やさしい日本酒講座

2018年10月21日

冷やおろしは、秋の季節酒│マダム下宮のやさしい日本酒講座 vol.1

東京・東中野にある、少量生産日本酒の専門店「美酒和膳 ひがし中野 しもみや」。本格的な和食とのペアリングで日本酒の提供してくれる同店のマダム・下宮みどりさんによる、ビギナーのためのやさしい日本酒講座を開講いたします。

「美酒和膳 ひがし中野 しもみや」とはどんなお店? くわしくはこちら≫

第1回目は、この時期よく耳にする「冷やおろし」について、マダム下宮に聞きました。冷やおろし=秋の日本酒、ということは何となく知ってはいたものの、日本酒好きの方々がこぞって飲みたがるのはなぜ? そんなにおいしいの? なんでおいしいの? 知りたいことがたくさん溢れてきます。

秋の日本酒「冷やおろし」って何?│マダム下宮のやさしい日本酒講座
秋の日本酒「冷やおろし」って何?│マダム下宮のやさしい日本酒講座

ハッコラ編集部:「あまりに初歩的な質問のようで気が引けますが…、冷やおろしって、なんですか?」
マダム下宮:「そんな、なにも恥ずかしいことなんてないわよ、なんでも聞いてね(ニッコリ)」

「美酒和膳 ひがし中野 しもみや」のマダム下宮
「美酒和膳 ひがし中野 しもみや」のマダム下宮

マダムのやさしい笑顔にほだされて、実際に、遠慮なく、なんでも聞いてしまいました….
冷やおろしが好きな方も、飲んだことがない方も、「冷やおろしが飲みたいなぁ」と思わせてくれる、マダム下宮のやさしい日本酒講座、スタートします!

■冷やおろしって何?

「美酒和膳 ひがし中野 しもみや」で昨年出された冷やおろし
「美酒和膳 ひがし中野 しもみや」で昨年出された冷やおろし(写真はしもみやのFacebookページより)

冷やおろしは、秋の季節酒

冷やおろしって、秋の季節酒。日本酒には、季節ごとのお酒が存在するんです。春には春の、夏には夏の、そして秋には秋の日本酒があります。
「日本酒の蔵元さんは、1年中日本酒を造って出しているの?」とお客様に聞かれることもあるけれど、実は日本酒って半年の間しか造りをしません。ビックリですね、どうしてでしょう?

日本酒はお米でできています。このお米を中心に考えると、理解しやすいんです。
秋に収穫されたお米は、酒蔵へ運ばれます。そこからが日本酒造りのスタート。日本酒も発酵食品のひとつ、上手に発酵してもらうには、真冬の厳しい寒さがもっとも適しているんです。

一番最初にできる造りたての日本酒が「新酒」、一番長く熟成させた日本酒が「冷やおろし」

日本酒はひとつの蔵でもたくさんの種類を造り、1種類完成するのに約2ヶ月はかかります。蔵元は、半年の間に全種類を造って完成させなければならないんです。そして、一番最初にできる造りたての日本酒を「新酒」と言い、色々な種類の新酒が暮れの12月頃から翌年3月頃まで出荷されます。新酒はプチプチしたフレッシュ感が楽しめるのが特徴。待っている人が多い季節酒ですよね。

半年という日本酒造りの最中、新酒以外、年間通して売っていく日本酒の全てを、蔵の冷蔵庫に寝かせておきます。酒造りも春の3月で終了し、新酒もここでおしまい。

発酵食品は寝かせるとよりおいしくなる事は、みなさまご存知のとおり。ここから蔵に寝かせてあった日本酒が順番に出荷されるんです。春の花見酒、夏酒、そして一番長く熟成させてあったのが秋の日本酒「冷やおろし」。

冷やおろしが楽しめるのは、9月から11月ごろまで

夏の暑さが終わろうとする9月頃から、専門店に並ぶようになります。ちょうどその頃は、料理も秋の訪れを伝える食材が並ぶ季節。蔵で熟成されて角が取れ、より一層まろやかになった冷やおろしが、秋の料理と相まって、おいしく頂ける訳です。そしてこの時期に、蔵では次の仕込みに入りはじめるのです。新酒を今か今かと待ちながら、11月頃まで冷やおろしを楽しめます。

■冷やおろしのおいしい飲み方は?

「美酒和膳 ひがし中野 しもみや」のお猪口
「美酒和膳 ひがし中野 しもみや」のお猪口(写真はしもみやのFacebookページより)

冷やおろしに限らず、日本酒は、開けたてではなく、3~4日間冷蔵庫で寝かせて飲む

冷やおろしに限らず、日本酒は開けたてを飲むのはあまりおすすめしません。開けたてを少し試飲し、せめて3~4日間、冷蔵庫で静かに寝かせて下さい。そうして飲むと、さらにおいしいはず! 空気に触れることで、より一層おいしくなっているんです。お店では、開けたての日本酒はお出ししていません。

冷酒でも熱燗でもおいしい冷やおろし

少し寝かせた冷やおろしは、冷たいままでもいいですし、お好みで人肌くらいの燗酒で楽しむと、冷たい時とは違う味となり、さらに新しい一面を発見することができて、なかなか楽しいものです。
こうなると徳利やお猪口も大切。適当なコップや湯飲み茶碗で飲むより、秋の雰囲気を感じさせるお気に入りの徳利やお猪口がその場の雰囲気をより一層高めてくれます。

冷やおろしは、秋の季節料理とともに

お料理も食卓に色々並んでいるはずなので、せめて2~3種類の冷やおろしを準備し、料理に合わせて、あれこれ変えてみる事をおすすめします。前回飲んだ時との味の変化に気づき、季節料理との相乗効果を楽しむ。そして、冷たいまま飲んだり、ぬる燗にしてみたりして…。とっても楽しいですよ。

■2018年、飲むべき冷やおろしは?

