2018年01月19日

麹やぬか床をより使いやすく!「乾燥麹」や「熟成済みぬかみそ」を製造する伊勢惣の歴史

米麹

スーパーで良く見かける、板状の乾燥麹『みやここうじ』、購入後すぐに漬けられる熟成済みぬか床『発酵ぬかみそ 漬けるだけ!』『仕上りぬかみそ』など、流通の仕組みや消費者のニーズに合わせた画期的な発酵商材を製造する株式会社伊勢惣。

今回は専務取締役の足立昇司さんに、伊勢惣の歴史や、『みやここうじ』『仕上りぬかみそ』などの開発秘話を伺いました。

株式会社伊勢惣専務取締役の足立昇司さん
株式会社伊勢惣専務取締役の足立昇司さん


佃煮や甘酒の製造・販売を行う伊勢惣商店が、乾燥麹を開発するまで

麹屋から仕入れた生麹をリヤカーに乗せて販売

昭和10年、株式会社伊勢惣の前身となる伊勢惣商店が、東京・日本橋に誕生しました。

日本橋 朝之景 東海道五拾三次 歌川広重

当時は、佃煮や甘酒の製造・販売を行っていたといいます。元々、伊勢惣では、麹屋から仕入れた生麹をリヤカーにのせて、街の商店に売り歩いていたそう。生麹はその日のうちに使い切らないと、発酵力が弱ってしまいます。当然ながら、余ったら商品価値を失います。

そして、時代が下ると、街にスーパーが出来始めました。伊勢惣の初代は、「このままでは麹屋はダメになる」と考えたそうです。生麹は日持ちせず、スーパーで扱えるようなものではなかったのです。

足が早い生麹を、乾燥麹『みやここうじ』として商品化に成功

伊勢惣の乾燥麹『みやここうじ』
伊勢惣の乾燥麹『みやここうじ』

「当時は、麹屋という麹を専門に扱う商店がありました。商店だけでなく、一般客も麹屋で生麹を購入していました。麹屋では、客からの注文を受けて、できたばかりの生麹を販売。購入後はできるだけ早く使わなければなりません。

そこで、伊勢惣では、昭和27年に麹の製造免許を取得して製造を開始し、乾燥麹の研究開発を始めます。そして、昭和36年に、独自の乾燥技術により、乾燥麹『みやここうじ』の商品化に成功し、全国の量販店に納入を果たしました」と足立専務。

『みやここうじ』で麹の長期保存が可能になり、使いたい時に麹が使えるように

『みやここうじ』は、低温乾燥しているため、麹菌が休眠状態になっています。そこに、水を加えることで、麹が再び活性化します。つまり、長期保存が可能になり、消費者は使いたい時に麹を使えるのです。そのパワーや味は、生麹と遜色ありません。

秋冬商材として米麹や甘酒、春夏商材としていりぬかや麦茶の製造を行う伊勢惣

麹の副産物「ぬか」でいりぬかを作る

米ぬか、いなほ

伊勢惣では、昭和28年から、ぬか床の原料となる“いりぬか”の製造も開始しました。

「麹や甘酒は秋冬に販売されるため、オフシーズンに春夏商材を作ろうと“いりぬか”と麦茶の製造を始めました。麹の原料は米で、玄米を仕入れて精米していました。すると、ぬかが副産物としてできますよね。それで、いりぬかを作ることにしたんです。また、米と麦はいずれも国が管理していて、仕入れ先が同じこともあって、麦茶を作ることにしました」。

