2020年4月19日~5月4日は、二十四節気の「穀雨」にあたります。二十四節気とは、古代中国から伝わった、1年間を約15日間に分けて24等分した暦です。
前回の「清明(清明)」は、二十四節気の5番目の節気で、季語の「山笑う」という言葉にも表れているように、山も人もうきうきする季節の到来を告げてくれました。今回ご紹介する「穀雨(こくう)」は、清明の次の節気で、二十四節気の6番目にあたります。穀雨とは、どのような時期で、どんな食べ物が旬を迎えるのでしょうか? 穀雨におすすめの春を味わい尽くす発酵レシピと合わせてご紹介します。
穀雨(こくう)とは
穀雨(こくう)とは
二十四節気、春の最後の節気になります。この時期に降る雨はまさに恵の雨。たくさんの穀物を潤す春の雨です。これを「穀雨」と呼びます。
季節ごとに降る雨には、それぞれに名前がある
ちなみに3月から4月にかけての長雨を「春霖(しゅんりん)」、菜の花の季節の雨を「菜種梅雨(なたねつゆ)」、杏の花が咲く季節の雨を「杏花雨(きょうかう)」、栗の花が散る頃に梅雨入りするので「栗花落(つゆり)」と言います。季節ごとに降る雨に名前がついているとは面白いですね^^
5月1日は「八十八夜」
穀雨の時期に迎える雑節(※)に、2020年5月1日の「八十八夜」があります。八十八夜は、種まきや田植え、茶摘みなど春の農作業が行われる時期で、農家にとって大切な日です。
「八十八夜の別れ霜」「八十八夜の忘れ霜」とは、八十八夜のころに降りる霜のこと。霜は農作物に被害を与えますが、八十八夜以降は霜も止んで気候も安定するため、八十八夜頃から本格的な農作業がスタートします。
(※)雑節(ざっせつ):二十四節気以外の季節以外を示すもの。雑節には八十八夜のほかに、節分や土用、入梅などがある。
穀雨の七十二候(二十四節気をさらに3等分したもの)
二十四節気とは、1年間を約15日間に分けて24等分した暦ですが、これをさらに、約5日間をひとくくりとして3つに分けたのが「七十二候(しちじゅうにこう)」です。七十二候は、その季節の様子や生き物の姿を現す名前が付けられています。二十四節気に比べるとあまり知られていない七十二候ですが、より繊細な季節の移り変わりを知らせてくれる暦です。
葭始生(あしはじめてしょうず)
水辺の葭が芽吹き始める頃。葭は夏に成長します。秋には黄金色の穂をなびかせます。
霜止出苗(しもやみてなえいずる)
霜が降りなくなり、稲の苗が生長する頃。霜は作物の大敵とされています。
牡丹華(ぼたんはなさく)
牡丹が大きな花を咲かせる頃。豪華で華やか牡丹は「百花の王」と呼ばれています。
穀雨に旬を迎えるおすすめの養生野菜
はとむぎ、鮭、たこ、あさり、椎茸、ごぼう、いんげん、シソ、アスパラ、山椒、じゃがいも、新玉ねぎ、竹の子、ふき、さやえんどう、みつば、春キャベツ、クレソン
「茄子みそディップ」│穀雨の二十四節気発酵レシピ
「茄子みそディップ」│穀雨の二十四節気発酵レシピ
バゲットに塗っても、野菜をディップしてもおいしくいただける一品です。
材料
・コリアンダー(ホール) 小さじ1:つぶす(なくてもOK)
・玉ねぎ 1玉:薄切り
・茄子 2本:皮をむいて1cmの厚切り
※むいた皮はもう一品になりますので捨てないでくださいね!
