「ぬか」と聞くと、発酵食品を愛する私たちにとっては、やはり「ぬか漬け」や「ぬか床」を思い出してしまいますよね。ぬかは「お米」の一部。日本人としてお米は昔からなじみのある食べ物ですが、「そもそもぬかって何?どこで手に入るの?ぬか床以外の使い道はあるの?」などなど、ぬかに関して意外と知らないことも多いのではないでしょうか。
ぬか床だけじゃない!お米屋さんに聞いた、おいしい&キレイになる「ぬか」の使い方
そこで今回は、東京は浅草橋にある老舗のお米屋さん「吉田屋」の5代目であり、五ツ星お米マイスター&お米アドバイザーでもある、小林健志さんにお話しを伺ってきました。ぬかは知れば知るほど魅力的で、意外な方法で私たちの健康や美容に大いに役立ってくれます。この記事を読んで、ぜひ、米ぬかと発酵のある生活をスタートされてみてはいかがでしょうか?
米ぬかについて教えてくれた方:「吉田屋」5代目、小林健志さん
「吉田屋」5代目、小林健志さん
「お米屋さんとして、もっとお米と米屋の魅力を伝えなくちゃいけない!」と、日々研究を重ねている小林さんは、創業明治18年(1885年)から続く米屋の老舗「吉田屋」の5代目店主として、そして、五ツ星お米マイスター&お米アドバイザーとして、お客さんに搗き立てのお米を届けています。また、お米講座の講師としても活躍中です。
「当店では、お客様にご注文をいただいてから精米します。お米は保管場所の温度、湿度によっても状態が変わってしまうので、夏場の室内だと精米後2週間以内にいただくのがベストとお伝えしています。今の時代はスーパーやネットでもお米が買えるようになりました。しかし「吉田屋」ではお米の正しい知識を伝えながら販売しています。みなさんにお米のすべてをまるっと楽しんでいただきたいですね」(小林健志さん)。
そもそも「ぬか」とはなんだろう?
「ぬか」とはなんだろう?
お米の種子の皮の部分と胚芽の部分が「ぬか」
ぬかとは、お米の種子の皮の部分と胚芽の部分を指します。玄米同士をすり合わせて、ぬかの部分をとり、風で飛ばしてぬかとお米と分けることを精米と言います。精米すると1割がぬか、9割が白米になります。さらに2回搗きの方法では1度目の精米でできたぬかと、さらに2度目に精米してできたぬかは用途によって使い分けます。
1度目の精米でできたぬかは「炒りぬか」や「ぬか床」用、2度目は「化粧ぬか(肌ぬか)」用
2回搗きの方法で1度目の精米でできたぬかは、「炒りぬか」や「ぬか床」用として使います。ふかふかしていてよく水分を吸うのが特徴です。また、2度目の精米で出来たぬかは、きめ細かく希少な部分なので、「化粧ぬか(肌ぬか)」用として使用しています。化粧ぬかは水分を吸わず、べちゃっとしてしまうので、ぬか床には向いていないですね。
お米屋さんがおすすめする、ぬか床以外の「ぬか」の使いかた
ぬか床以外の「ぬか」の使いかた
炒りぬかにして食べる!
当店で販売している「食べる炒りぬか」は、玄米食をしたいけれど苦手な方におすすめです。ドレッシングに入れたり、ヨーグルトにいれたり、オリジナルのふりかけ、カレー、お味噌汁に入れる方もいます。
ぬかパックにする!
江戸時代は化粧ぬかをボディソープ替わりにしていた文化も。水で練ってぬかパックとして使うのがおすすめです。
入浴剤としてつかう!
追い炊きはできませんが、化粧ぬかと日本酒をお風呂に入れると保湿効果が抜群で、肌がなめらかに感じられますよ。
洗剤としてつかう!
キャンプやBBQなどで予洗いの洗剤としても使えます。野外での洗剤の使用を控えたいときは、米ぬかとお水で汚れは十分に落ちます。
こんな使い方も!?タコのヌメリ取り
タコのぬめりを取るのに塩を使うと、タコの表面に傷がついてしまいます。そこで活躍してくれるのがぬか。タコの見た目は美しいままで、ぬめりを取ることができます。
生ぬかの保存方法や使う前の注意点
すぐに使うなら密封できる保存容器に入れて冷蔵庫へ。1か月以上保存するなら冷凍庫へ。また、手に入れたぬかは、ゴミや不要なものを取り除くため、金ざるでふるってから使いましょう。
お米屋さんでお米を買って、お米やぬか床文化を引き継いでいこう
吉田屋店内
1kgの米ぬかは約10kgのお米を精米しないとできない
ぬかを手に入れるときは、お米屋さんに行って、出どころがわかるぬかを購入したり、分けてもらってください。できれば米とぬかは同じ米屋で買うことが理想です。1kgの米ぬかは約10kgのお米を精米しないとできません。その内、ぬかそのものが高級なものになるかもしれませんね!
ぜひ、自分で手に入れたぬかと塩でぬか床を作りましょう。手作りできて、家庭で受け継いでいくことができるぬか床は、お米文化の伝承にも繋がります。
お米屋さんに行くと、安全でおいしいお米が手に入るだけではなく、お米の食べ方やぬかの使い方なども教えてくれます。また、頻繁にお米屋さんに顔を出せば、新鮮な米ぬかをわけてもらえるようになるかもしれませんよ。
日本米穀小売商業組合連合会が発行している、お米や米ぬかについての情報が満載の小冊子「うき!うき!米ぬか生活」が置いてあるお米屋さんもあります。ぜひ探してみてくださいね!
お米は日本の食文化のすべてのはじまり
お米は日本の食文化のすべてのはじまり
ぬかもお米の一部。今一度、日本人としてお米に感謝をしながらいただきましょう。お酒も麹も、日本の発酵文化の多くはお米から始まります。日本人にとって、お米は主食であり、主役です。現代は糖質制限の流行りを受けて、お米を食べること自体を控えている方がたくさんいらっしゃいますが、お米にもたんぱく質やその他大事な栄養素が豊富に含まれています。きれいになりたい人こそ、ぜひお米を食べましょう!
ショップデータ
吉田屋
住所:東京都台東区浅草橋 1-22-13
電話番号:03-3851-5484