2022年2月19日から3月4日は、二十四節気の「雨水(うすい)」にあたります。二十四節気(にじゅうしせっき)とは古代中国から伝わったもので、春夏秋冬をさらに約15日間ずつ分けた暦です。
前回の節気である「立春(りっしゅん)」では、いよいよ春の暦を迎え、春の食材も出回り始めました。今回ご紹介する「雨水(うすい)」は、どのような季節を迎えるのでしょうか?
この記事では、今の時期に旬を迎える野菜を使った発酵保存食の作り方・レシピとともに、雨水についてご紹介します。今回は、小松菜を使った、まるで高菜漬けのようなお漬物「高菜風、小松菜の乳酸菌漬け」を、ビンを使って作ってみました。
びんで手作りする、季節の発酵保存食シリーズ
【雨水編】「高菜風、小松菜の乳酸菌漬け」
「高菜風、小松菜の乳酸菌漬け」の作り方・レシピ
材料(作りやすい分量)
・小松菜 2束
・小松菜の総量の2%の塩
・鷹の爪スライス 6つ~
必要な道具
・煮沸、またはアルコール消毒済みの瓶
・すりこぎ
・大きなボウルと、ひとまわり小さなボウル
・重しになるようなもの(ペットボトルのお水やすり鉢など)
下準備
・小松菜は洗って水をよくきる
・茎の部分を3㎝カット、葉の部分を5㎝以上の大き目カットにしておく
作り方
1、大き目のボウルに小松菜と塩と鷹の爪を入れ、よく混ぜる。塩が小松菜全体にいきわたるようにする。
2、よく混ぜ合わせたら、底をきれいにしたボウルを上に置き、その上に重しを乗せて2時間ほど放っておく。(冬の間は常温で問題ありませんが、真夏の場合は冷蔵庫で保管しましょう)
3、2時間後の様子です。しんなりして水分もたくさん出てきました。
4、瓶の中にぎゅうぎゅうにつめていく。(汁ごといれてください)
途中で小松菜が糸を引くこともありますが、それは小松菜の茎の細胞壁がこわれた部分から出るぬめりですからご安心ください。
5、小松菜が上がってこないように大根でフタをします。上からびんのフタを閉め、真夏なら5日、真冬なら7日、常温で発酵させます。途中でガス抜きをして様子を見ます。少し酸味が感じられたらうまくいっています。
6、7日目のようす
少し、色があせています。酸味がありいい香りがしたら冷蔵保存へ切り替え、2か月を目安に食べきりましょう。
トラブルシューティング
もし白いカビのようなものや、葉がぐずぐずになってしまっているものが見られたら、そこをていねいに取り除くと食べられます。
「高菜風、小松菜の乳酸菌漬け」のアレンジいろいろ
・毎日のご飯のおともに
・細かく切って薬味と一緒に冷ややっこに
・細かく切ってチャーハンにいれても
・おつまみやおなかが空いたときのおやつとして
「高菜風、小松菜の乳酸菌漬け」アレンジレシピ「高菜とふかふか高野豆腐そぼろかけごはん」
材料
(2人分)
・高野豆腐 2つ
・生姜 1かけ
・唐辛子 少々
・干ししいたけ 2つ→150mlのぬるま湯で戻し、戻し汁も使う
・醤油麹 大さじ2
・みりん 大さじ2
・くず粉 小さじ1 大さじ2のお水で溶かす
・ごま油 少々
・ごま 少々
・七味 少々
・小松菜乳酸菌漬け ひとつかみ
下準備
・しょうがはみじん切りにしておく
・高野豆腐は水で戻しておき、よく絞りフードプロセッサーでみじん切りにしておく
・干ししいたけはぬるま湯で戻し、柔らかくなったら固い軸以外をみじん切りにしておく
作り方
1、フライパンに生姜と油(大さじ3、分量外)と唐辛子を入れ、中火で香りを出す
2、(合わせ調味料を作る)干ししいたけの戻し汁に醤油麹とみりんを入れよく混ぜておく。生姜の香りが出たら、干ししいたけと合わせ調味料を入れる。
3、そこへ高野豆腐を入れひと煮立ちさせる。味見をして塩味が足りない場合は、小さじ1程度から回しかけて調整する
4、味が整ったら水で溶かしたくず粉を回しかけ、しっかり火入れし、とろみを出す。
5、みじん切りにした小松菜を加えよく混ぜる。
6、お茶碗にご飯を盛り付け、完成したそぼろをかけ、上からごま油、ごま、七味をかけて完成。
雨水(うすい)とは
2022年2月19日~3月4日は雨水です。だんだん暖かい日が多くなり、積もった雪が溶けはじめ、田畑に潤いをもたらす季節。草木の芽吹きを促し、地中では着々と成長の準備が始まります。昔は雨水を農作業準備開始の目安にしていました。暖かい日差しが差し込む季節ですが、朝夜は冷え込みます。しっかり体を温めることを大切にしましょう。
二十四節気 春の暦
初春:立春、雨水(桃の節句)(←今ここ)
仲春:啓蟄、春分
晩春:清明、穀雨(八十八夜)
雨水の旬野菜
はしり(市場に出回りはじめたもの、初物)
つくし、クレソン、春キャベツ、ルッコラ、みつば、さやえんどう、アスパラガス、セロリ、ウド
さかり(おいしくて栄養価も高く、価格も安定)
菜の花、ふきのとう、からし菜、うるい、明日葉、小松菜、島ラッキョウ
なごり(旬の終わりかけ、コクや深みを楽しむ)
春菊、サツマイモ、白菜、わさび、ブロッコリー、芽キャベツ、大根、カリフラワー、水菜
雨水の旬食材
くだもの
りんご、いちご、キウイ、はっさく、きんかん、いよかん、レモン、でこぽん
魚介
牡蠣、ホタテ、つぶ、ハマグリ、ヤリイカ、イイダコ、しまえび、イセエビ、ヒラメ、白魚、キンメダイ、ぶり、ニシン、わかめ
雨水の行事食
ちらし寿司、はまぐりのお吸い物
古代中国の陰陽道では1.3.5.7.9.の奇数の数字が重なる日にお供えやお祓いをする風習がありました。5月5日の端午の節句、男の子が健康に成長することを願うのに対し、3月3日は上巳の節句、女の子が健康に成長するひな祭りになったといわれています(諸説あります)
桃の節句ともいいますが、3月3日には桃の花を見ることはできません。これは旧暦と新暦で1か月ほどずれがあるためです。桃は中国で災いを寄せ付けない不老長寿の仙木とされています。この日に彩りのいい、魔除けの色である赤を含む華やかなちらし寿司や、二枚貝であるハマグリを「相性のいいご縁に恵まれるように」という願いを込めていただきます。
雨水にはぜひ春キャベツも
雨水には春キャベツが旬を迎えます。ふんわりした葉は、生でも美味しく食べることができます。またイライラを解消したり、消化を促したりと春の体を整えてくれる効果もあります。スープや炒め物にして、またザワークラウトをたっぷり仕込んで春キャベツを楽しんでみてはいかがでしょうか?
雨水の「水」は命の象徴です。さまざまな生命が芽吹き、生まれる季節です。あたたかい日も増え、心も浮き立つ時期。日々の養生を大切にしながら、春を迎えましょう!