教えて!小泉先生

2016年10月24日

酵素ってなに?【教えて!小泉武夫先生】

発酵食品やその食文化における第一人者として日本でもっとも有名な小泉武夫先生。月光仮面ならぬ「発酵仮面」という異名も持つ小泉先生に、発酵食品について教えていただきました!

10.酵素ってなに?

パパイア_酵素ってなに?【教えて!小泉武夫先生】:haccola 発酵ライフを楽しむ「ハッコラ」

発酵食品を作る微生物には、カビ、酵母、細菌の3つがいます。似た言葉で「酵素」がありますが、酵素は生き物ではありません。酵素はタンパク質、つまり物質です。物質なのに物質を合成したり、分解する力を持っています。ユニークな物質です。
例えば、硬い肉を柔らかくするときにパイナップルを使ったりしますが、これはパイナップルの中にあるタンパク質分解酵素が働いてタンパク質の塊りである肉を柔らかくするからです。塩麹もそうです。鶏肉や牛肉に塩麹をつけると、とても柔らかくなります。麹菌の中にもタンパク質分解酵素があるからです。
人間の唾液や胃液にも酵素があります。ご飯やパンはデンプンですが、デンプンでは人間は生きていけません。唾液や胃液の中の酵素がデンプンをブドウ糖に分解しています。タンパク質も同じようにアミノ酸に分解して吸収しています。
「生きた酵素を取るとカラダにいい」などと言う人もいますが、これは正しくありません。すでにお伝えしたように酵素は生き物ではありません。タンパク質です。「生野菜を食べて、生きた酵素を取り入れよう」と言っても、酵素はタンパク質なので唾液や胃液でアミノ酸に分解されてしまいます。もちろんアミノ酸ですから活力源にはなります。
酵素を利用した栄養食品がいろいろありますが、酵素をカラダに取り入れているのではなく、酵素が分解した栄養を取り入れているのです。例えば玄米は消化が悪く、あまり吸収できません。ですが酵素を使って玄米の成分を分解すれば、吸収しやすくなります。野菜や果物も同じです。そのままでは取り入れにくい成分も、酵素が分解してくれれば吸収しやすくなります。

小泉武夫

小泉武夫

1943年福島県の酒造家に生まれる。 東京農業大学名誉教授。農学博士。専攻は食文化論、発酵学、醸造学。 現在、鹿児島大学、琉球大学、広島大学大学院医学研究科、石川県立大学ほかの客員教授を務める。 特定非営利活動法人発酵文化推進機構理事長。全国発酵のまちづくり協議会長。全国地産地消推移新協議会会長(農水省)、「和食」文化保護・継承国民会議委員(農水省大臣官房)、食料自給率向上協議会会長(農水省大臣官房)など、食に関わる様々な活動を展開し、和食の魅力を広く伝えている。 著書に、『食あれば楽あり』(日本経済新聞社)、『発酵食品礼賛』(文春新書)、『食と日本人の知恵』(岩波現代文庫)、『食の世界遺産』(講談社)、『江戸の健康食』(河出書房新社)、小説『夕焼け小焼けで陽が昇る』(講談社文庫)、『猟師の肉は腐らない』(新潮社)、『幻の料亭・日本橋「百川」黒船を饗した江戸料理』(新潮社)など単著は140冊を超える。日本経済新聞に連載の「食あれば楽あり」は現在24年間にわたり連載中。丸ごと小泉武夫 食マガジン  NPO法人発酵文化推進機構

関連タグ

この協力者の他の記事を見る

このライターの詳細へ

最新記事

もっと見る

SERIES 連載

More

CATEGORIES カテゴリー