教えて!小泉先生

2018年05月06日

日本最古の発酵食品は何ですか?【教えて!小泉武夫先生】

発酵食品やその食文化における第一人者として日本でもっとも有名な小泉武夫先生。月光仮面ならぬ「発酵仮面」という異名も持つ小泉先生に、発酵食品について教えていただきました!

「人類は、ヤギや牛の乳を利用するうちに“発酵”と偶然出会った」と先生の書籍にありましたが、日本での発酵との最古の出会いは、どのようなことと考えられているのですか?

日本最古の発酵食品は「魚醤」ではないかと言われています

日本最古の発酵食品は「魚醤」
海に囲まれた地理的条件などから、日本で一番最初の発酵食品は「魚醤」か?

人間は塩がないと生きていけません。人間が古来から、なぜ海の近くに住んでいたかというと、塩が取れるからです。
日本は海に囲まれています。そうした地理的な条件と、人類の歩みを考えると、日本で一番最初の発酵食品は「魚醤」ではないかと言われています。

最も原始的な調味料「塩」は、動植物の細胞から“水”を抽出する

日本三大魚醤のひとつ、石川県の「いしる」には、イワシやサバが使われている
日本三大魚醤のひとつ、石川県の「いしる」には、イワシやサバが使われている

原始的な生活を考えてみましょう。
魚を取ったあと、我々の祖先は、魚に塩味をつけて食べようとしました。
一番原始的な調味料は塩です。そして魚に塩をつけると、必ず水が出てきます。漬け物もそうですよね。塩は、動植物の細胞から水を抽出します。

日本三大魚醤のひとつ、香川県の「いかなごしょうゆ」には、“ふるせ”と呼ばれる成長したいかなごが使われる
日本三大魚醤のひとつ、香川県の「いかなごしょうゆ」には、“ふるせ”と呼ばれる成長したいかなごが使われる

魚に塩をつけて抽出された“水”を濾すと「魚醤」になる

日本三大魚醤のひとつ、秋田県の「しょっつる」に使われる、秋田県の県魚ハタハタ
日本三大魚醤のひとつ、秋田県の「しょっつる」に使われる、秋田県の県魚ハタハタ

魚に塩味をつけて食べようと思ったら、保存もできるようになったし、水が出てきて、その水を舐めてみたら美味しかった。貴重な塩が溶けているのですから、その水は捨てられません。なので、その水をまた使った。これが日本で最初の魚の発酵食品というわけです。
この水を濾すと魚醤になります。魚醤が日本で一番古い発酵食品だと思います。

小泉武夫

小泉武夫

1943年福島県の酒造家に生まれる。 東京農業大学名誉教授。農学博士。専攻は食文化論、発酵学、醸造学。 現在、鹿児島大学、琉球大学、広島大学大学院医学研究科、石川県立大学ほかの客員教授を務める。 特定非営利活動法人発酵文化推進機構理事長。全国発酵のまちづくり協議会長。全国地産地消推移新協議会会長(農水省)、「和食」文化保護・継承国民会議委員(農水省大臣官房)、食料自給率向上協議会会長(農水省大臣官房)など、食に関わる様々な活動を展開し、和食の魅力を広く伝えている。 著書に、『食あれば楽あり』(日本経済新聞社)、『発酵食品礼賛』(文春新書)、『食と日本人の知恵』(岩波現代文庫)、『食の世界遺産』(講談社)、『江戸の健康食』(河出書房新社)、小説『夕焼け小焼けで陽が昇る』(講談社文庫)、『猟師の肉は腐らない』(新潮社)、『幻の料亭・日本橋「百川」黒船を饗した江戸料理』(新潮社)など単著は140冊を超える。日本経済新聞に連載の「食あれば楽あり」は現在24年間にわたり連載中。丸ごと小泉武夫 食マガジン  NPO法人発酵文化推進機構

関連タグ

この協力者の他の記事を見る

このライターの詳細へ

最新記事

もっと見る

SERIES 連載

More

CATEGORIES カテゴリー