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2017年11月27日

小麦を使った白い醤油「しろたまり」の手作りワークショップレポート

日本には各地域に様々な食文化が存在します。中でも、「醤油」に代表される日本の発酵調味料は、地域特有の製造法や風味がもたらされ、多種多様な楽しみ方があります。
一般的に、関東地方では濃い味を、関西地方では薄い味を好むとされています。そして、東西の中間に位置する愛知県では、八丁味噌やたまり醤油に代表されるような濃厚な味が好まれると思われがちですが、上品で繊細な味わいを持つ「白醤油」が、実は愛知で生まれたことをご存知でしょうか?

愛知の白醤油

今回は、愛知県碧南市で琥珀色の醤油『足助仕込三河しろたまり』をはじめ、各種たれやつゆ等の調味料を製造販売している「日東醸造株式会社」の代表取締役社長・蜷川洋一さんを講師に迎え、大阪堺市の手作り糀・糀料理教室「おかんの糀」代表・小林よしみさんが主宰された「手作りしろたまりワークショップ」に参加してきました!

三河が育んだ伝統の醤油文化「愛知の白醤油」

白醤油が誕生したのは今から約180年前。三河国新川(現在の愛知県碧南市)において、金山寺味噌の製造工程でできた上汁が美しい黄金色であったため、それに示唆を受けて考案されたと言われています。
また、江戸末期の黒船来航の折、宴のために全国から集められた美味の中に白醤油があり、料理に使われたという逸話も残っています。
三河の地を中心に、昔ながらの濃厚でうまみのある「たまり」の対極として生まれた香り豊かな「白醤油」。東西双方の味覚資質を兼ね備えた愛知は、こうして独自の食文化を築き上げたのです。

しろたまりワークショップの様子
「手作りしろたまりワークショップ」の様子

醤油の話に興味津々!

日本でいちばん醤油が作られている地域は千葉県

ワークショップでは、まず「醤油」について語られました。
日本でいちばん醤油が作られている地域は千葉県であり、全国の生産量の32%ほどを占めていること。また、醤油は地域によって味が違い、それはその土地の食べものに合わせた味であること。
たとえば、九州の醤油はほかの地域に比べて甘みが強いのですが、それはマグロの刺身には合いにくいものの、馬刺しには最高の相性なのだそうです。

「日東醸造株式会社」代表取締役社長・蜷川洋一さん
「日東醸造株式会社」代表取締役社長・蜷川洋一さん

「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」の5種類の醤油と、日東醸造の「足助仕込三河しろたまり」
「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」の5種類の醤油と、日東醸造の『足助仕込三河しろたまり』

白醤油の大豆と小麦の割合は95対5でほとんどが小麦

こうして醤油について学んだところで、白醤油についての説明がありました。
そもそも醤油には、「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」の5種類があります。それぞれ麹の作り方や、仕込み期間、塩分の量などが違い、味や風味が変わります。
醤油の麹は大豆と小麦から作られますが、「こいくち」醤油の場合、大豆と小麦の割合がほぼ半々、仕込み期間は1~3年ほど。それが「しろ」醤油になると、大豆と小麦の割合は95対5でほとんどが小麦、仕込み期間は2~3か月となります。

小麦の量が多く、仕込み期間が短い白醤油は薄い色

ちなみに、大豆の量が多ければ多いほど、また仕込み期間が長ければ長いほど醤油の色は濃くなるとか。そのため、小麦の量が多く仕込み期間が2~3か月と短い「しろ」醤油はお出汁のような薄い色。
小麦は使わず大豆のみで作り、さらに仕込み期間も2~3年と長い「たまり」醤油の色は「こいくち」醤油以上に真っ黒なのです。

白醤油と濃口醤油の比較
左:白醤油、右:濃口醤油

白醤油の塩分量は18%

なお、「うすくち」醤油は塩分量も少ないと勘違いされがちですが、「こいくち」醤油の塩分量が15~16%であるのに対し、「うすくち」醤油は17~18%と塩分量は高めで、薄いのは色だけなのだとか。
さらに、「しろ」醤油の塩分量は18%と、5種類の醤油のうち最も高いのだということも知らされました。

『足助仕込三河しろたまり』を実際に作ってみました!

