2022年4月20日~5月4日、二十四節気の「穀雨(こくう)」にあたります。二十四節気(にじゅうしせっき)とは古代中国から伝わったもので、春夏秋冬をさらに約15日間ずつ分けた暦です。
前回の節気である「清明(せいめい)」では、清らかで気持ちのいい春の日差しを受けて、草木が芽吹く季節を迎えました。今回ご紹介する「穀雨(こくう)」は、実際にはどのような時期になるのでしょうか?
この記事では、旬を迎える野菜を使った発酵保存食の作り方・レシピとともに、穀雨についてご紹介します。今回は、新玉ねぎと塩、色付けにビーツを使ったピンクの発酵玉ねぎをビンを使って作ってみました。アレンジレシピとして、即席で作れる中華風発酵玉ねぎだれ、発酵玉ねぎドレッシングを合わせてご紹介します。
季節の発酵保存食シリーズ【穀雨】ピンクの発酵たまねぎ
発酵玉ねぎとは、玉ねぎと塩だけで乳酸発酵させた酸味のある玉ねぎです。玉ねぎについている天然の乳酸菌を増やして作ります。玉ねぎは発酵すると茶色っぽく変色するので、ビーツで色付けしました。どんな方でも成功するように、塩水を使ったレシピをご紹介します。
「ピンクの発酵玉ねぎ」の作り方・レシピ
材料(作りやすい分量・400gほど)
・新玉ねぎ 2つ
(ふつうの玉ねぎでもOK、新玉ねぎの方が辛味が少ない仕上がりになります)
・塩 皮を剥いた玉ねぎの総量の2%の塩
・ビーツ 10g 小さい角切り
・3%の食塩水(100mlに3gの塩)
下準備
玉ねぎをみじん切りにします。用途によってみじん切りの大きさを決めましょう。小さくみじん切りにするとそのままドレッシングなどに使えます。大きいみじん切りはお肉にのせると存在感と食感がでますので、よく使いそうな方を選んで切ってください。
煮沸消毒か、アルコール消毒をした清潔な瓶を準備しておきます。
作り方
1、大き目のボウルに玉ねぎ、塩、ビーツを入れる。左側は小さいみじん切り、右側は大きめのみじん切り.
2、よく混ぜて15分ほど放置する。真夏であれば冷蔵庫にいれておくと安心.
3、 少ししんなりしたら瓶に入れる。スプーンなどで上から押さえるようにいれていく。なるべく隙間を埋めるように入れる。
4、塩水を準備して上から注ぐ。ひたひたになればいいので、玉ねぎが浸るくらいの量を作る。
写真のように塩水が玉ねぎの上にかぶるくらいそそぐ。
5、そのままでも発酵は進みますが、より強い乳酸菌を追加すると早く強い乳酸発酵玉ねぎに。ご自宅にザワークラウトがある方は大さじ1入れるといいでしょう。
一口メモ
ビーツは、なければ入れなくてもOKです。少し茶色く変色しますが問題なく食べられます。ビーツは後入れしてもピンクに染まります。(最初に入れたほうがきれいに染まります)
色をもっと濃くしたい場合は2倍量入れてください。今回のレシピだと桜色になります。
発酵のさせ方
このまま軽くフタをして、直射日光が当たらないところに常温保存します。
真夏であれば2日、真冬であれば5日~発酵させます。
フタを開けて酸味がある香りがしたら冷蔵庫にいれ、2か月以内に食べきりましょう。
もし酸味が感じられない場合は1日ずつ伸ばしていき、酸味を感じるまで常温発酵させます。不安な方は冷蔵庫保存に切り替えても問題ありません。
トラブルシューティング
表面に薄い膜が張ったり、カビが生えたりする場合があります。その場合はそこだけ取り除くと食べられます。
食べていくと水分が減り、玉ねぎがむき出しの状態になることがあります。そのままでも問題なくいただけますが、気になる方はまた3%塩水を足して、塩水下に沈めると安心して保存できます。
使い方いろいろ
・発酵玉ねぎをそのままお肉やお魚にかけてさっぱりと
・オリーブオイル:塩麴:発酵玉ねぎを1:1/2:1でまぜると即席ドレッシングに
少しすりおろしたニンニクを入れたり、レモンを絞って追加しても美味
・ラーメンや丼もののトッピングにして、ピンクの色と食感のアクセントに
・手巻き寿司のトッピングに
工夫次第でいろいろ楽みながら使ってみてください
アレンジレシピ「豚しゃぶと中華風発酵玉ねぎだれ」の作り方・レシピ
発酵たまねぎは酸味と旨味があり、油を中和させる効果があるので豚肉との相性が抜群です!