現在も、いりぬか製品は袋入りの『いりぬか』や風味付けした『椎茸ぬか』、麦茶製品はティーパック入りの『釜煎り麦茶』などが販売されています。

袋入りの『いりぬか』

袋入りの『いりぬか』

風味付けした『椎茸ぬか』

風味付けした『椎茸ぬか』

ぬか床タル詰め

ぬか床タル詰め
タルの中にぬか床と補充用の椎茸ぬか(いりぬか)とぬか床Q&Aがセットになったヘビーユーザー向け。
繰り返しご利用いただく方にオススメ

時代のニーズに合わせて、熟成済みのぬか床をチャック付き袋に入れて販売

“いりぬか”の製造開始から30年以上を経た平成元年、伊勢惣は新たな商品を開発します。

野菜を入れるだけでぬか漬けが作れる、熟成済みのぬか床

ぬか床に漬けられたアボカド

「核家族化が進み、自宅でぬか床を作る人が減ってきていました。そんな時代背景を鑑み、ニーズに合わせた商品を開発しました。熟成済のぬか床を樽に入れて販売したのです。これなら、ぬか床を作ることが難しい方でも、スーパーで買ってきて、すぐにぬか漬けが作れます。保存を考えて、若干塩分は多めですが、自然発酵によるぬか床で、乳酸菌も酵母菌も生きています」。

乳酸菌も酵母菌も生きている、自然発酵によるぬか床

さらには、チャック付き袋入りのぬか床「仕上りぬかみそ」(1kg/1.2kg)を製品化。熟成済みのぬか床を袋にパッケージングして販売。袋の中のぬか床に野菜を漬けこんで、チャックをして冷蔵庫に入れておくだけで、誰でも簡単にぬか漬けができます。
その後、1人暮らしの方からのニーズを受けて、350gと少量パックの「発酵ぬかみそ 漬けるだけ!」も販売開始しました。

チャック付き袋入りのぬか床「仕上りぬかみそ」(1kg/1.2kg)

チャック付き袋入りのぬか床「仕上りぬかみそ」

「発酵ぬかみそ 漬けるだけ!」

「発酵ぬかみそ 漬けるだけ!」

消費者が使いやすいように形を変えながら、発酵食品と文化を今に伝える伊勢惣

時代の変化に合わせて、伊勢惣の商品は進化を続けています。消費者が使いやすいように形を変えながら、その味を今に伝える伊勢惣の発酵商材は、発酵文化の継承にも大きく貢献しています。

誰にでもできる、簡単でおいしいぬか漬けを

何よりも、伊勢惣の『仕上りぬかみそ』や『みやここうじ』は、使い勝手が抜群です! 特に、『仕上りぬかみそ』はスグレモノ。ぬか床を何度もダメにしているズボラな筆者も、『仕上りぬかみそ』なら扱えます。なぜなら、すでに味が整っていて、しかも、冷蔵庫で保存すれば、毎朝混ぜなくても長持ちするんです。コンパクトサイズで冷蔵庫のスペースも取りません。

ぬか床はお手入れが大変で敷居が高い……、と躊躇している人は、ぜひ、伊勢惣の『仕上りぬかみそ』を試してみてくださいね!


教えてくれた方:株式会社伊勢惣 専務取締役 足立昇司さん

株式会社伊勢惣 専務取締役 足立昇司さん

株式会社伊勢惣 専務取締役 足立昇司さん

食品メーカー営業職として10年間のキャリアを経て、平成15年伊勢惣入社。同社主力製品の米麹、甘酒、ぬか床などが脚光を浴びる時がくるのを信じ続け、ついに塩麹や甘酒ブームが到来。それらをきっかけに日本の発酵食品が再認識され、発酵食品の伝統と素晴らしさを多くの方に広めることにやりがいを感じている。「発酵食品の良さをすでに実感いただいているお客様はもちろん、また実感いただいていないお客様にも、それらの素晴らしさを知っていただきたいです。それと共に、伊勢惣の良い製品をお届けできればと思っております」(足立さん)。

株式会社伊勢惣

株式会社伊勢惣オフィシャルサイト

晴レノ日 発酵部

晴レノ日 発酵部

グルメ系、ライフスタイル系、旅系を得意とするエディター&ライターチーム。オフィスがあるのは酵母と小麦の香り漂うパンの街・江古田。発酵がさかんな街で、日々文章を発酵させています。 http://harenohistudio.tumblr.com/

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