2020年3月20日~4月3日は、二十四節気の「春分」にあたります。二十四節気とは、古代中国から伝わった、1年間を約15日間に分けて24等分した暦です。
前回の「啓蟄(けいちつ)」は、二十四節気の三番目の節気で、動植物たちが元気になり始める時期を告げてくれました。今回ご紹介する「春分」は、啓蟄の次の節気で、二十四節気の四番目にあたります。春分とは、どのような時期で、どんな食べ物が旬を迎えるのでしょうか? 春分におすすめのおもてなし発酵レシピと合わせてご紹介します。
春分の二十四節気発酵レシピ│春のお彼岸のおもてなし料理♡「ホタテとせりの香り土鍋ごはん」
春分(しゅんぶん)とは
「春分」とは、2020年3月20日の春分の日から、4月3日の「清明(せいめい:二十四節気の五番目にあたる節気)」までの期間を指します。
春分の日は、秋分の日と同じように、太陽が真東から真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。同様に、北半球と南半球の昼夜の長さが入れ替わる日でもあります。この陰陽が転化する春分の日を境に、夏至までは昼がだんだん長くなってきます。
春のお彼岸
春のお彼岸
また、春分の日から前後3日間を入れた7日間は、先祖を供養する「春の彼岸」です。
その昔、この世は東、あの世は西にあるとされ、春分の日(または秋分の日)にあの世とこの世が通じやすくなると考えられていました。
お彼岸にはご先祖様に感謝を捧げ、この世に生きる私たちが「六波羅蜜(ろくはらみつ)」を実践すべき期間ともいわれています。
六波羅蜜(ろくはらみつ)とは
デジタル大辞泉(コトバンク)の解説によると、波羅蜜(はらみつ)とは、
仏語。迷いの世界である此岸(しがん)から、悟りの彼岸(ひがん)に到達すること。また、そのための修行。
となっています。
波羅蜜とは、悟りに至るための修行、という意味を含みます。
また、お釈迦さまは、お経の中で「このような善行をすると幸せになれますよ」と説かれています。お経は7000巻余りものボリュームがあるため、お釈迦さまが説かれたたくさんの善行を、6つにまとめられたものが「六波羅蜜」といわれています。前述の波羅蜜の意味を取ると、六波羅蜜とは、「幸せになるための6つの修行(善行)」ともいえるかもしれません。
六波羅蜜の6つの内容
・布施(ふせ):「親切」という意味。困っている人がいたら手を差し伸べられているだろうか?
・持戒(じかい):「言行一致」という意味。約束を守れているだろうか?
・忍辱(にんにく):「忍耐」という意味。怒ったり、腹を立てすぎたりしていないだろうか?
・精進(しょうじん):「努力」という意味。精を出して努力をしているだろうか?
・禅定(ぜんじょう):「反省」という意味。自身の言動や行動を反省できているだろうか?
・智慧(ちえ):「修養」という意味。人徳を積み、人格を磨いているだろうか?
お彼岸の期間は、六波羅蜜が実践できているのかを見直すのも良いでしょう。
また、ご自宅に仏具や仏壇があるご家庭であれば念入りに掃除をしたり、ご先祖さまのお墓参りへ行きましょう。
また、今回ご紹介する春分の発酵レシピは、家族や親せきが集まる席でのおもてなし料理にもぴったりです。お墓参りのあとや、ご先祖さまのお仏壇に供えたあとは、ぜひ、みんなで食卓をともにして、春分に旬を迎える養生野菜や食材を楽しみましょう。
春分に旬を迎えるおすすめの養生野菜
じゃがいも、いちご、さわら、ニンジン、菜の花、ひじき、ねぎ、わけぎ、えび、ほうれん草、小松菜、キャベツ、レタス、玉ねぎ、スナップエンドウ、絹さや
「ホタテとせりの香り土鍋ごはん」│春分の二十四節気発酵レシピ
春分の二十四節気発酵レシピ│春のお彼岸のおもてなし料理♡「ホタテとせりの香り土鍋ごはん」