材料(2人分)
・豚肉 80g~
・アスパラ菜(菜の花やお好きな青菜) ひとつかみ
・ピンクの発酵玉ねぎ 40g
・塩麴 大さじ1/2
・ごま油 大さじ1/2
・ごま 少々
作り方
1、アスパラ菜と豚肉をサッと茹でる
2、小さいボウルに発酵玉ねぎ、塩麴、ごま油を入れよく和えてたれをつくる
3、お皿にアスパラ菜と豚肉を盛り付け、お肉のうえからたれをたっぷりかけ、ごまをふりかけたら完成
アレンジレシピ「ピンクの発酵玉ねぎドレッシング」の作り方・レシピ
混ぜるだけですぐにできるごちそうドレッシングです!
材料(2人分)
・ピンクの発酵玉ねぎ 大さじ5
・塩麴 大さじ1
・オリーブオイル 大さじ1
・にんにく 4/1片 すりおろし
・ブラックペッパー 少々
作り方
小さい器にすべての材料をいれ、よく混ぜて完成。
多めに作っても1週間ほど保存できます。
穀雨(こくう)とは
2022年4月20日~5月4日は穀雨です。この時期に降る雨は、農家の方たちにとって特別な役割を持ちます。春の雨は、作物にとって成長のための恵みの雨。この時期にたっぷりと降り注ぐ雨を穀雨と呼び、種まきのタイミングとしてきました。
立春から数えて88日目を八十八夜(はちじゅうはちや)と呼び、この日に摘んだお茶を飲むと病気にならないともいわれています。今年2022年の八十八夜は5月2日。おいしさも格別の新茶をぜひ楽しんでください。
4月17日に春の土用入りし、5月4日に明けます。引き続き春の養生を心掛けてください。だるさが溜まるころです。冷たい食べものや飲み物を控え、おなかを温めて免疫力、消化力をあげてお過ごしください。
二十四節気 春の暦
初春:立春、雨水(桃の節句)
仲春:啓蟄、春分
晩春:清明、穀雨(八十八夜)(←今ここ)
穀雨の旬野菜
はしり(市場に出回りはじめたもの、初物)
たけのこ、わらび、トマト、そら豆、おかひじき、新ごぼう、チンゲン菜
さかり(おいしくて栄養価も高く、価格も安定)
ふきのとう、からし菜、うるい、明日葉、アーティーチョーク、のびる、つくし、タラの芽、クレソン、春キャベツ、ルッコラ、みつば、さやえんどう、アスパラガス、セロリ、山うど、ふき、新玉ねぎ、レタス
なごり(旬の終わりかけ、コクや深みを楽しむ)
菜の花、カリフラワー、みずな、小松菜
穀雨の旬食材
くだもの
いちご、びわ、マンゴー、甘夏、デコポン、はっさく
魚介
あさり、はまぐり、シジミ、ホタテ、サザエ、トコブシ、ホタルイカ、アオリイカ、牡丹エビ、しゃこ、きびなご、初カツオ、ハタハタ、ニシン
春の最後の暦になりました
5月5日から立夏、夏の暦になります。いよいよつぼみが花開き、私たち人間も開花の時期を迎えます。冬に溜めた知識や栄養を、春に少しずつ心身ともにゆるませ開花の準備をし、夏に開花させるという流れを自然のリズムとともに楽しみましょう。
土用の期間中ですが、昔の人たちは土用の時期は体調を崩しやすい期間として、とくに養生に気を使っていました。春の土用の養生にぴったりの食材として、タケノコがおすすめです。強いアク、えぐみを持つタケノコは強い排毒効果を持ちます。スーパーなどでも春ものとして出回っているので、ぜひ手に取ってみてください。ぬかを加えて弱い中火でコトコト煮て下処理をします。そのタケノコで作った煮物や炊き込みご飯は贅沢な春の味わいです。たけのこを調理したことがない方も、ぜひこの土用の時期にチャレンジを。夏の暦に向けて、体の土台作り、日々の食生活を豊かに楽しくお過ごしください。