東京・表参道にある、発酵をテーマにした居酒屋「発酵居酒屋5(ゴ)」の料理長を務める発酵料理人であり、“発酵わくわく大使”として発酵文化を伝える活動を行っている鈴木大輝さんに、「立秋(りっしゅう)」について聞きました。
✓発酵ワクワク大使の【立秋】に食べたい発酵レシピ!
『鱚(キス)とぬか漬けの南蛮漬け』
二十四節気「立秋(りっしゅう)」(2017年8月7日)とは
夏は古きものにも目を向けて
立秋、秋が立つ頃いよいよ始まる盆踊り! ※「里山FUNK!(イマジン盆踊り部2ndアルバム)」より引用
土用も明けて、立秋が訪れましたね。土用の準備期間、しっかりと養生できましたでしょうか。
立秋とは秋へと転じる1歩目。つまり、立秋前日が夏の頂点、ピークとなります。
夏、暑さをグラフ化すると、暑さを表す放物線の頂点から、下り坂に向かうその転換点が立秋です。
なので、暑さの度合いは最高潮。
しかし、ここからは涼しくなっていく変わり目です。
夜、窓の外にそっと耳を傾けてみると、立秋あたりから秋の虫が鳴き始めます。
日本人が使っていた「朔弦望」という月の暦
そして、明治以前、日本人が使っていた「朔弦望」という月の暦。
睦月、如月、弥生とつづく月の呼び方でおなじみですね。
新月(朔日、ついたち)で月がかわり、満月(望)に至りて、新月に戻るのを一月と数えました。
月の暦で生活していると、空を見上げると月の形で今が何日かわかるのです。
ただ、新月は月が全く見えないので、三日月になって、そこから3日遡ると新月であったことがわかります。
新月、1日を朔日というのは、三日月から3日遡る日という意味から来ています。
ちなみに、新月は太陽と月が同じ位置からのぼるため、元旦に「明けまして」というのは、
「明」という漢字が「日」「月」と太陽と月が共にあるという天体的な意味をも表しています。
七夕は今の新暦7月7日だと梅雨の真っ最中で、織姫星と彦星も見えづらいのですが、
旧暦だと梅雨も明けていて、しかも7日は半月のため、まるで月が天の川を渡る船のように見えます。
十五夜お月さんも、旧盆、中元とよばれる旧7月15日は必ず満月を迎えます。
お盆には、古きものを見つめ直す
お盆には、天の川銀河の彼岸から、ご先祖様がやってくるので、
胡瓜に足をつけて早馬を出し、盆踊りを踊り、繊維を取ったあとの大麻の茎、おがらを炊いてその煙を香としてお出迎えをいたします。
盆踊りのやぐらと円運動を上空から見ると故郷への道しるべとしてはとてもわかりやすく、また満月と共に踊るフルムーンパーティーで老若男女、ご先祖様も、これから生まれる子供達の魂も共に楽しむことで、益々の繁栄が得られることでしょう。
「盆」という漢字は「皿」を「分」かち合うという意味合いからも成り立っています。
生きている私たちは、盆の宴で食べものや飲みものを分かち合い、お供え物で目に見えぬ、菌や微生物、霊とも分かち合います。
盆が明け、ご先祖様が彼岸に帰られる際には、茄子に足をつけて牛として、それに乗りゆっくり彼岸に帰っていただく。
こうして振り返って見ると、お盆とは万物に気が宿る八百万の国らしい、やさしさ溢れる風習ですね。
「OMOTENASHI(おもてなし)」の原点はこういうところにも表れている気がします。
春分から始まった上半期ももう終盤です。
これから始まる実りの秋を前に、一度自分の足跡を振り返る。
故人にこれからの決意をお伝えする。
古きものを見つめ直す。
お盆にはそんな意味合いがある様に思えてなりません。
盆踊りのステップにも、古きものを見直す意味が
盆踊りの回り方も、時計と反対まわり。
数ある盆踊りも、後ろへ下がるステップが振りに組み込まれているものも多くみられます。
実ったものを表現する本格的な秋が来るその前に、今一度、上半期の振り返り、今の自分を形作ってくれた恩人達を振り返り、再確認。
すると自然とこみ上げる感謝の気持ちを胸に、食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋とこれから訪れる実りを分かち合いましょう。
そんな立秋におすすめの献立をご紹介します。
【立秋】に食べたい発酵レシピ『鱚(キス)とぬか漬けの南蛮漬け』
発酵ワクワク大使・鈴木さんがお届けする今回のレシピは、『鱚(キス)とぬか漬けの南蛮漬け(レシピページにリンク)』です。