お店では、今年も色々な冷やおろしをお客様に楽しんで頂いていますが、絶対外せない銘柄がいくつかありますのでご紹介します。これから挙げる銘柄は、どの日本酒を飲んでも当たりはずれがない、年間を通してとても良いお酒を造っているので、銘柄をしっかり覚えておくといいと思います。

福島県会津若松市の「鶴乃江酒造」による『会津中将(あいづちゅうじょう)』冷やおろし

福島県会津若松市の「鶴乃江酒造」による『会津中将(あいづちゅうじょう)』冷やおろし
福島県会津若松市の「鶴乃江酒造」による『会津中将(あいづちゅうじょう)』冷やおろし

ここはお父さんと娘さんのゆりさんが、主人と同じ農大醸造学科卒業生。杜氏は娘さんのゆりさんとお母さん! 口いっぱいに広がる味わい深さと納得のうまさ。料理との相性もとっても良くて、計算し尽くされている1本です。実力のある蔵ですね。

鶴乃江酒造Facebookページ

島根県出雲市の「富士酒造」による『出雲富士』冷やおろし

島根県出雲市の「富士酒造」による『出雲富士』冷やおろし
島根県出雲市の「富士酒造」による『出雲富士』冷やおろし

ここもお父さんと息子さんのふたりが農大の卒業生です。秋の日本酒に限らず、すべてのお酒が期待を裏切らないおいしさで、出荷されるとあっという間に売り切れる1本。お店では「おいしい~」と目を細めて、笑顔を見せて下さるお客様が多い日本酒です。

富士酒造Facebookページ

東京都東村山市の「豊島屋酒造」による『屋守(おくのかみ)』冷やおろし

東京都東村山市の「豊島屋酒造」による『屋守(おくのかみ)』冷やおろし
東京都東村山市の「豊島屋酒造」による『屋守(おくのかみ)』冷やおろし

東京は東村山にある酒蔵で、ここ十数年で完成度がぐ~んと上がった蔵です。現在社長になった息子さんの田中さん。出会った頃は不安をいっぱい抱えた次期社長の頃でした。以前は商品の味にばらつきがあったのですが、近年は非常にレベルアップした蔵です。2~3種類の日本酒を飲んだあとの、中判の頃に飲むのがもっとも適していると思います。文句なしの出来上がりですね。

豊島屋酒造Facebookページ


冷やおろしが飲めるのは、この季節だけ! 秋のお料理とともに、ぜひ冷やおろしをいただいてみてくださいね。

美酒和膳 ひがし中野 しもみや

しもみやさんの投稿 2016年10月6日木曜日

小泉武夫先生の教え子だったご主人とマダム下宮が営む、少量生産日本酒の専門店「しもみや」

東京農大醸造学科の卒業生で、小泉武夫先生の教え子だったご主人の下宮龍児さんと、マダムの下宮みどりさんが営む、少量生産日本酒の専門店「美酒和膳 ひがし中野 しもみや」。意識して珍しい日本酒だけを置いている訳ではなく、「小さな蔵が伝統を引き継ぎ、自分たちの手で丁寧に作り上げる少量生産の日本酒を楽しんでほしい」、「大量生産では決して出せない本物の日本酒の味を味わってほしい」という想いからセレクトされた日本酒と、季節の発酵料理が味わえるお店です。

しもみやさんの投稿 2016年11月25日金曜日

日本酒と季節の発酵料理のペアリングは、マダム下宮におまかせで安心

旬の食材を活かした、体に優しくて日本酒に合う発酵料理の数々は、まさに“日本酒を楽しむための料理”。ご主人による発酵料理が次々と出されますが、日本酒とのペアリングはマダムにおまかせで安心。料理が出されるタイミングで、その料理と合う日本酒をマダムが出してくれます。
日本酒に詳しくない方も、いろんな日本酒の飲んできた方も、ともに大満足すること間違いなし! 東中野の醸し場「美酒和膳 ひがし中野 しもみや」にぜひ足を運んでみてくださいね。

店舗情報

店名:美酒和膳 ひがし中野 しもみや
URL:オフィシャルサイト食べログFacebookページ
住所:東京都中野区東中野1-52-18 クワハウス1階(Google Map
営業時間:PM6:00~AM1:00/LO.12:00
定休日:毎週月曜日
電話/FAX・メールアドレス:TEL&FAX:03-3363-7878 ※ご予約は4名様まで/e-mail:sake-shimomiya@sirius.ocn.ne.jp

下宮みどり

下宮みどり

少量生産日本酒の専門店「美酒和膳 ひがし中野 しもみや」のマダム。1958年、鹿児島県は桜島で生まれ育つ。同店を立ち上げるまで、長くアパレルの仕事に携わる。夫は、同店の店主で東京農大醸造学科のOB、小泉武夫先生の教え子である下宮龍児氏。龍児氏は、同級生は酒蔵の跡継ぎがほとんどという他にない大学で学ぶ。しかし、年々廃業する同級生の蔵の事実を知り、何とかしたいという龍児氏の背中を押し、2004年、夫婦で同店を立ち上げる。手作りされる本物の日本酒は実に数が少なく、出会うチャンスがないため、「感動してほしい!本物の味を知って目覚めてほしい!」と願い、同店を営んでいる。 https://www.shimomiya.jp/

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