微生物・菌

2018年02月22日

発酵食品を作る微生物ってどんなもの?【教えて!小泉武夫先生】

発酵食品やその食文化における第一人者として日本でもっとも有名な小泉武夫先生。月光仮面ならぬ「発酵仮面」という異名も持つ小泉先生に、発酵食品について教えていただきました!

発酵食品を作る微生物とは?

微生物とは、目で見えないくらい小さな生物のことです。

微生物とは、目で見えないくらい小さな生物のこと

発酵食品を作る微生物は、大きく分けると「カビ」、「酵母」、「細菌」の3つ

発酵食品を作る微生物は、大きくわけると3つ。カビ、酵母、細菌です。その3つの中で一番大きいのはカビです。
食品にカビが生えると目に見えますが、実はあれはカビが繁殖して胞子や菌糸が絡みあった集合体です。カビ本体(胞子)は見ることができません。
具体的な数字をあげると、カビや酵母の大きさは4〜8ミクロン(1ミクロンは、1,000分の1ミリ)、細菌はもっと小さくて0.4〜0.8ミクロンしかありません。

発酵食品を作る微生物 その1:カビ

鰹節の製造過程 良い鰹節の見分け

カビには、麹カビ属、青カビ属、毛カビ属、クモノスカビ属、モナスクス属などの種類があります。発酵によく使われるのが、麹カビ属です。
カビは簡単に言うと、胞子がたくさんついている頭の部分、胴体、菌糸とよばれる根の部分にわかれています。成長して胞子が飛び散ると、胞子から菌糸が伸び、胴体ができ、その先端に胞子ができます。そしてまた胞子が飛び散って…というサイクルを繰り返して増えていきます。

発酵食品を作る微生物 その2:酵母

バヌトンとパン生地

酵母は、カビのように胞子、胴体、菌糸とわかれておらず、単細胞で、球型やタマゴ型、円筒型などさまざまなカタチをしています。増殖の方法もカビとは違い、まず酵母(母細胞)から小さな突起が生まれ、どんどん大きくなっていきます。この突起を娘細胞と呼びます。娘細胞は母細胞と同じくらいの大きさになると分裂し、今度は母細胞となって突起(娘細胞)をつくり、これを繰り返して増殖していきます。
酵母には、サッカロミセス属、キャンディダ属などがあり、前者はパンやビール、ワインなどの発酵に使われ、後者は飼料などの発酵に使われています。

発酵食品を作る微生物 その3:細菌

醤油づくり 木桶に諸味

細菌も酵母と同様に単細胞で、その形態には球菌、茎状の桿菌、らせん状菌などがあります。さらに球菌は、ひとつだけで存在する単菌、2つ並んでいる双球菌、鎖のように連なっている連鎖状球菌、ブドウの房のように塊になっているブドウ状球菌などがあります。
増殖の方法は、2分裂法と呼ばれるもの。細胞は栄養分を取り込むと大きく成長して、2つに分裂します。この成長と分裂のスピードはカビや酵母よりも早く、例えば悪玉菌の代表である大腸菌は20分ごとに分裂するので、短時間のうちに大量な数に増殖します。
細菌には、発酵食品に欠かせない乳酸菌、酢酸菌、納豆菌、プロピオン酸菌などがあります。その他、抗生物質を作るときに使われる放線菌、産業廃水の浄化に用いるバチルス属などがあります。

微生物の繁殖プロセスによって様々なものが発酵する

微生物(カビ、酵母、細菌)は、栄養分を取って増殖するときに、いろいろな物質を体内で作り、その一部を体外に分泌します。このプロセスが発酵なのです。


小泉武夫

小泉武夫

1943年福島県の酒造家に生まれる。 東京農業大学名誉教授。農学博士。専攻は食文化論、発酵学、醸造学。 現在、鹿児島大学、琉球大学、広島大学大学院医学研究科、石川県立大学ほかの客員教授を務める。 特定非営利活動法人発酵文化推進機構理事長。全国発酵のまちづくり協議会長。全国地産地消推移新協議会会長(農水省)、「和食」文化保護・継承国民会議委員(農水省大臣官房)、食料自給率向上協議会会長(農水省大臣官房)など、食に関わる様々な活動を展開し、和食の魅力を広く伝えている。 著書に、『食あれば楽あり』(日本経済新聞社)、『発酵食品礼賛』(文春新書)、『食と日本人の知恵』(岩波現代文庫)、『食の世界遺産』(講談社)、『江戸の健康食』(河出書房新社)、小説『夕焼け小焼けで陽が昇る』(講談社文庫)、『猟師の肉は腐らない』(新潮社)、『幻の料亭・日本橋「百川」黒船を饗した江戸料理』(新潮社)など単著は140冊を超える。日本経済新聞に連載の「食あれば楽あり」は現在24年間にわたり連載中。丸ごと小泉武夫 食マガジン  NPO法人発酵文化推進機構

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