くらし

2017年03月01日

ウナギの”継ぎ足しタレ”、なぜおいしくて長持ち?【教えて!小泉武夫先生】

発酵食品やその食文化における第一人者として日本でもっとも有名な小泉武夫先生。月光仮面ならぬ「発酵仮面」という異名も持つ小泉先生に、発酵食品について教えていただきました!

ウナギの継ぎ足しタレ、なぜおいしくて長持ち?【教えて!小泉武夫先生】

Q:飲食店で「タレをつぎ足して使っているからおいしい、かつ、長持ちする」と言われますが、発酵と何か関係があるのでしょうか?

A:ウナギのタレが腐らないのは発酵のせいではありません。

発酵しているタレの話か、そうでないのかで違います。
例えば、ウナギのタレなどは、ウナギをつけ焼きしたり、ハケでタレを付けるときに、うなぎの旨味がタレの中に入って風味が作られています。発酵ではありません。

腐りにくいのは毎日使っていることと、塩や醤油が使われているためです。さらに焼いたときに付いた焦げから煙の成分であるフェノール成分が入っています。燻製にしたら腐らないように作用する成分と同じものが入っているのです。

ものを腐らせない方法

ものを腐らせない方法は大きく4つあります。

1.乾燥

1つめは乾燥。水分がないところには微生物は来ません。

2.塩分

2つめは塩。塩分があると生命体は出ていきます。

3.発酵

3つめは発酵。発酵すると他の微生物が来なくなります。
牛乳は腐敗菌がつくと腐ってしまいますが、乳酸菌が来てヨーグルトになるとほぼ腐りません。
私はトルコのクルド族の170年前のチーズを食べたことがあります。日本のなれ鮓も同じです。

4.燻煙(くんえん)

4つ目は燻すこと。煙をかけると、煙の防腐成分がついて菌が来なくなる。焼き鳥やうなぎのタレは、煙の成分が入っているから防腐できるのです。

小泉武夫

小泉武夫

1943年福島県の酒造家に生まれる。 東京農業大学名誉教授。農学博士。専攻は食文化論、発酵学、醸造学。 現在、鹿児島大学、琉球大学、広島大学大学院医学研究科、石川県立大学ほかの客員教授を務める。 特定非営利活動法人発酵文化推進機構理事長。全国発酵のまちづくり協議会長。全国地産地消推移新協議会会長(農水省)、「和食」文化保護・継承国民会議委員(農水省大臣官房)、食料自給率向上協議会会長(農水省大臣官房)など、食に関わる様々な活動を展開し、和食の魅力を広く伝えている。 著書に、『食あれば楽あり』(日本経済新聞社)、『発酵食品礼賛』(文春新書)、『食と日本人の知恵』(岩波現代文庫)、『食の世界遺産』(講談社)、『江戸の健康食』(河出書房新社)、小説『夕焼け小焼けで陽が昇る』(講談社文庫)、『猟師の肉は腐らない』(新潮社)、『幻の料亭・日本橋「百川」黒船を饗した江戸料理』(新潮社)など単著は140冊を超える。日本経済新聞に連載の「食あれば楽あり」は現在24年間にわたり連載中。丸ごと小泉武夫 食マガジン  NPO法人発酵文化推進機構

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