のぬかを片手でギュッっと握り、指の間から水分が滲んでくるぐらいが丁度いいですね。ぬか床に「完成」はありません。ぬか床は、漬ける野菜によって表情が変わっていくものです。日々、自分の理想のぬか床に育てていきましょう。
Q3:ぬか床に鉄釘を入れるのはなぜ?
A3:鉄釘を入れておくと、ナスに含まれる水溶性の色素を安定させることが出来ると言われています。そのため、ナスの色がキレイなままでぬか漬けが楽しめるとされています。
Q4:ぬか床を毎日かき混ぜなければならないのはなぜ? 冷蔵庫で保管すれば毎日かき混ぜなくてもいいの?
A4:ぬか床には乳酸菌や酵母菌などの菌類が多く存在してます。
菌類の異常繁殖など、ぬか床内の環境を一定に保つためにも、常温では毎日、冷蔵庫内でも2日に一度はかき混ぜるようにしましょう。
ぬか床作りのポイント・注意点Q&A
Q5:ぬか床の表面に水が染み出てきたり、白いものが付着してきたときはどうする?
A5:ぬか床の表面に水が出てきたときは、キッチンペーパーや清潔なスポンジで吸い取ってあげてください。過剰水分が多いと腐敗臭の原因になってしまいます。味を見て塩分が足りない場合は、水を取ったあと、塩分も足してあげてください。
表面に白いものは産膜酵母といい、乳酸菌が十分に増えた証拠です。そのまま混ぜ込んでも問題ありませんが、気になる方は白い部分だけ薄く取って捨ててください。
Q6:ぬか床が減ってきた!米ぬかの足し方(足しぬか)はどうする?
A6:足しぬかをする前に、ぬか床を少量、小皿に分けておいてください。目分量で大丈夫です。足しぬかをしたぬか床と、先ほど分けたもとのぬか床で味を比べて、塩分の調整をしてください。このときに昆布や唐辛子も一緒に足してください。
Q7:ぬか床がとてもクサい!捨てたほうがいい?
A7:ぬか床を良く観察してみてください。ニオイの種類にもよりますが、水分が過剰な場合は水分を少なくして、塩分を足して塩分濃度を高くして、雑菌の繁殖を抑えます。そこから数日間、良くかき混ぜてぬか床のバランスを整えてください。
作ったぬか床に愛着があまりないようでしたら、一度捨てて、最初から作り直したほうが精神衛生上にも良いかも知れません。
Q8:使い終わったぬか床は何かに再利用できるの?
A8:再利用はできませんね。生ごみの日までビニール袋に入れて口を縛り、冷凍庫で発酵しないようにしておくと、ゴミに出すまで異臭が出ないようにすることが出来ます。
小林先生おすすめのぬか床の使い方・レシピQ&A
Q1:ぬか漬けにおすすめの野菜は?
ぬか漬けにおすすめの野菜は?
A1:きゅうり、大根、ニンジンが個人的に好きですね。パプリカも色がキレイで美味しいですし、アクの強くない野菜でしたら一通り漬けることができます。
Q2:ぬか漬けのおいしい食べ方は? ぬか漬けがいちばん合うお米は?
A2:やっぱり、炊きたての白いごはんが一番ですね! 銘柄は「ごはんの味がしっかり分かるお米」を専門店で購入して、せっかくなので土鍋炊飯にもチャレンジして欲しいと思います。
古漬けの塩分が苦手な方は、古漬けになった野菜を細かく切って、お茶漬けにすると美味しく頂けます。
Q3:ぬか床に漬けるとおいしい意外な食べ物は?
ぬか床に漬けるとおいしい意外な食べ物は?
A3:卵の黄身、チーズ、お肉類も美味しく漬けられますよ。サバを漬けて北陸地方の「へしこ」風にすることもできます。卵の黄身は割らないようにアルミカップに落とし、上からぬか床のぬかを被せて一日ほど漬けてみてください。
野菜以外を漬けるときは、必ずぬか床を別にして漬けてくださいね。
肉類も美味しく漬けられる
自分だけのぬか床を育てる楽しみを
ぬか床生活は、かき混ぜるという手間がありますが、それを補って余りある素晴らしさがあります。甘みのある野菜を漬けることでぬか床に甘みが付くように、自分だけのぬか床を育てる楽しみもあります。お友達同士で、オリジナルのぬか漬けを持ち寄ってホームパーティなどもいいですね。
ぬか床を作る時には、ぜひ新鮮な生ぬかを使ってください。生ぬかは常温で長期期間そのままにしておくと、ぬか床臭がしてきます。新鮮な生ぬかはお近くのお米屋さんで売ってもらえると思いますので、ぜひ足を運んでみてください。
小林先生オススメ! 今食べたいお米は「山形県産 雪若丸」
今回の今食べたいオススメのお米は「山形県産 雪若丸」です!
平成30年に全国デビューした山形県産 つや姫の弟のような新品種。しっかりした噛み応えのある弾力と、丁度いい粘りが特徴的で、丼ぶりご飯とも相性がバツグンです!
東京・浅草橋の老舗米屋「吉田屋」
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