・塩麹 大さじ1
・オリーブオイル
[A]
・味噌 大さじ1.5~
・塩麹 大さじ1
・ココナッツミルク(豆乳でも)50ml
作り方
1. コリアンダーを砕き、オリーブオイルと中火で熱し、香りを出す。コリアンダーは皿の下などでつぶせます。
2. 玉ねぎを香ばしい香りがするまで炒める。
3. 茄子を加えフタはせず、少し茶色くなるまで炒める。
4. 茄子に茶色い色がつき始めたら、塩麹と水を少し入れフタをして弱火で火を通す。
5. 茄子に完全に火が通ったらAを全て入れ、ハンドブレンダーでまわす。
6. 小さいココットに入れてブラックペッパーとオリーブオイルを回しかけて完成。新鮮なお野菜と一緒にお皿に盛りつけるときれいです^^
「茄子の皮のバター醤油炒め」│穀雨の二十四節気発酵レシピ
「茄子の皮のバター醤油炒め」│穀雨の二十四節気発酵レシピ
せっかく色の濃い、抗酸化作用のあるフィトケミカル豊富な皮を捨ててしまうのはもったいないので、ぜひバターと醤油麹で炒めてごちそうの一品に^^
「椎茸おにぎり」│穀雨の二十四節気発酵レシピ
「椎茸おにぎり」│穀雨の二十四節気発酵レシピ
椎茸を醤油麹で蒸し焼きにしてあたたかいご飯と一緒ににぎるだけ! 半分に切ってお皿に盛ると食べやすいです^^
材料
・しいたけ お好きなだけ:石づきをとる
・醤油麹 大さじ1~
・温かいご飯
・ごま 少々
・七味 少々
・しそ 数枚~
作り方
1. フライパンに油を敷き、しいたけを茶色いほうを下に向けて置く。
2. しいたけの石づきの部分に醤油麹を少しずつ乗せ、水を少量入れ弱火で蒸し焼きにする。じっくり火を通すことでしいたけの旨味が凝縮され、蒸し焼きにすることで火の通りも早くジューシーに仕上がります。
3. しいたけに火が通ったら、ラップの上に椎茸の茶色いほうを下に向けて置き、その上にご飯を乗せ、ラップで包んでおにぎりにする。ラップが溶けてしまうため、椎茸を少し冷ましてから行ってください。
4. 成形したら半分に切って、しそと一緒にお皿に盛りつける。上からごまと七味をかけて完成
「鮭と春のジャガイモのレモン炒め」│穀雨の二十四節気発酵レシピ
「鮭と春のジャガイモのレモン炒め」│穀雨の二十四節気発酵レシピ
レモンのさわやかな酸っぱい香りがカレー味のジャガイモとよく合います! 旬の鮭と合わせていただきましょう^^
材料
・ジャガイモ 2つ:1口大にカット
・クミン 少々
・塩麴 大さじ1~
・カレー粉 大さじ1
・鮭 2切れ:1口大にカット
・スナップエンドウ 7つ~
・レモン 1個:1口大にカット
・塩麴 大さじ1.5~
・イタリアンパセリ 少々:飾りつけ
作り方
1. フライパンにクミンと油をしき中火で熱して香りを出す。
2. じゃがいもと塩麴を入れ、水を少し入れて蓋を閉めて中火で蒸し焼きする。
3. ある程度火が通ったらカレー粉を入れてジャガイモに絡むように混ぜる。
4. 鮭、スナップエンドウ、レモン、塩麴を入れて鮭に火が通るまで炒める。
5. 鮭に火が通ったらお皿に盛りつけてイタリアンパセリを散らして完成
穀雨は二十四節気「春」の最後の時候
いよいよ最後の春の暦になりました。5月5日からは、穀雨の次の夏の暦「立夏」が始まります。昼の日照時間がより一層長くなり、動植物が活発になる季節に入ります。今、世界中で大変な状況が続いています。1000年に一度ともいわれるこの大きな変化に戸惑うのは当然ですが、レモンやトマト、真っ青なバジル、アスパラなどの鮮明な色から元気をいただきましょう! 新鮮な野菜や果物が持つ、フレッシュで鮮やかな色は、私たちに活力をくれます。ぜひ、色の濃い野菜を選んでおうちごはんを楽しみましょう^^