この日仕込むのは、日東醸造が平成5年に発売した『足助仕込三河しろたまり』です。
日東醸造では大正の時代から白醤油作りを始めていますが、時代の流れとともに当初の味とは違う味に。それに気づいた先代社長による「昔ながらの、本当の白醤油の味を求めたい」という思いから原料や製法を見直し、できあがりました。

麹に大豆を一切使わず、小麦だけ。それも輸入小麦ではなく、愛知県内の国産小麦を使用し、伊豆大島産伝統海塩「海の精」を加えて作った『足助仕込三河しろたまり』は、はてしなく白に近い薄色と繊細な味わい。また、旧足助町太多賀の閉校となった校舎を利用し、木桶仕込みにて自然が育む深い風味が特徴です。

『足助仕込三河しろたまり』
日東醸造『足助仕込三河しろたまり』

手作りしろたまりワークショップ

『足助仕込三河しろたまり』の作り方は?

それでは、さっそく『足助仕込三河しろたまり』を仕込んでみましょう。
ここでは、2000ccの容器で約1500ccの仕込みを行います。『足助仕込三河しろたまり』の出来上がりは約500ccとなり、もろみは約1Kgとなります。

材料

・小麦麹 750g
・食塩(海の精) 230g
・足助の水(天然水) 700g

道具

・仕込み容器(2000cc相当のガラス容器)
・計量カップ(700gが計量できるサイズ)
・長めのスプーンまたは箸

仕込みの手順

1. 塩水を作ります。
ビニール袋の上から「食塩(海の精)」の粒を手で潰し、細かくします。仕込み容器に「足助の水」700gと「食塩(海の精)」230gを入れてよく溶かします。
容器内を洗濯機のように回転させ、溶け残りがないようにしっかりと溶かしましょう。飽和に近い食塩水になるので、なかなか溶けませんが根気よく溶かすことが大切です。

2. 小麦麹を入れます。
小麦麹が冷たかったら、手でしっかりと温めてから入れます。

3. 全体を軽く混ぜ、麹と塩水をなじませます。

「日東醸造株式会社」の代表取締役社長・蜷川洋一さん

「日東醸造株式会社」の代表取締役社長・蜷川洋一さん

小麦麹と塩を容器に入れる

容器に水を入れる

※本日の作業はここまで。あとはこぼれないように自宅に持ち帰り、保存して仕込みます。

保存の注意

1. 直射日光の当たらない比較的涼しいところに静置します。

2. 一週間ほどで麹が浮いてくるので、表面が空気と触れないようにラップを直接、表面にかけます。

3. 仕込み容器に入るくらいのビニール袋に水を入れ、水が漏れないように口をしっかりと止め、袋を二重にし、ラップの上にバランスよくのせます。麹が浮き上がりすぎることを抑える重石の役割をします。

4. 仕込み当日から夏季なら3か月間、冬季なら4か月間、静かに熟成させます。普通に生活している温度環境でよく、冷蔵庫などには入れません。

※この間、黒や緑のカビを発見したら、スプーンなどで早く取り除来ましょう。
※白いカビは産膜酵母なので、心配する必要はありません。

容器をビニール袋に入れて持ち帰る

引き分け

1. 引き分け(仕込み日から約3~4か月後)に、大きめのボールとザルを用意し、重石とラップを外して中身をすべてザルにあけます。

2. ザルに残ったものが「もろみ」です。調味料や漬け床として使えます。ボールに溜まった液が『足助仕込三河しろたまり』です。小麦のカス等が入っているので、清潔なふきんやキッチンペーパーなどで漉してください。そして、きれいに洗ったガラス瓶に移します。

3. できあがった『足助仕込三河しろたまり』は必ず冷蔵庫で保管してください。ザルの上の「もろみ」は袋に入れて、冷凍庫に保管してください。

もろみをザルにあげる

もろみをザルに上げる

小麦を使った白い醤油『足助仕込三河しろたまり』、ぜひ味わってみてくださいね!

✔「しろたまりの活用法を知りたい! ワークショップに参加してみたい!」方は以下をチェック!
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日東醸造オンラインショッピング


✔「いろんな発酵食品のワークショップに参加してみたい!」方は以下をチェック!
おかんの糀 Facebookページ
✔「おかんの糀」代表・小林よしみさんの記事は以下をチェック!
甘酒のもと「甘麹(あまこうじ)」を使った発酵レシピを浪速のおかんに聞きました!


関連リンク

日東醸造株式会社:http://nitto-j.com/
おかんの糀:http://okannokouji.com/

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