土鍋でご飯を炊くと、みんなが喜ぶごちそうご飯ができます! ホタテの出汁とセリの香りを楽しむ、春の土鍋ごはんを作りましょう。
「土鍋でご飯を炊く」というと難しそうですが、一度作れば意外と簡単にできますので、今まで作ったことがない方はぜひチャレンジしてみてください^^ 土鍋の大きさは、米の容量が7割くらいのサイズが理想的です。
材料
(A)
・白米(生米) 2合分
・水 400ml
・ホタテ貝柱 5~6つ
・塩麹 大さじ2
・ごま 大さじ1
(あと入れ)
・せり 1束(みじん切り)
(飾りつけ)
・春菊 ひとつまみ
作り方
1. 研いだ米を土鍋に入れ、Aの食材を全て入れて蓋を閉める。
2. 中火で沸騰するまで待ち、沸騰したら弱火にして15分間火を入れる。
3. 土鍋に耳を近づけ音を聞く。
・パチパチという音がしていたら:30秒ほど強火にしておこげを作り、そのあとに火を止め、10分ほどフタをしたまま蒸らす。
・パチパチという音がしていなかったら:火入れの時間が短いのかも。3分ずつ時間を延ばし、音を確認して、パチパチという音が聞こえたら上記の対応を。
4. 蒸らし終えたら、みじん切りにしたセリを混ぜる。お米の粒をつぶさないようにやさしく混ぜるのがポイント。
5. 最後に春菊を散らして完成。
「春菊の醤油麹佃煮」│春分の二十四節気発酵レシピ
「春菊の醤油麹佃煮」│春分の二十四節気発酵レシピ
砂糖を使わず、醤油麹の甘さだけで作ったピリ辛の佃煮です。ごはんのお供や冷ややっこに乗せて、または、お酒のおつまみにも合います。
材料
春菊 2束(みじん切り)
(A)
・生姜 1片(千切り)
・一味唐辛子 1/2本
(B)
・醤油麹 大さじ1
・鰹節 ひとつまみ
・ごま油 大さじ1
作り方
1. Aとオイルをフライパンに入れ、弱火で香りを出す。
2. 香りが立ったらみじん切りにした春菊を入れ軽く火を通す。
3. 春菊がしんなりしてきたらBを入れる。
ポイント
・食感がなくなり、香りも飛びやすくなるため、春菊に火を通しすぎない。
・鰹節に塩分があるので、塩加減を少なめにしても〇
・ごま油は香りが飛びやすいので、一番最後に入れるとよい
「野菜と鮭のロールキャベツ」│春分の二十四節気発酵レシピ
「野菜と鮭のロールキャベツ」│春分の二十四節気発酵レシピ
この季節のキャベツはとっても甘く、じっくり火を通すことでさらに甘みが増します。ロールキャベツの中身の具はお肉だけと決まっているわけじゃありません^^ お魚でも、家にあるお野菜でも、好きなものを入れて楽しみましょう
材料
・キャベツ 作る個数分の葉の枚数
(中の具材 ※すべてキャベツで巻く長さにそろえて切る)
・しいたけ 3つ(5㎜ほどの厚切り)
・小松菜 2束(4㎝に切る)
・人参 1/2本(4㎝に棒状に切る)
・鮭 2切れ(半分に切る)
(煮込むスープの材料)
・ニンニク 1片(みじん切り)
・玉ねぎ 半玉(千切り)
・水 400ml
・塩麴 大さじ2
・ごま油 少々
作り方
1. キャベツを破れないようにやさしく1枚ずつ剥がす。具材を巻きやすいように、芯の部分を削ぎ切りして蒸す。
2. 中身の具を準備する。
3. 蒸し終わったキャベツで具材をくるむ。
4. ニンニクをオイルで香りを出し、玉ねぎを炒める。
5. 玉ねぎの甘い香りがしてきたらロールキャベツを並べて、水を注ぎ塩麴で味付けする。
6. 最後にごま油を回しかけて完成!
ポイント
中身の具材はミンチにせずそのまま巻くので手軽にできます。半分にカットして食べやすく盛り付けると〇
心身ともにテンションが上がる春分の時期は、発酵食でエネルギーチャージを
春分を境に昼夜の長さが逆転し、季節や気温も入れ替わる期間になります。昼が長くなり、心身ともにテンションが上がる季節なので、活動量が増えて、体力も消耗しがちです。発酵食品を取り入れた養生食と、十分な睡眠や休息で、自分を労わりながら春を過ごしましょう!